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第十一章: 山道の迷子と変態の笑顔

佐藤悠斗は、宿場町での騒動を終え、日光街道から水戸街道へ向かう旅を続けていた。


前日、柳生十兵衛と変態くノ一・綾音と共に新しい服を買い、ラッキースケベで一悶着あった彼だった。


空は薄曇りで、木々の間を抜ける風が涼しい。


街道沿いの土は乾き、歩くたびに小さな埃が舞う。


鳥のさえずりが遠くで響き、時折、木の葉が風に舞って地面に落ちる。


悠斗は新調した藍色の着物を着て、気分良く歩いていた。


「いやー、異世界の服って動きやすいな。Tシャツよりこっちの方がカッコいいかも」


腰には三つ葉葵の家紋が入った小太刀が揺れ、革袋の金貨がチリンと鳴る。


柳生十兵衛が後ろを歩き、深緑の新しい着物を着ている。


彼女は幕府の任務で悠斗を監視しつつ、綾音を警戒していた。


「貴様、その軽い態度が気に入らん。旅はもっと慎重に進め」


冷たく言い放ち、刀を手に持つ姿が凛々しい。


綾音が「ねえ、私の新しい服どう?」と笑いながら近づいてきた。


彼女は忍装束から軽い着物に着替え、胸元が開いたデザインが色気を放つ。


「動きやすいし、魔法受けるときもいい感じだよ!」


「変態が服にこだわる必要あるのか?」


十兵衛が呆れ、刀に手を掛けた。


「まあまあ、みんな新しい服で気分いいだろ。次は水戸街道だぜ」


悠斗がニヤリと笑い、三人は街道を進んだ。


だが、道は次第に細くなり、木々が密に生い茂る山道へと変わっていった。


「ん? なんか道が怪しくなってきたな」


悠斗が首を傾げ、周囲を見回した。


木々の間は薄暗く、地面には苔が広がり、足音が鈍く響く。


風が木の枝を揺らし、不気味なざわめきが聞こえる。


「貴様、まさか迷ったのか?」


十兵衛が目を細め、悠斗を睨んだ。


「いや、迷ってねえよ! 水戸街道ってこっちで合ってるはず……だろ?」


彼が自信なさげに呟くと、綾音が「ふふ、迷っちゃった?」と笑った。


「迷っても楽しいよ。山道ってワクワクするよね!」


「ワクワクしてる場合じゃねえだろ!」


悠斗が焦り、道を探したが、どれも似たような細道ばかりだ。


「やべえ、マジで迷ったかも……」


冷や汗が額に滲み、心臓がドキドキした。


十兵衛が「貴様のせいでこうなる! 私が道を探す」と刀を手に進んだ。


だが、彼女も数歩進んだところで立ち止まった。


「何!? 道が分からん!」


「え、お前もかよ!」


悠斗が驚き、綾音が「ふふ、二人とも迷子だね!」と笑った。


「笑ってる場合か! お前も探せよ!」


三人が山道をウロウロし始め、木々の間で混乱が広がった。


その時、綾音が「ねえ、あそこに何かあるよ!」と指差した。


木の陰に古びた小屋が見える。


屋根は苔むし、壁は朽ちかけで、不気味な雰囲気が漂う。


「うわ、怪しすぎるだろ。でも、他に選択肢ねえか」


悠斗が小屋に近づき、ドアを叩いた。


「すんませーん、誰かいますか?」


中から返事はないが、ドアが軋んで開いた。


「入ってみるか?」


彼が中を覗くと、十兵衛が「待て、罠かもしれん!」と止めた。


「罠でもなんでも、道分かんねえんだから仕方ねえだろ」


悠斗が入ると、十兵衛と綾音も渋々ついてきた。


小屋の中は薄暗く、埃っぽい匂いが漂う。


囲炉裏の跡があり、古い布団が隅に転がっている。


「誰もいねえな。とりあえず休憩するか」


悠斗が布団に座ろうとした瞬間、床がガタンと揺れた。


「うおっ!?」


三人が驚き、床板が外れて地下への穴が現れた。


「何!? 罠か!」


十兵衛が刀を構えたが、綾音が「面白そう!」と笑った。


