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草薙裏探偵事務所  作者: 和都
「資産家変死事件」
19/70

・第十六話、閉幕

・資産家変死事件8

救急車を呼び長谷部が搬送され、中川もそれに同行する。

沖田は特殊班と捜査一課の連中と球体の事で話をしている。


俺はというと客間に戻り、藤田由香のフォローである。


「あの【バケモノ】が父を殺したのですね…。」

憔悴しきった由香が言う。


「ああ、だけどこの件は公には出来ない怪事件だ。」

続けて俺も言う。


「でも、なんで父はあの【バケモノ】に狙われるような事になったんでしょう?」

その問いに関しては俺は口を濁す。


「その件に関しては私から教えよう。」

いつの間にか客間にいた星野がゆっくりと口を開いた。


「!?お前いつから…?」

相変わらず気配を消すのがうまいと思った。


「所有物にお前扱いされるとはな…。躾ねばならんようだ。」

さらりと怖い事を言う星野。


「星野さん、父が殺された理由を教えてください。」

藤田由香が星野に頭を下げる。

ここで俺は初めてこの女の名前を知る事になった。


星野の説明によると事の顛末はこうだ。


資産家であった藤田啓治はアンティークを集める趣味があった。

しかもいわくつきの物を狂信的に集めるほど没頭していた。

そして、ある日。例の球体の小型版を購入し中身を開封した際、

小さな宝石が入っておりそれを覗き込んだ時、【バケモノ】に

命を狙われる事になった。


その【バケモノ】の名は通称「ティンダロスの猟犬」と呼ばれている。

この猟犬に時の概念等は無く人間及び他の通常の生物の中にある【ナニか】を

追い求めており、それを得るため時空を超える不死者である。


その猟犬に命を狙われると30日の期間が用意されその期間に

なんとかしないと【ナニか】を奪われ犠牲者は絶命する。


そして藤田啓治は事の深刻さに気づき、資産家の地位と名誉を

フルに活用させ、星野沙希までたどり着き、対処法と簡易封印を

住み込みで施していたが不安になった藤田啓治は

その簡易封印の水晶玉を覗いてしまったが為に命を落としたそうだ。


半分以上俺でもちんぷんかんぷんだったが藤田由香も同じような感じだった。


「という訳だ、家に帰るぞ。草薙喜助。」

説明を終えると星野はさらりと俺に言う。


「は?何言ってんだ?」

俺はすっとぼけるが


「あの時の契約、忘れた訳ではあるまい?」

ああ、やっぱ覚えてたのね…。


「私は宿無しでな、お前の家に行く事にしよう。」

おい、待て。勝手に決めるな。


「ちょっと待て!それには色々問題が…。」

俺は星野に反論するが


「所有物は黙ってろ。」

その言葉に一蹴されてしまう。


「では、帰るとしよう。」

そう言うと星野は俺の額に二本指を立て何かを探るように考える。


「ふむ、住所は墨田区錦糸…」

「なんでお前、俺の家の住所わかるんだよ!?」

なんかえげつない。もうこの女に隠し事は出来ないと思った。


「まぁいい。だが忘れるな。」

星野が少し楽しそうに言葉を続ける。


「お前は私の所有物だ。」


その台詞と何の悪意もない初めて見せる笑顔に

俺は見入ってしまったのは事実である。

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