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第二十五章 浄化の儀式(1)

ブクマと「いいね」ありがとうございます!

「――リ。起きて、ルリ」


 ゆさゆさと揺さぶられて、あたしは、うーん、と声を上げながら目を開いた。


「シア……?」


 寝台の横に立っている人物を、ぼんやりと見上げる。木窓が開けられているようで、部屋の中は明るい。シアは今日も美人だなあ。


「起こしちゃってごめんなさい。でも、自分の部屋に戻る前に、ルリに言っておきたくて。二人で眠ったのに、起きて一人ぼっちだったら、さびしいでしょう?」


 シアが喋っている間に、あたしの頭もはっきりしてきた。そうだ、昨日はシアと一緒に眠ったんだった。


 あたしは、がばりと体を起こした。


「お、おはよう、シア」


「おはよう、ルリ」


 微笑むシアは、もう服を着ているし、髪もきれいに整えられていて、いつでも外に出られる格好になっている。


「それじゃあ、わたし行くわね。――次に会う時は、いよいよ儀式ね。がんばりましょう」


「あ、シア。えっと……」


 あたしは口ごもった。何か言いたい気がするんだけど、何を言えばいいのか思いつかない。


 小首を傾げてあたしを見ていたシアが、ふと何かを思いついたような顔をして、距離をつめてきた。額にそっと唇が触れる。


「あなたに神々のご加護がありますように」


 しみ入るような声でそう言って、シアはあたしから離れた。そのまま扉に向かっていく。あたしは慌ててその背中に声をかけた。


「シ、シアも!」


 シアが振り向く。


「シアにも神々の加護があるように、あたし一生懸命祈るから! だから、だから……」


 死なないで、と言いたい。でもそれは、シアにはどうしようもないことだ。シアが絶対に生き残るつもりで儀式に臨んだって、死んでしまう時は死んでしまう。だったら、何を言えばいいんだろう?


「ありがとう、ルリ」


 シアは微笑むと、扉の向こうに姿を消してしまった。扉が閉まる音と同時に、あたしはがっくりと肩を落とした。


 あーあ。こういう時にかっこ良く決め台詞の一つでも言えたらなあ。といっても、そんな自分はちょっと想像できないけど。


 いつまでもそうしていても仕方ないので、あたしはとりあえずシアに言ったとおり神々に祈りを捧げることにした。昨夜眠りに落ちる前に心の中で唱えていた祈りを繰り返す。そうすると、少しだけ心が楽になった。


 そう、運は天に任せるしかない。あたしは、自分にできることをするだけだ。そして、今あたしにできることは、しっかり朝食を取って儀式に備えることだ。


 そう決めて急いで身支度して、一階に下りていく。今日は食堂は臨時休業だから、食事を作るのはあたしと義姉さんの仕事だ。


 義姉さんはもう起きていて、台所で料理を始めていた。いいにおいが台所に充満している。これは香草のにおいだ。


「おはよう、義姉さん」


 声をかけると、義姉さんが振り向いた。


「おはよう、リューリア」


 その顔も声もどこかぎこちない。緊張しているのが伝わってくる。いよいよ儀式だし、義姉さんも不安なんだろう。


 あたしは義姉さんの肩にそっと触れて、微笑みかけた。


「いいにおいだね。香草焼き?」


「そう。大事な日だからいい物をって思ってね」


「そっか。あたしは何をすればいい?」


「野菜の酢漬けを出してくれる?」


「わかった」


 あたしはさっと顔を洗うと、床にある開き戸を開けて、床下の食糧庫から陶器の壺をいくつか取り出した。それぞれに違う野菜が漬けてある。家族の好みに合わせて、野菜を取り出して違う組み合わせで皿に置いていく。


