色彩
私は貴方が好きでした。
貴方の色が大好きでした。
ほかの誰とも違う綺麗な色
貴方の近くにいるだけで、自分の汚い色が薄れていく気がしました。
まるで黒から灰色に変わるように...。
貴方の近くにいればいつか白になれるのではないかと
そんな淡い期待を持っていました。
...いつからでしょうか
貴方の色が他の誰よりも汚くなってしまったのは。
澄んでいた色は濁り
明るかった色は暗くなり
貴方の色に光は無くなってしまいました。
「"君"は誰?」
あんなに綺麗だった貴方。
あの頃の貴方は何処へ行ってしまったのだろうか
「俺は"俺"だよ。何?君も幻滅した?」
濁った色のまま言う"君"はとても悲しそうに見えました。
白から灰色、灰色から黒へと変わっていく姿はとても酷く見えましたら。
私を黒から灰色に、してくれた"貴方"はもういない。
「幻滅なんてしてないよ」
ーだって"君"は"貴方"じゃないものー
「ほら、行こう?」
私に"君"を"貴方"に戻せるほどの力なんて無い。
だから、せめてー...
ーずっと一緒に落ちて行こうー
end.