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第12話:揃い始める駒

どうもお久しぶりです

投稿期間空いてしまって申し訳ございません

これからちょこちょこ投稿していこうと思います

 「調停局……観測期間……試練……」

 登校後も、その言葉が頭から離れなかった。

 教室に入っても、周囲のざわめきがどこか遠い。

 (二週間、か……)

 猶予としては短い。

 だが、何も知らないまま迎えるには——致命的に長い時間でもあった。

 昼休み。

 俺は人気のない中庭に呼び出されていた。

 そこにいたのは、氷室玲奈。

 いつもと変わらぬ余裕の微笑みを浮かべているが、今日はその奥に、はっきりとした緊張があった。

 「……もう来たのね、“観測者”」

 玲奈は俺の顔を見るなり、そう言った。

 「知ってたのか?」

 「ええ。正確には、“いずれ来る”と分かっていた、かしら」

 玲奈はベンチに腰掛け、足を組む。

 「調停局はね、力を持つ者を三つに分類するの」

 「三つ?」

 「管理可能な者、利用可能な者、そして——排除対象」

 その言葉に、胸の奥がひやりと冷える。

 「悠真くん。あなたは今、その境界線に立っている」

 「……排除される可能性もあるってことか」

 「ええ。でも同時に、最も“価値がある”とも言えるわ」

 玲奈は立ち上がり、俺の目の前まで歩み寄った。

 「だからこそ、あなたには“陣営”が必要になる」

 「陣営?」

 「味方よ。あなたが一人で立つには、この世界は少しだけ……狡猾すぎる」

 その直後、空気が変わった。

 「……その話、私も混ざっていい?」

 低く落ち着いた声。

 振り向くと、そこには柊木乃香が立っていた。

 いつも通り無表情だが、その立ち姿は明確に“護衛”のそれだった。

 「聞いていたのか」

 「あなたに関わることだから」

 木乃香は短くそう言い、玲奈を一瞥する。

 「……氷室先輩。あなたは、主を“利用”する側?」

 「ふふ、怖いわね」

 玲奈は笑うが、否定はしなかった。

 「私は“導く”側よ。支配か、共存か——選ばせてあげる立場」

 その会話を聞きながら、俺ははっきりと理解する。

 もう、後戻りはできない。

 放課後、今度は九条つばさが俺を研究室に連れ込んだ。

 「悠真、調停局の“試練”について、少し解析できたわ」

 彼女はモニターを操作し、いくつかのデータを表示する。

 「試練は一つじゃない。

 戦闘、判断、統率……複数のフェーズで“支配者としての適性”を測る」

 「……支配者、か」

 つばさは一瞬、言葉に詰まったが、真剣な表情で続けた。

 「私は、その言葉が嫌い。でも……現実はそういう基準で動いてる」

 彼女は俺をまっすぐ見つめる。

 「だから決めて。

 あなたが“誰を守る存在”になるのか」

 夕暮れの帰り道。

 俺の脳裏には、次々と顔が浮かんでいた。

 玲奈——世界の裏側を知る者。

 つばさ——理性と現実を突きつける者。

 木乃香——迷いなく剣となる者。

 そして、美羽——俺を“兄”として見てくれる、最後の日常。

 (二週間後……)

 その時、俺はただの高校生ではない。

 何かを率い、何かを選び、何かを背負う存在になる。

 俺は、静かに拳を握った。

 ——支配するためじゃない。

 ——奪うためでもない。

 守るために、この力を使う。

 それが、今の俺が出した唯一の答えだった。

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