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あらすじ必読な突発短編

わたしの限界

作者:

 職員会議を行う大会議室に集まっているのは、わたしのクラスメイトとその親、そして、わたしの両親と姉、校長、副校長、学年主任、生徒指導主任、担任……人口密度高すぎじゃない?


 集まったのは、わたしへのいじめ問題が露呈した為。

 最初は、無視したり嫌味を言ったりする程度だったけど、無反応なわたしがつまらなかったのか、私物に手を出してきた。

 …姉と違ってわたしには小遣いなんてないんだぞ。バイトはしてるけど、遊んでる暇あったら勉強しろってとられてるし。じゃぁ、バイト自体を辞めさせろよ。知ってんのよ? そのお金が姉の交際費に消えてんの。

 何とか使えるし、いつでも持ち歩いとけばいいか、と思ってたら友人にばれた。

 いや、ばれるよね。うん。どうしてそこから問題になるって考えなかった。バカか、わたしは。


 良いとこのお嬢様でありながら庶民派で活発な友人は、わたしの現状に憤りを隠せなかったらしい。学年主任に直談判した。

 …担任じゃないところが怖いよ。わたしの私物を見ても「もっと大事に扱いなさい」としか言わなかったバカ女だから、頼りにならないと思って当然だけど。


「ストーカーされて、物も盗まれて、困ってたんですよ。それを友達に相談したら…すいません、俺が原因です」


 告白してきたバカ男の言い分、この時初めて知ったよ。

 いつのまにかストーカーに仕立て上げられていました。

 わぉ。

 え、余裕? 当然でしょ。やってないんだから。


 あ、なんか両親と姉が謝り倒し始めやがった。

 何で全肯定すんのよ。まずは娘もしくは妹を信じなよ。最低か。あ、最低だったわ。


「あんたも謝りなさい!」


「そうだ、お前が悪いんだろう!」


「いくら好きでもやっていいことと悪いことがあるのよ?」


 …堪忍袋の緒が切れる、てこういうこと言うのね。うん、理解。


「証拠は」


「は?」


「だから、わたしがストーカーだっていう証拠」


 開き直ったってとったっぽいね。まぁ、取れるだろうね。


「…尾行したり盗撮したり」


「わたし、学校終わったら近所のスーパーでバイトしてるんだけど。週5、平日は3時間、休日は6時間で」


「そ、その後…」


「学校が終わるのが17時? くらいか。17時半から出勤して3時間だから終わるのは20時半。家につくのは21時だね。いつ、どこに尾行する暇が?」


「盗撮とか…!」


「隠しカメラを提示してからにして。ついでに言っておくと、わたしはあんたの家を知らない。というか、名前すら知らないんだけど、誰?」


 あ、絶句した。

 知らないわけがないと思ってたの?

 ナルシストかよ。

 確かに、整った顔はしてるけど、はっきり言って興味ないんだよね。

 あんただって姉にしか興味ないんだろうし。


「言い訳ばかりしてないで、ちゃんと謝りなさい! どうせ貴方が悪いんでしょ!」


「そうだ、開き直って相手をバカにして、恥を知れ!」


「ねぇ、あたしも一緒に謝ってあげるから…」


 さて、バカ親とバカ姉の発言を聞いて、さすがにクラスメイトの親達が怪訝そうになったんだけど。

 そりゃそうだ。

 わたしが提示したわたしのアリバイは、すぐに調べられることだし、簡単に立証できる。そんなの家族ならよく分かってるはず。なのに、この言動なんだから。

 クラスメイト達はバカ男を不審そうに見てる。そんな反応してたら疑われても仕方ないって。

 ひとまず、バカ家族は無視しよう。


「で、そいつの言い分を信じた結果、あんた達はわたしを苛めてたわけだ。言っておくけど、根も葉もない悪口は誹謗中傷、名誉棄損、私物を破いたり使用不可能にしたりするのは器物損壊に値するから、後々、慰謝料と弁償代を要求させてもらうわ」


 反論しようとしてるから、潰す。


「そいつはこうしてああして、と指示したわけじゃないでしょ。つまり、あんた達の独断。勝手にやってたの。というか、犯罪行為を警察に通報しない時点でどうかと思えよ。バカなの?」


 押し黙った。

 さっきまでわたしを非難してた親達も居心地悪そうにしてるね。

 ここまで言って、バカ男の反応見て、バカ家族の言動見てたら、冷静になれるでしょ。逆ギレせずに理解して恥じ入ってくれるだけましだよね。うん、この人達にはかるい説教だけにしておこう。


