小躍り
徳川家康の意を汲んだ石川家成は、三河国内の一向宗に対し武具と兵糧。そして資金の提供を要求。
「これは借財でありますか?」
と問いに
「いえ、献金であります。」
の回答に一向宗側は激怒。信徒に対し、一斉蜂起を指示したのでありました。この緊急事態に対し家康は……。
徳川家康♪♪♪
小平太「殿。如何為されましたか?」
徳川家康「いや。一向宗の連中が帰るまで笑いを堪えるので必死であったのでな。」
小平太「資金の提供を拒まれたのでありますよ。」
徳川家康「そうだよ。」
小平太「彼らの捨て台詞。殿もお聞きになられたのではありませんか?」
徳川家康「聞いたよ。俺の命を奪うとな。」
小平太「それでいて何故小躍りされているのでありますか?」
徳川家康「とにかく奴らが目障りでならないのだよ。」
ここで徳川家康が何故三河の一向宗が目障りと感じているのかについて説明します。
我々の居る岡崎の横を流れる矢作川を下った場所に自然堤防となっている場所があります。そこに村が発生。名は「渡」。鎌倉街道も通る水運陸運共に恵まれた要地。ここに「浄心」と言う金持ちがいます。彼がどのようにして財を成したのか?と言いますと、そうです。一向宗の寺で商売をしていたからであります。
三河には本證寺や上宮寺と言った一向宗の寺があり、町を形成。ここに大浜等海路三河湾に入って来た物資が集積。岡崎の方々はこれらの寺を介し取引をしなければならない状況にありました。これは徳川家康も例外ではありません。
徳川家康「普通に商売をし、儲けている事が問題では無い。問題はその儲けを何処に向かうかだ。」
何処でしょうか?
徳川家康「一向宗の総本山である本願寺に決まっておろう。」
でもそのために商売をしてるのでは無いのですか?
徳川家康「その結果、岡崎はどうなっている?奴らからの借金で首が回らなくなっている者が多数居るでは無いか。」
確かに。
徳川家康「このまま放置していては三河を落ち着ける事等出来ぬ。」
だからと言って解体は乱暴に過ぎませぬか?仮に解体に成功した場合、一向宗があるが故に齎される物資が入らなくなってしまいますよ。
徳川家康「民が借金漬けにされるよりはマシであろう。」
確かに。では質問を変えましょう。もし一向宗の方々が殿の経済顧問となり。儲けの幾ばくかを殿に献金して来た場合、彼らをどのように処遇されるのでありますか?
徳川家康「……。」
地獄の沙汰の金次第?
徳川家康「……少し考えさせてもらおうかな?」