 陶器の壺をしまったところで、兄さんが台所に顔を出した。


「パン、焼けたぞ。居間のテーブルの上に置いておいた」


 食堂の厨房でパンを焼いていたらしい。


「ありがと、フュリド。あとは休んでて」


「おう。うまい飯、楽しみにしてるぜ」


 兄さんは笑って居間に消えていった。いつもと大して変わらない様子だ。肝が据わってるんだか、のんきなんだかは、わからないけど。


 すぐにラピスと父さんも起きてきて、朝食になった。


 居間を満たすのはほとんどがラピスと兄さんの声だ。儀式のことが気になって、あたしはどうしても口数が少なくなってしまう。義姉さんもそれは同じようで、ラピスや兄さんの言葉に相槌を打つ以外はほとんど喋らない。父さんが無口なのはいつもどおりだ。


 そんな感じでいつもと違う朝食が終わると、あたしと義姉さんで後片づけをする。終わったのを見計らったように、兄さんが台所をのぞき込んできた。


「リューリア、そろそろ出るか。まだ時間に余裕はあるけど、遅れるよりは早い方がいいだろ」


「そうだね。ぎりぎりで何か変更点とかあるかもしれないし」


 あたしは前掛けを脱いで片づけると、台所の出口に足を向けた。歩き出そうとする兄さんをつかまえて、台所の中に押しやる。


「兄さんは、義姉さんにちゃんといってきますの挨拶してから来なよ」


 言外に、義姉さんの不安をやわらげてあげて、ってにおわせたのが伝わったようで、兄さんは台所の中に入っていって、義姉さんを抱きしめた。


 あたしは盗み聞きにならないようさっさとその場を後にした。宿屋の入口に向かうと、ラピスと父さんが待っていた。予想外の姿に、あたしは目を丸くしてしまった。


「父さん、見送りに来てくれたの?」


 父さんは、むすっとした顔で首を振る。


「いや。……俺も儀式に参加する」


「え……」


「人数が増えれば、それだけ死人が出る確率も下がるんだろう」


「そうだけど……いいの? あんなに反対してたのに」


「俺は瘴気の浄化に協力すること自体に反対してたわけじゃねえ。それでおまえやフュリドが死ぬかもしれねえのが嫌なだけだ。おまえらがどうしても儀式に参加するってんなら、俺もするさ」


「……ありがとう、父さん」


 父さんは肩をすくめてそっぽを向いた。


 あたしは、膝をついてラピスと目線を合わせた。


「ラピス、あたしがいない間はなるべく感情を抑えて、魔力暴走を起こさないようにするんだよ。いつもどおりにしてれば大丈夫だとは思うけど、とにかく気持ちを落ち着けることだけ考えててね」


 ラピスはちょっと緊張した顔でうなずいた。


「わかった。俺、がんばるから、リューリア姉ちゃんもがんばってな!」


「うん。がんばる」


 あたしはラピスの頭をぐしゃぐしゃとなでて、立ち上がった。


 ラピスを置いていくのと連れていくののどっちが良いのかは、正直かなり迷った。でも連れていくと、儀式の途中で家族や知人が倒れるのを見て怖い思いをする可能性が高い。それで魔力暴走を起こしてしまった時、あたしたち魔術師がその事態に対処できる状態にあるかわからない。


 それで、結局置いていくことにした。魔獣が襲ってきた時、数時間放っておいても魔力暴走を起こさなかったし、今回も大丈夫だと信じたい。


 足音がして振り向くと、兄さんと義姉さんが寄り添ってこっちに歩いてくるところだった。義姉さんの顔は、いつもどおりとは言えないけど、さっきまでよりは大分やわらかくなっている。