「貴方達も、子供の言い分を信じるのは結構だけど、いじめってのはやった方が悪いに決まってるでしょ。原因を作った方が悪い場合もあるけど、喧嘩と同じで先に手を出した方が悪いの。それなのに、自分勝手な正義感で無実の人間を苛めて貶めて犯罪行為に走る子供をいさめも叱りもせずに、被害者を非難して罵倒するとか、親バカここに極まれり、ってか。ふざけんな」


『…申し訳ありませんでした』


 蒼白になって頭を下げてくれたから、もういいや。

 んで、次はカタカタ震えている担任。


「先生も先生ですね。バカとか死ねとか消えろとかマジックで書かれて破られている教科書見て、「もっと大事に扱いなさい」とか。バカですか。どう考えてもわたしじゃないでしょう。自作自演だとでも思ったんですか? ラノベじゃないんだから、そんな悪女みたいなことしませんよ。したところで、味方になってくれる真っ当な人間性を持った人間はわたしの周囲には非常に少ないんですから。あ、言っておきますけど、数少ないまっとうな人間性を持った人間は、わたしの友人達とその家族ですから。先生達と生徒達は含まれませんから。あしからず」


 さらっと校長たちを含めて言ってやれば、何も言えないのか視線を逸らした。

 そうだよね。だって、あんた達はわたしと顔を合わせるたびに「お姉さんを見習え」「お姉さんはこの時満点を取ったぞ」「お姉さんと全く似てないな、養子じゃないのか」などなどと教師にあるまじき発言を繰り返してたからね。それを聞いてた周囲の人間はみんな笑ってたしね。

 生徒いじめとか教師失格でしょ。とっととやめろ。


「で、何か言うことはないんでしょうか?」


「……」


「悪い事をしたら謝る。そんなのは幼稚園児ですら知ってますよ。幼稚園児でも、悪気なく言った言葉で相手が泣いてしまったら謝れるんですよ。貴方は幼稚園児以下ですか? それとも、大人だから、教師だから、目下の人間であるわたしには何を言ってもいいし、悪いことをしても謝る必要もないとでも? それって立派な人権侵害では? だって、わたしのことを対等な人間、命だと思ってないから、そういう態度を取れるんですよね? 良いですよ。じゃぁ、わたしはこれから警察に駆け込みましょう。全部洗いざらいぶちまけて、法廷で争いましょうか? 友人達は証人になってくれるでしょうし」


「ごめんなさい…」


「渋々なんて謝ってるうちに入るとでも? あと、謝り方がなってない。やり直し」


「…申し訳、ありませんでした」


「まぁ、良いでしょう。…泣かないでくれません? 被害者はわたしなんですから。わたしは泣きませんけどね。幼少から数えて10年以上、蔑ろにされるのも虐げられるのも慣れました。嫌な事ですけどね」


「私達が虐待していたとでもいいたいの?!」


「お前、親に対してなんてことを…」


「わたし、一言も虐待されていたとも蔑ろにしたりしたのは親だとも言ってないけど」


 自爆ありがとう。

 心当たりあるからこその焦って怒鳴ったんだよね。

 そこで黙るから、尚の事真実味が増すんだって。事実だけど。


「お父さんとお母さんにそんなこと言っちゃダメよ」


「わたしの給料で遊び歩いてるビッチはちょっと黙っててよ」


「なっ」


「友達のお兄さんから、聞いたから。大学生引っ掻けて、貢がせたんだよね? 名門男子校の下級生、サラリーマン、飲食店経営者、塾講師……後ろの三人ってさ、援交?」


「違うわ! お金なんてもらってな…」


「はい、自白いただきました」


 なんか、ここまで来たら怒りも失せるよ。


「…そこ、知らぬ存ぜぬ通さなきゃ。よく今まで騒動にならなかったね」


 その理由も聞いてるけどね。


「分かってたみたいだけどね、その人達」


 驚いてるみたいだけど、相手は人生経験豊富な大人だよ?


「最初はともかく、普段の言動で可笑しいと思ってたみたいでね。申し訳ないけど、縁を切るって。転勤とか恋人が出来たとか留学するとか色々言ってたね。まぁ、つまりは貢がせられるのはもうごめん、ってことでしょ。あ、下級生の子も友達のお兄さんと引っかかった大学生に諭されて、もう連絡しないって。ことごとくわたしに言ってきたのは、正面切ると被害者面して貶められそうだし面倒そうだから、だって」


 自業自得だよね。貢がせてなかったとしても、最低でも五股ってことでしょ?

