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草薙裏探偵事務所  作者: 和都
「資産家変死事件」
13/70

・第十話、情報収集3

・資産家変死事件4

岡使用人と沖田&長谷部が客間から出て数分、ノックの音がする。


【トントン】


「どうぞ」

と中川が一言


「初めまして、藤田由香と申します。」

そう言って俺と中川に挨拶をしてきた。


外見は10代後半から20代前半

黒いジーパンに白いブラウスがよく似合っていた。


「初めまして。月刊ビジターでジャーナリストをしている中川です。本日は宜しくお願いします。」

続けて俺も短く「草薙です。」と挨拶をする。


「今日はどういったご要件でいらっしゃったのでしょう?」

取材には慣れているのかそれとも散々取材されてきて耐性がついたのか

若い女性の割にはしっかりとしていた。


「ええ、実はふたつほど聞きたい事がありまして」

俺がまず先行して聞き出す。

(ちょ、ちょっと草薙さん!勝手な真似しないでください!)

中川が俺に耳打ちし、肘で脇腹を小突いてくる。

(任せとけ、こういうのは俺の仕事だ。)

諦めたのか、中川は下を向いてやれやれという仕草をする。


「…?」

藤田由香が不思議そうにこちらを見るが「お構いなく」と俺が笑顔で答える。


「まずは工場にある黒い球体、あれはいったい何なのでしょう?」

まだ実際確認もしていないが岡使用人からの情報がある為、吹っかける。


「あれ…ですか。」

藤田由香が言葉を濁す。


「あれは数ヶ月前から父が作成を依頼したものなんですが」


「ほう」


「父亡き後なんのために作成したのかよくわからないんですよ」

嘘はついてない。そう直感が告げる。


「父は生前、自分の仕事に対して家族に話さない人でしたから。」

「なるほど。」


ひと呼吸置いて俺が藤田由香に尋ねる。

「貴女はお父様が行っていた事で興味ありませんか?」


「…ええ、興味あります。」

藤田由香もひと呼吸置いて言葉を発する。


「なぜ父が急に心臓麻痺で亡くなったのか」

「警察は病死でカタをつけましたが私はどうしても納得できません。」

本心であろう、そう思った。


「でしたら、後で構いませんので書斎の方を調べさせて頂けませんか?」

「書斎?父の書斎ですか?」

少し困惑したように伺える。


「ええ、実は私こういうものでして」

財布から探偵の名刺を取り出す。


「探偵…まさか父が何か悪いことでもしていたのですか!?」

藤田由香は驚きを隠せない様子だった。


「いえ、ご主人の死はあまりにも不自然すぎる。これは他殺の可能性が高い」

「警察は信用できない、そうですね?私も信用できません。」

職業柄、こういう言いくるめはよく使う。


「…ええ。」

藤田由佳が控えめに首を少し縦に振る。


「ですから真実を暴く為、書斎の方に何か秘密があると考えました。」

よし、これで色々調べられる。と心の中でぐっと親指を立てる。


「それともうひとつの質問ですが」

続けざまに俺がもうひとつ質問する。


「この屋敷に女性が出入りしていると聞きました。」

「その女性とご主人の関係についてお聞きしたいのですが」

ちょっと突っ込みすぎたか?と思ったが藤田由香がゆっくりと答える。


「あの人は…その…。」

「悪い人ではないと思うんですが」

「直感ですが、父を何かに利用しようとしていたのではないかと思います。」

女性をかばうのか、かばわないのか曖昧な言動だった。


「ほう」

「ではこの屋敷でその女性は何を行っていましたか?まぁ現在もいるようですが」

気になったので聞いてみる。大抵愛人とかそういうオチだったりするのだが。


「何か仕事関係の話をしたりしてましたがなんとも」

やはり何も仕事関係の事はわからないらしい様子だった。


「他に何か私に協力できそうなことはありますでしょうか?」

藤田由香が質問する。

やはり【殺人かもしれない】という言葉が効いたらしい。


「いえ、後で書斎を見せて頂ければそれで結構ですよ。」

あまり本気になられても困る。本当に殺人という確信がないからだ。


「では、私からも取材を…」

と中川が話を切り出す。

中川の取材は父親の仕事がうまく行っていたのか、故人についてとの

ドキュメンタリーに使えそうな内容の取材だった。


中川が一通り取材をしたあと、書斎に案内される。


「ここが書斎か…。」

いくつか資産家の書斎は見たことがあったがここも高級な調度品の数々

整理されていた書類などが見渡す限りわかる。


死後整理された可能性もあるが。


間取りは中央奥に書斎用の大きな机、

その両サイドに窓があり片方には大きなベランダがあった。


「ここです。ここで父は…息を引き取っていました。」

藤田由香が当時を思い出すようにかすれた声で言う。


本棚の横、何か調べ物をしていた時に

殺害されたのかそれともただの心臓発作だったのか。


その時、古ぼけたカバーの本が目立ったので手に取って見てみる。

表紙のタイトルは「猟犬」

随分古い本らしくボロボロで字がかすれていたがパラパラとめくってみた。


内容は伝記小説のような内容で「この猟犬からは決して逃げることはできない。」

という最後に書かれていた文字が印象的だった。


「この部屋は鍵がかかっていて密室だったと聞きますが他に鍵とか…」

と俺が藤田由香から話を聞こうと思った瞬間。


「キャー!!!」という断末魔のような悲鳴が屋敷のどこからか聞こえた。



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