 あたしたちの元まで来て立ち止まった兄さんは、最後にぎゅっと義姉さんの肩を抱きしめてから、離した。


「それじゃ、行ってくるな、セイーリン、ラピス。留守を頼んだぞ」


「ええ。……帰りを待ってるわ」


「いってらっしゃい、父ちゃん! リューリア姉ちゃんも、じいちゃんも!」


 義姉さんとラピスに見送られて、あたしと兄さん、父さんは家を出た。町の南にある空き地に向かう。


「いよいよ儀式だと思うと、緊張してくるな」


「兄さんも緊張してるの? 全然そんな風に見えないよ」


「そりゃ緊張してるさ。何たって命がけの大仕事だ」


 緊張の感じられない口ぶりでそう言ってから、けどまあ、と兄さんは付け加えた。


「俺、ここで死ぬ気はねえからな。無事に生き延びて、セイーリンのおなかの子どもの顔も見るし、ラピスやその子や他に子どもが生まれたらそいつらも成人するのを見届けるし、その後はセイーリンと白髪になるまで幸せに暮らすって決めてるからな」


 死ぬつもりがないからって死なないとは限らないけど、それを言うのは野暮ってものだろう。


「あたしも兄さんの楽観的なところ、見習いたいよ」


「それ、褒めてるか?」


「もちろん褒めてるよ」


「ならいいけどよ」


 そんなお喋りをしながら歩くと、周囲にどんどん人が増えてくる。皆同じ方を目指しているので、多分儀式のためにあたしたちと同じ場所に向かっているんだろう。

 まだ町を出ていないのに、相当な混み具合だ。全員が儀式の参加者ではないだろうけど、これだけの人が手助けをしてくれるんだと思うと、喜びが高まる。同時に緊張感も増していくけど。


 周囲を歩く人の歩みがどんどん遅くなっていく。混んでいてなかなか進めないんだろう。でもあたしは後ろの方で止まっているわけには行かないので、人波の中を強引に進んで、ようやく目的地の空き地に着いた。


「兄さん、シアたちかお師匠の姿見える?」


 うちの家族で一番背の高い兄さんに尋ねてみる。兄さんはきょろきょろと辺りを見回してから、特に人の多い所を指差した。


「町長さんはあっちにいるみたいだぜ。イァルナさんたちもそこじゃねえか?」


「じゃあ、あたしも行ってみる。また後でね」


「ああ」


 人混みをかき分けて前に進む。兄さんと父さんが一緒だったさっきまでとは違って、一人で進むのは、背の低いあたしには結構大変なんだけど、あたしの姿に気づいた人たちが「おい、リューリアだ」、「魔術師の嬢ちゃんだ。通してやれよ」と道を空けてくれたので、何とか町長さんの元にたどり着いた。


 そこには予想どおりお師匠とシアがいた。レティ母様とヨルダ父様はまだ来ていないみたいだ。


「おはようございます、お師匠。シアも」


「おはよう、リューリア。しっかり休んで朝食もちゃんと取ってきたかい? 今日の儀式の要はあんたなんだからね。寝不足や空腹で体力や気力が足りない、なんてことになったら目も当てられないよ」


「大丈夫、です。体調は万全ですから」


 ゆうべはちょっと夜更かししちゃったけど、シアと一緒で幸せだったせいかよく眠れたから、寝不足ってことはない。朝ごはんもしっかり食べたし。


「ならいいよ」


 お師匠がうなずいたところで、横から声がかかった。


「イァルナさん、ルチルさん、ちょっといいかね」


 町長さんが若い男性を連れて、こっちに歩いてきた。


「実はこのカールスが、どうしても儀式に参加したいと言い張っているんだがね」


 お師匠はカールスさんを見て、目を細めた。


「あんたは確か魔獣に怪我を負わされた奴だろう。瘴気の浄化を助ける薬を貰いに来たんで憶えてるよ」


 よく見てみると、あたしも見憶えがあった。怪我の治し方がわからなくてシアの助言を仰いだ時の人だ。


「あんたの怪我はまだ治ってないはずだ。怪我人は儀式に参加させられない、って通達しただろう。諦めな」


 すげなく言いきったお師匠に、カールスさんは縋るように言う。


「そこを何とか頼みますよ。妹たちが儀式に参加するって言うんです。女のあいつらが町のために命をかけるのに、兄貴の俺がただ見てるだけなんて、できねえんですよ。一人でも参加者が増えれば助かるんでしょう?」