「面白そうじゃねえよ!」


悠斗が叫んだ瞬間、三人が穴に落ちた。


「うわああ!」


暗闇の中を滑り落ち、ドスンと地面に着地した。


「痛てて……どこだここ?」


悠斗が立ち上がると、地下は洞窟のようだった。


岩壁が湿り、遠くから水の滴る音が聞こえる。


十兵衛が「貴様のせいでこうなる!」と怒鳴り、刀を手に持つ。


「俺のせいじゃねえだろ! お前も落ちたんだから!」


二人が言い争う中、綾音が「ふふ、秘密の洞窟だね!」と目を輝かせた。


「秘密とか言ってる場合か! どうやって出るんだよ!」


悠斗が焦り、洞窟を見回した。


その時、十兵衛が「貴様、また妙なことを!」と怒り、彼に近づいた。


「妙なことって何だよ! 俺だって迷ってるだけだろ!」


言い争う中、十兵衛が足を滑らせ、悠斗にぶつかった。


「うおっ!」


「きゃっ!」


二人が絡まり、十兵衛の着物がずれて豊満な胸が露わになった。


汗ばんだ肌が洞窟の薄暗さに光り、柔らかな曲線が目の前に迫る。


「うおおお!?」


悠斗の目が釘付けになり、鼻血がポタリと落ちた。


「貴様! またスケベな目で!」


十兵衛が顔を赤くして叫び、彼を突き飛ばした。


「す、すまねえ! わざとじゃねえんだよ!」


悠斗が謝りつつ、内心で「ラッキースケベ最高!」とニヤついた。


「わざとでなくても許さん! このスケベ妖術使い!」


十兵衛が刀を抜き、悠斗に迫った。


「待て待て! 斬るのはやりすぎだろ!」


彼が後ずさり、呪文を叫んだ。


「我、佐藤悠斗、深淵に潜む超ヤバい南蛮の精霊を呼び起こし、古の禁忌をぶち開ける! 蠢く影よ、痒みの使者よ、この怒り狂う女に超絶迷惑な呪いをぶちかませ! 足の裏をガリガリ掻きたくなる衝動をぶっ放せ! スーパー・イッチング・フット・オブ・ド変態・アゴニー!」


紫のモヤモヤが噴き出し、十兵衛を包んだ。


「うっ!? 何!?」


彼女が足の裏を押さえ、蹲った。


「ううっ、痒い! 足の裏だと!? 貴様、下品すぎる!」


「これで少しは落ち着けよ!」


悠斗がニヤニヤした。


だが、モヤが広がり、近くにいた綾音にもとばっちりが及んだ。


「うわっ! 私にも!?」


綾音が足の裏を押さえ、倒れた。


「ううっ、痒い! でも……気持ちいい!」


彼女が顔を赤らめ、目を潤ませながら足を掻き始めた。


「もっと! もっと痒くしてよ!」


「え!? また変態発動か!」


悠斗が目を丸くし、十兵衛が「貴様、この変態まで巻き込むな!」と怒鳴った。


「いや、俺のせいじゃねえよ! 勝手に喜んでるだけだろ!」


悠斗が弁解したが、綾音が「最高だよ! 足の裏もいいね!」と這いながら近づいた。


「うわっ、近寄るな!」


彼が後ずさると、十兵衛が「解除しろ! 今すぐだ!」と叫んだ。


「分かった、分かった! 痒み、消えろ!」


紫のモヤが消え、二人の痒みが収まった。


「はぁ……貴様、本当に最低だな」


十兵衛が息を荒げて立ち上がり、刀を握り直した。


綾音は「ふふ、楽しかったよ」と笑い、汗ばんだ身体を起こした。


着物が肌に張り付き、色気が漂う。


「次はもっと強いので頼むね!」


「お前、どんだけ変態なんだよ……」


悠斗が呆れ、洞窟を見回した。


「とりあえず、ここから出ねえと」


三人は洞窟を進み、出口を探した。


だが、遠くから足音が聞こえ、豊臣残党が迫っていた。


「あの妖術使いと綾音、ここにいるらしいな」


「裏切り者を始末しろ!」


黒装束の男たちが刀を手に近づく。


悠斗の魔法と変態くノ一が、新たな波乱を呼ぶ。



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