何時になったら着くのよ!
「魔蛇夢さま……外は霧が大変に濃ゆう御座います!」
「何時になったら着くのよ!」
ガシャ〜ン……。
「あ〜っ……魔蛇夢さま〜……ゴムタイ……ヤ〜……あ〜あ〜あ〜……(パタリと、態とらしく倒れ込む)」
「オハラ! その大根演技何とかならないのかしら……棒読み過ぎて、分かっていても……カチンと来るんだけど……? 其れに……このガシャ〜ングラスの、ガシャ〜ンて音……どうしてガシャ〜ン何かしらね……? この薄いイタリアングラスが、ガシャ〜ン何て音するかしらね……? 其れにね! 赤ワインジェルの飛び散り方と、固まり方がイマイチね……?」
「いやいやいやいやいやいやいやいや……言わせて頂きますけどね……そもそもが、魔蛇夢様がココでガシャ〜ンと行きたいのよね……からのスタ〜トで御座いますし! その為だけのイタリアングラスを特注で壱年ががりですよ! ヴェネチアンガラス職人さんと、フングホグレツ汚い言葉で遣り取りしながら、出港前に佰参個かろうじて出来上がりましたものを、態々イタリアまで取りに行きました。このガシャ〜ングラスに、文句を垂れ賜われましても……赤ワインジェルですが……」
「オハラ……そう熱く成らなくても良いではありませんか……高々、宴の余興用の寸劇に……少々疲れましたよ……お部屋に戻りますから、怒りが収まるまでついて来ないでね!」
「魔蛇夢様! お逃げになるんですか? まだ、赤ワインジェルの説明の途中ですが……」
「オハラ! あんた五月蝿いのよ! 失礼! お部屋に戻りますから、くれぐれも怒りが収まるまで、わたしの目の前にその紅眼鏡顔を晒さないでね!」
「……魔蛇夢様〜……わたし説明してるだけで、怒ってませんけど……?」
「私がよ! 失礼するわね! サンドバッグの在庫が切れそうだから次の港でタンマリ買い込んどいてね……お願いよ?」
「ご機嫌麗しゅう……魔蛇夢様!」
傅き……魔蛇夢を見送るオハラで御座いました……。
「はあ〜……やれやれ……わたし、コナンオハラですよ〜! 魔蛇夢がつけたんですからね〜!」
「オハラ! 五月蝿い! 言い難いのよ!」
バタン!