 フラれてもおかしくないし、非がどちらにあるのかは明白だしね。


「この現状見たら、誰だってそう思うよね。ひとまず、わたしは血がつながっていなければ一生関わりたくない」


「ひ、ひどい…」


「だれが? わたし? じゃぁ、わたしが味わってきたことはひどくないの? わたしと1年近く一緒に過ごしてきたクラスメイト全員に苛められたわたしは可哀想じゃなくて、あんたは可哀想なの? 稼いだお金は全部親にとられてあんたの交際費にあてられ、どれだけ努力しても並ってだけで理不尽に親から説教されて教師から見下されて生徒に笑われるのはわたしが悪いの? 母親に名前を聞かれるのも父親に顔を見るたびに溜息をつかれるのもわたしが悪くて、両親が可哀想なの? ねぇ、答えてくれない?」


 黙り込むんだったら何も言うなよ。


 わたしにもきっと悪い所があったんだろう。

 友人にも、爆発してみればよかったんだ、って言われたし。

 諦め癖がついてて、何も言おうとしなかったんだから。

 でもさ、それが蔑ろにしていい理由にはならないでしょ?


「…辛気臭く黙り込んでるところ悪いですけど、もう分ったでしょうし、結論出してくれません? 被害者も加害者も明白でしょう? それとも、まだわかりませんか。だったら、教育委員会と文部科学省に連絡しましょう。ね? 何だったら、警察と弁護士にも。だって、わたしはストーカーなんでしょう?」


 …一斉にがなり立てないでよ。


 警察に行ったら、バカ男やクラスメイト達はお咎めを食らうでしょうね。特にクラスメイト達は普通に犯罪行為だし。

 たださぁ、わたしに言わないでほしいんだよね。


「言うべきは校長に言ってください。わたしは言うべきことは言いましたし、この場を解散させるのは校長の権限でしょう」


 青い顔した校長が何か言おうとするから、くぎを刺しておく。


「なぁなぁで終わらせようとしたら警察に行きますから」


「ど、どうすれば…」


「分かりきってるでしょう。この場にいる全員、土下座して謝罪してください。クラスメイトはきっちり弁償してくださいね」


 前科がつかなかったんだから、当然だよね。


「一方的にわたしを加害者だと決めつけた校長も副校長も学年主任も生徒指導主任も担任もクラスメイトもその親もそこの勘違いとその親もうちの血の繋がった残念な家族もどきも謝罪一つで許してあげようっていうんだからわたしの寛大さに感謝してくださいね?」


 数十秒の沈黙後は、見ものだったよ。


 良い年したバカ共がわたしに対して土下座するんだから。

 愉快愉快。



※※※



「バカよね。茅を敵に回すとか」


「わたしを敵に回しても大したことないよ」


「…大したことない、だと…?!」


「どういう意味よ、芳人」


「いや、だって、なぁ?」


「全くね」


「雪乃まで」


「平凡スペックだけど対人関係だけはハイスペックでしょ。旧家で総合病院院長令嬢とか」


「大手芸能事務所の社長令嬢とか財閥の御曹司とか」


「「知人友人で、相手の人生潰せるレベルじゃん」」
















「そういうあんた達は、何をしたのよ。世界的企業・フレイムカンパニー総帥の双子の兄妹さん?」


「「企業秘密♪」」







 …ひとまず、わたしは双子の家に引き取られて、わたしの家族もどき達はどこかに引っ越した、とだけ言っておく。

 学校は面倒だから転校したから、それ以降は全く関わってないから。







※土下座強要は犯罪ですが、茅はそれを理解した上でやってます。


強要された側が訴える = 自分達の所業がバレてお咎めくらう。

という図式になるので訴えないだろうと考えたうえで、やりました。

経済的虐待、精神的虐待、いじめ、冤罪、これだけあれば情状酌量の余地あり、となりそうです。(法律には詳しくないので、そうなんじゃない? 程度の考えです)


時間が無くて本文だけ上げて、補足するのを忘れていました。

基本、思いつくままに書き始めて、勢いで書き切っているのであんまり深く考えていません。


※※姉の被害者達と茅は、その後、友人になります。対人関係ハイスペックに磨きがかかっていく…。

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