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第八章: 宿屋決戦と仮面くノ一の正体(後編)

佐藤悠斗は、宿屋の部屋で突然の襲撃に目を覚ました。


前日の朝、混浴露天風呂で柳生十兵衛とのドタバタを繰り広げ、その夜を宿で過ごしていた彼だった。


夜の闇が窓を覆い、囲炉裏の火は微かに赤くくすぶっている。


外からは虫の声が響き、風が木の葉をカサカサと揺らす。


だが、その静寂を破るように、宿の壁がドカンと破られ、黒装束の男たちが飛び込んできた。


「うおっ! 何!?」


悠斗が布団から飛び起き、目を丸くした。


Tシャツは汗で湿り、ジーパンは畳に脱ぎ捨てられたまま。


腰に巻いた革袋から金貨がチリンと鳴り、三つ葉葵の家紋が入った小太刀がそばに転がっている。


「貴様が妖術使いか! 死ね!」


黒装束の男が刀を振り下ろし、悠斗が「待て待て!」と叫んだ。


刃が畳をかすめ、木の破片が飛び散った。


「何!? 豊臣残党か!? やべえ、寝てる間に襲われるとか最悪だろ!」


心臓がドキドキし、冷や汗が額に滲んだ。


その時、別の入り口から柳生十兵衛が飛び込んできた。


彼女は幕府の命令で悠斗を尾行し、同じ宿に泊まっていた。


着物は乱れ、刀を手に持つ姿が月光に映えている。


「何!? 豊臣残党か!」


彼女が鋭い声で叫び、悠斗と敵の間に割って入った。


「貴様、敵か!」


「いや、俺じゃねえよ! 助けてくれ!」



悠斗が慌てて弁解すると、十兵衛が「ふん!」と鼻を鳴らした。


「貴様を守る義理はないが、敵を斬るのは私の役目だ!」


彼女が刀を振り、黒装束の男に斬りかかった。


「うおお!」


男が刀で受け止め、火花が散った。


宿屋の部屋は一瞬にして戦場と化し、畳が切り裂かれ、壁に刀傷が刻まれた。


「やべえ、やべえ! 俺、どうすりゃいいんだ!」


悠斗が部屋の隅に逃げ、小太刀を手に持った。


「これで戦えるか? いや、無理だろ!」


その時、窓から新たな影が飛び込んできた。


黒装束とは異なる、軽やかな動きの刺客だ。


仮面をつけたくノ一、名を「綾音」と言う。


彼女は豊臣残党の一人で、妖術使いを仕留めるために送り込まれた。


顔は黒い仮面で隠され、長い黒髪をポニーテールに束ねている。


ぴったりした忍装束が身体を包み、汗ばんだ肌が月光に光る。


短刀を手に持つ姿は、男らしい動きに見えた。


「ふふ、妖術使いはあんたか?」


綾音が低く囁き、仮面越しに悠斗に近づいた。


声は低く抑えられ、性別を隠している。


「うおっ、仮面の奴! 敵かよ!」


悠斗が目を丸くし、心臓がドキドキした。


「こいつも男っぽいな。豊臣の刺客なら容赦しねえぜ!」


彼が呪文を叫び始めた。


「我、佐藤悠斗、深淵に潜む超ヤバい南蛮の精霊を呼び起こし、古の禁忌をぶち開ける! 蠢く影よ、痒みの使者よ、この怪しい奴に超絶迷惑な呪いをぶちかませ! 股間をガリガリ掻きたくなる衝動をぶっ放せ! スーパー・イッチング・カース・オブ・ド変態・アゴニー!」


紫のモヤモヤが噴き出し、綾音を包んだ。


「うっ!? 何!?」


綾音が股間を押さえ、動きを止めた。


「ううっ、痒い! 何だこの術!」


彼女が蹲り、短刀を落とした。


その拍子に仮面が外れ、月光に照らされた顔が露わになった。


長い睫毛に縁取られた大きな瞳、白い肌、艶やかな唇。


美少女だった。


「うおおお!? 美少女!? 男じゃねえのか!?」


悠斗が目を丸くし、鼻血がポタリと落ちた。


十兵衛が戦いながら振り返り、「何!? 女だったのか!?」と驚いた。


「貴様、また下品な術を! しかも女に!」


「いや、俺だって男だと思ってたんだよ!」


悠斗が弁解したが、綾音の反応は予想外だった。


「はぁ……何、この感覚……気持ちいいじゃない!」


彼女が顔を赤らめ、目を潤ませながら股間を掻き始めた。


仮面の下から現れた美貌が、快感に歪む。


「もっと! もっと痒くしてよ!」


彼女が這いながら近づき、豊満な胸が揺れた。


「え!? 何!?」


悠斗が目を丸くし、混乱した。


「やべえ、変態じゃねえか! 美少女なのに!」


十兵衛が「貴様、敵を増やすな!」と怒鳴り、綾音に斬りかかった。


「私は敵じゃないよ! この術、癖になるんだから!」


綾音が短刀を拾い、十兵衛に反撃した。


二人の刀がぶつかり、火花が散った。


「何!? この女、変態か!」


十兵衛が驚きつつも、綾音を押し返した。


「ふふ、痒いの大好き! もっと欲しい!」


綾音が笑いながら攻撃を続け、宿屋の壁に新たな傷が刻まれた。


彼女が掻く手つきが妖艶で、汗ばんだ忍装束が身体に張り付く。


「やべえ、こいつ、俺の術が効きすぎて逆に厄介だ!」


悠斗が頭を抱え、小太刀を手に持った。


「こうなったら、もう一発だ!」


彼が再び呪文を叫んだ。


「我、佐藤悠斗、深淵に潜む超ヤバい南蛮の精霊を呼び起こし、古の禁忌をぶち開ける! 爆炎の使者よ、こいつらに超絶熱い一撃をぶちかませ! エクスプロージョン・オブ・スーパー・アメイジング・ディスティニー!」


手から火花が噴き出し、爆発が宿屋を揺らした。


「うわっ!」


綾音と黒装束の男たちが吹っ飛び、壁に叩きつけられた。


「熱い! でもこれもいい!」綾音が笑いながら倒れた。


美少女の顔が快感に歪み、変態性が際立つ。


「変態すぎるだろ!」


悠斗が呆れ、十兵衛が「貴様、宿を壊す気か!」と怒鳴った。


宿屋の主が「何だこの騒ぎは!」と飛び込んできた。


「すみませんでした!」


悠斗が頭を下げると、十兵衛が「貴様のせいだ!」と刀を向けた。


「待て待て! 敵が悪いんだろ!」


二人が言い争う中、綾音が立ち上がった。


「ふふ、最高だったよ。また会おうね、妖術使い」


彼女が妖艶な笑みを浮かべ、仮面を拾って顔を隠した。


「次はもっと楽しませてね」


綾音が残党と共に逃げ出し、夜の闇に消えた。


「逃がすか!」


十兵衛が追おうとしたが、宿屋の主が「もうやめろ!」と止めた。


「すんませんでした……」


悠斗が頭を下げ、十兵衛が「ふん」と睨んだ。


「貴様、次は絶対に斬る」


彼女が刀を収め、部屋を出た。


悠斗は壊れた宿屋で一人、苦笑いした。


「いやー、仮面の下が美少女で変態って、異世界、面白すぎるぜ」


宿屋の主が「修理代払えよ」と怒鳴り、彼は「金ならあるっす」と答えた。


この夜の騒動は終わりを迎えたが、物語はまだ続く。


綾音の奇癖と豊臣残党の復讐心が、再び悠斗を追い詰める。



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