第九章: 変態くノ一の奇妙な提案
佐藤悠斗は、日光街道を南へ歩き続けていた。
前夜、宿屋での豊臣残党との戦いをなんとか切り抜けた彼は、朝早く宿を出発していた。
空は薄曇りで、木々の間を抜ける風が涼しい。
街道沿いの土は湿り気を帯び、歩くたびに靴底に柔らかな感触が伝わる。
鳥のさえずりが遠くで響き、時折、木の葉が風に舞って地面に落ちる。
悠斗のTシャツは汗と埃でくすみ、ジーパンの裾はさらに汚れている。
腰には三つ葉葵の家紋が入った小太刀が揺れ、歩くたびにカチャリと軽い音を立てた。
「昨日はマジでやばかったな。変態くノ一に美少女剣士、敵も味方もカオスすぎるぜ」
呟きながら、彼は鼻をこすった。
宿屋の主に修理代として金貨を渡し、「次は静かにしてくれよ」と呆れられた記憶が蘇る。
「まあ、金はあるし、次の宿場町でのんびりするか」
そんな軽い気持ちで歩いていると、後ろから足音が近づいてきた。
「ん?」
振り返ると、柳生十兵衛が歩いてくる。
彼女は幕府の任務で悠斗を尾行し続け、同じ宿に泊まっていた。
着物は昨夜の戦いで少し乱れ、汗ばんだ首筋が朝日に光る。
豊満な胸が歩くたびに揺れ、刀を手に持つ姿が凛々しい。
「お前、またついてきてるのかよ」
悠斗がニヤリと笑うと、十兵でも、十兵衛が「ふん」と鼻を鳴らした。
「貴様を監視するのが私の役目だ。文句を言うな」
彼女が冷たく言い放ち、悠斗を睨んだ。
「監視って、昨日は一緒に戦ったじゃねえか。もう仲間みたいなもんだろ」
「仲間!? ふざけるな! 貴様とは敵対関係だ!」
十兵衛が顔を赤くして怒鳴った。
「はいはい、分かりましたよ」
悠斗が肩をすくめ、再び歩き出した。
二人はしばらく無言で歩き続け、街道の風景が単調に流れていく。
木々の緑が風に揺れ、遠くに次の宿場町の屋根が見え始めた。
その時、木の影から新たな気配が現れた。
「お、お前ら! 待ってくれよ!」
声が響き、仮面をつけたくノ一が飛び出してきた。
綾音だ。
彼女は豊臣残党の刺客だったが、今は仮面を外し、素顔を晒している。
長い黒髪をポニーテールに束ね、ぴったりした忍装束が豊満な胸と細い腰を際立たせる。
汗ばんだ肌が朝日に光り、太ももが露出した姿が色気を放つ。
「お前! 昨日の変態くノ一じゃねえか!」
悠斗が目を丸くし、十兵衛が刀に手を掛けた。
「また襲う気か! 今度こそ斬る!」
十兵衛が構えたが、綾音が「待って! 待って!」と両手を上げた。
「襲う気はないよ! 仲間にしてくれって頼みに来たんだ!」
「仲間!? 何!?」
悠斗と十兵衛が同時に叫び、目を丸くした。
「えっとね、豊臣の残党には金で雇われただけなんだ。別に忠誠心なんてないよ」
綾音が笑いながら近づき、二人を見上げた。
「でも、あんたの魔法……あの股間が痒くなるやつ、あれがめっちゃ魅力的でさ!」
彼女が目を潤ませ、顔を赤らめた。
「痒いのが気持ちよくて、癖になっちゃって……もっと味わいたいんだ!」
「うわっ、また変態発言!」
悠斗が後ずさり、十兵衛が「何!? この女、頭がおかしいのか!」と刀を抜いた。
「落ち着けって! 斬る前に話聞こうぜ!」
悠斗が十兵衛を止め、綾音に目を向けた。
「で、仲間にしてくれって何だよ? お前、敵だったろ」
「敵だったけどさ、あんたの魔法の方が豊臣の金より価値あるよ」
綾音がニヤリと笑い、忍装束の胸元を軽く開いた。
汗で濡れた谷間が露わになり、色気が漂う。
「豊臣の連中、つまんねえし、金もそんなに多くねえし。あんたの魔法なら毎日楽しめるじゃん」
「楽しむって……お前、マジで変態だな」
悠斗が呆れつつも、内心で「美少女だし、ちょっと魅力的かも」と考えた。
「貴様、こいつを仲間にする気か!」
十兵衛が怒鳴り、刀を悠斗に向けた。
「この女、敵だぞ! 裏切られるに決まってる!」
「まあまあ、落ち着けって。話聞くだけならタダだろ」
悠斗が笑いながら手を振った。
「で、綾音、お前、どうしたいんだ?」
「仲間になって、あんたの魔法をもっと味わいたい!」
綾音が目を輝かせ、近づいてきた。
「痒み魔法、最高だったよ。次はもっと強いので頼むね!」
「強いのでって……お前、どんだけ変態なんだよ」
悠斗が苦笑いし、十兵衛が「ふざけるな! こんな変態、信用できん!」と怒鳴った。
「信用できなくてもさ、敵が減るならいいじゃねえか」
悠斗が肩をすくめ、綾音を見た。
「でも、お前、豊臣残党に裏切ったら殺されるんじゃねえの?」
「大丈夫だよ。あいつら、私がいなくてもどうにかなるし」
綾音が笑い、短刀を手に持った。
「それに、私、戦うのも得意だから。あんたたちに役立つよ」
「役立つって……変態が役に立つのか?」
十兵衛が呆れ、刀を下ろした。
「まあ、貴様がそう言うなら、一応話を聞いてやる。ただし、裏切ったら即斬るぞ」
「了解! 裏切らないよ、だって魔法の方が大事だもん!」
綾音が手を叩き、笑顔を浮かべた。
「じゃあ、仲間決定だな。よろしくな、綾音」
悠斗が手を差し出すと、綾音が「よろしくね!」と握り返した。
その瞬間、彼女が「ねえ、早速魔法かけてよ!」と目を輝かせた。
「うわっ、もうかよ!」
悠斗が慌てて手を離し、十兵衛が「貴様、こいつをどうする気だ!」と怒鳴った。
「とりあえず、次の宿場町まで我慢しろよ」
悠斗が笑い、綾音が「えー、つまんない!」と唇を尖らせた。
「我慢しろと言っただろ! 下品な術を今使うな!」
十兵衛が刀を手に持つと、綾音が「はいはい、分かりました」と肩をすくめた。
三人は再び歩き出し、宿場町へ向かった。
街道の風景が流れ、木々の緑が風に揺れる。
綾音が「ねえ、次はどんな魔法かけるの?」と聞いてくるたび、悠斗が「あとでな!」と返す。
十兵衛は「貴様ら、うるさいぞ」と睨みつつ、内心で「この変態、どう扱えばいいんだ」と困惑していた。
宿場町が近づくにつれ、新たな波乱の予感が漂う。
豊臣残党は綾音の裏切りを知り、復讐を企てる。
そして、悠斗の魔法がさらなる騒動を呼ぶ。