「参加者は誰でもいいわけじゃない。怪我人は怪我の回復に力を使ってるから、他の身体機能が落ちてる。しかも瘴気の後遺症が残ってる怪我人っていうなら、尚更だ。あんたの体はただでさえ体内の瘴気を浄化するのに一生懸命なんだ。そこに更に瘴気を取り込んだら死ぬだけさ。死ぬとわかってて参加を許すわけには行かないね」


「けど……」


 なおも言い募ろうとするカールスさんの肩に、町長さんが手を置いた。


「イァルナさんの説明を聞いて参加できない理由はわかっただろう、カールス。聞き分けてくれ。私も町長として、最初から死ぬとわかっている者を儀式に参加させるわけには行かないんだ」


「町長さん、でも俺は……」


「儀式では、参加者以外にも手助けをしてくれる人も必要となる。そちらで力を貸してくれればいい。今回は君が命をかける巡り合わせじゃなかったんだ。今後また町のために働く機会はいくらでもある。今は呑み込んでくれ」


 町長さんに重ねて言い聞かされ、カールスさんはがっくりと肩を落とした。


「わかりました……」


 カールスさんがこちらに背を向けてとぼとぼと去っていく。町長さんは、ふう、と息を吐いて、お師匠に視線を向けた。


「助かったよ、イァルナさん。わざわざ出てきてもらって悪かったね」


「ま、これも仕事の内さ」


 お師匠が肩をすくめる。町長さんは、さっきまで話していた人たちの所に戻っていく。そっちには丸薬が山盛りになった器を抱えた人が数人いるから、儀式の手伝いをする人たちと打ち合わせしているんだろう。医者のリーナス先生の姿も見える。


「すみません。通してください」


「失礼します」


 聞き慣れた声に視線を向けると、人波をかき分けてレティ母様とヨルダ父様がやってきた。


「レティ母様、ヨルダ父様、おはよう」


「おはよう、ルリ。さすがに人が多いね」


「ルリ、おはよう。心の準備はできてる?」


 レティ母様に顔をのぞき込まれて、あたしは緊張で強張る頬を何とか笑みの形に動かした。


「一応、ね」


 でも、儀式の成否があたしの肩にかかってるんだと思うと、心臓が痛いくらい高鳴ってくる。小さく震えるあたしの手を、やわらかな手がそっと握った。横を見ると、シアがあたしに寄り添うように立っている。


「ルリなら大丈夫よ。わたしが知らなかった瘴気の浄化方法を見つけてきて、こんなにたくさんの人の協力まで取りつけてしまったんだもの。儀式だってきっと成功させられるわ」


 澄みきった声が体にしみ渡るような感じがして、ちょっと落ち着いてきた。


「うん。ありがと、シア」


 シアはいつだってあたしに勇気と力をくれる。あたしは心からの感謝をこめてシアの手を握り返した。


 カラーン、カラーン、と鐘の音が響いてくる。三の鐘だ。


 町長さんがパンパンと手を打ち鳴らす音が、風魔法で空き地全体に響く。


「時間だ。皆、瘴気の浄化の儀式のために集まってくれてありがとう。用意はいいかね」


 空き地に集まった人々が、応えて威勢の良い声を上げる。


「それでは、リューリア、こっちに来てくれ」


 あたしが町長さんの隣に立つと、逆隣に丸薬の入った器を持った人の一人が立った。


「儀式への参加を希望する者はリューリアの前に並んでくれ。リューリアと握手したら、丸薬を貰って飲んでくれ」


 町長さんの言葉に従って、あたしの前に列ができる。あたしは次々にやってくる人たちとどんどん無属性の魔力の紐でつながっていった。


 兄さんと父さんは結構前の方に並んでいて、すぐにあたしの前にやってきた。兄さんは「がんばれよ」と声をかけて、父さんは何も言わず、作業が終わると離れていく。


 列に並んでいる人は最初は男性が多かったけど、徐々に女性も増えてくる。ティスタも家族と一緒に並んでいて、緊張混じりの笑みをあたしに向けてから、離れていった。


 女性の数は思ったよりも多いようで、嬉しくなった。そうだよね。自警団に所属していなくても町のために命をかける覚悟のある人はたくさんいるんだよね。あたしは間違ってなかったんだ。


