表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/7

認めたのでは無く

 徳川家康始め、重臣方より注意されています小平太。のちの榊原康政に御座います。今は家康の小姓をしています。この話で私も表舞台に登場する予定になっていますが、それと並行してナレーションの役目も務めさせていただきます。今は家康の小姓として、同じ場所で捕捉ないし茶々を入れていますが。今後、私の居ない場面で合いの手を入れる機会があると思われますが……その辺りはよしなに。


石川家成「殿。それだけはお止め下され!」

徳川家康「何故そう申す?」

石川家成「一向宗に対する『不入の権』は、殿の御父上であらせられます広忠様が決められた事。それを覆すのは如何かと……。」

徳川家康「家成。今のうちの状況。わかっておるよな?」

石川家成「はい。義元が亡くなったとは言え、今川は駿河遠江の全域。そして三河の大半を領す強敵。今、我らが持つ資金だけで討ち果たすのは困難にあります。」

徳川家康「しかし私は今川に屈するつもりは無い。」

石川家成「私も同じ意見であります。」

徳川家康「勝つために必要な事は何だ?」

石川家成「新たな資金を確保する事にあります。」

徳川家康「織田殿や水野様に頭を下げるつもりは無いぞ。」

石川家成「御意であります。」

徳川家康「では何処から捻出する?私は岡崎の方々の労苦を知っている。故に新たな税を課すような真似はせぬ。」

石川家成「私も同じであります。」

徳川家康「あと残された選択肢は1つしか無いであろう?」

石川家成「う~~~ん。」

徳川家康「それに先程家成は

『父広忠が一向宗に対し不入の権を認めた。』

と言ったよな?」

石川家成「はい。」


 本当にそうだと思うのか?


徳川家康「父は祖父清康の急逝に伴い、わずか10歳で松平を継ぐ事になった。しかし周りの親戚家臣は分裂。父は流浪の日々を余儀なくされ、今川の助けを借り。やっとの事で岡崎に戻る事が出来た。当然、基盤は脆弱。西からは織田。東からは今川の圧迫を受け、岡崎を守るだけでやっとの状態であった。斯様な情勢下で、父が一向宗の権益を認める余裕があったと思うか?父は認めたのでは無い。一向宗の要求を呑まされたのだ。」


 確かに。


徳川家康「今の我らも苦しい状況にある。しかし苦しいのは経済力のみ。いくさでは負けぬ。武で以て一向宗に圧力を加えれば、彼らの協力を得る事が出来るかも知れぬ。」

石川家成「もし拒絶されたら如何為されますか?」

徳川家康「答えるまでも無いであろう。」

石川家成「……わかりました。少しお時間をいただけますか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