 でもこの作業、思ったよりしんどいな。百人を超えたくらいから疲労感を覚え始めた。単調な作業の繰り返しだからか、魔力をどんどん使っているからかはわからないけど。どっちもあるだろうか。


 あたしは深呼吸して気を引きしめ直した。まだまだ先は長いんだ。こんなところでバテてはいられない。


 魔力の紐をつないで、つないで、またつなぐ。もう半分くらいは終わったと思うんだけど、さすがに数えていられなくて、わからない。


 あ、レザレイリアさんだ。おつきの人は並んでいない。魔力の紐でつながると、にこっと笑って丸薬を受け取ってから、お師匠の隣に立った。


 視線を前に戻して次の人に手を伸ばす。ああ、何だか頭がくらくらする。それでも何とかこらえながら作業を続けていると、誰かにぎゅっと腕をつかまれた。


「一旦休憩してこれを飲みな」


 お師匠の声と共に、陶器の小瓶が差し出される。


「魔力の回復薬……ですか?」


「ああ。もう結構魔力を使っただろう。あんたの魔力量ならまだ余裕があるだろうが、回復までは多少時間がかかるから、今のうちに飲んどきな」


 素直に受け取って、瓶の中身を飲み干す。苦みに思わず顔をしかめてしまうけど、そのおかげで切れかかっていた集中力が戻ってきた気がする。


 あたしは小瓶をお師匠に返すと、パンパンと自分の頬を叩いて気合いを入れ直した。


「こちらもどうぞ。フェムルのジュースです」


 声と共にコップが差し出される。町長さんの家で見かけたことのある年配の女性だった。


「ありがとうございます」


 ありがたく貰っておく。フェムルのジュースは高級品で滅多に飲めない。口に含むと甘酸っぱさが口内に広がっていく。しっかり冷やしてあるおかげもあって、本当においしい。じっくり味わって飲んでから、コップを女性に返した。


「おいしかったです」


「それはようございました」


 女性は微笑んで、下がっていった。


 あたしは前に並んでいる人たちに視線を戻した。


「お待たせしてすみません。再開します」


 疲労のせいで、最初と比べると、一人と魔力の紐でつながるのにかかる時間が長くなっている。でも焦らずに、しっかりつながっていく。


 それからまた百人くらいとつながっても、魔力は切れる気配を見せない。回復する傍から使っているせいで回復薬の効果は実感できないけど、ちゃんと効いているみたいだ。


 しんどくなると短い休憩を入れながら、作業を続けて、ようやく並んでいる人がいなくなった。


「もう儀式への参加を希望する者はいないね?」


 町長さんが周囲を見回すけど、誰も前に出てくる様子はない。


「よし、それでは私の番だ」


 町長さんがあたしに手を差し出してくる。その手を取って、魔力の紐でつながる。


 その後、シア、レティ母様、ヨルダ父様ともつながった。これで儀式の準備は完了だ。


「それじゃあ、儀式を始めるよ。途中で倒れる者も出ると思うから、怪我をしないよう皆座っとくれ」


 お師匠の言葉に、集まっている人のほとんどがざわざわしながら何とかつめあって座る。立っているのは、儀式に参加しない手伝いの人たちだ。


 それを確認してから、お師匠はシアとレティ母様、ヨルダ父様の方を見た。三人がうなずいて、片手を地面につけ、片手を空に向ける。



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