ステータス
よろしくお願いします!
歩きながらメイダスにこの世界について教えてもらった。
なんでも、この世界には魔王が存在するようで、どの街でも打倒魔王を掲げているようだ。その為に冒険者ギルドを設営しているみたいだ。
俺がいた森も実は危険な場所で、モンスターがうじゃうじゃいるみたいだった。
「俺も冒険者だし、この街の3割は冒険者だと思う」
「やっぱメイダスは冒険者だったか。それにしても、3割しか冒険者じゃないんだな。後の7割はなんなんだ?」
「後の7割は商人だな。商人もギルドが存在して、カードが発行される。そのカードが身分証になるって感じかな」
「なるほどな」
身分証になるというなら、無くしたら再発行とかは可能なのだろうか。
「無くしたとしても、再発行可能だから心配しなくても大丈夫だよ」
メイダスは俺の顔を見て察したのか、俺が知りたかった事を教えてくれた。
「なら安心だな。そんでこの街はなんでいうところなんだ?」
「すっかり忘れてたよ。ここはイシュタルだ」
街に入ると、いろんな人が買い物をしていたり、パーティー組みかわからないが、数人の冒険者が楽しそうに会話しているのを目にする。
「随分と賑やかな街だな」
「まあね! でも、このくらい活気がある方がいいだろ?」
「ああ、違いない。それはそうと、冒険者ギルドにはまだつかないのか?」
「もう少しでつくよ!」
「そうか。ならもう一踏ん張り歩きますか」
少し歩くと、1つだけ他の建物とは明らかに大きさが違う建物が目に入る。見ただけでここが冒険者ギルドだとわかった。
「……随分と大きいんだな」
「だろ? だけどさっきも話した通り、人口の3割は冒険者なんだ。このくらい大きくないと運営出来ないんだよ」
「なるほどな」
イシュタルに人がどのくらいいるかはわからないが、1000人以上はいるだろう。その3割だと、300人くらいは冒険者という感じか。
そう考えると、かなり多いな。
「それじゃあリュウヤは、受付の所に行って冒険者登録してきてね。俺はちょっと用事があるからここまででいいかい?」
「あ、ああ。ここまで案内してくれてありがとな。……そういや、メイダスは何年冒険者やってるんだ?」
「10年だよ。ま、まぁ全然成果を出せてないんだけどね」
「10年?! そんなに冒険者してるのか! 凄いじゃないか」
俺も15年以上プロ野球選手やれてるけど、続けるのって意外と難しいものだ。
俺と同期で入ったやつも、5年以内に辞めてしまっている。怪我をしたり、戦力外通告を言い渡されたりと理由は色々だった。
10年以上野球をやれている人は本当に少ないと思う。冒険者でも同じ事が言えるだろ。
怪我をしたり、最悪の場合死ぬ事だってあり得る話だ。それを10年も続けているなんて、メイダスは凄いやつだ。
「ははっ、初めて凄いと言われたよ。ありがとな」
「そんじゃ、受付の所に行ってくるわ。今度会う機会があれば、ご飯でも食べようぜ」
「そうだね。それじゃ、どこかで会えることを楽しみにしてるよ」
メイダスはその場を後にした。俺はそれを見送ってから、受付に向かった。
「冒険者ギルドへようこそ! 私はリュカと言います! 本日はお仕事の依頼ですか? それとも冒険者登録ですか?」
髪型はショートボブの茶髪で、胸こそ小さいもののスタイルがよく可愛らしい女性だった。
「冒険者登録をお願いします」
「わかりました。でしたら、こちらの紙に情報を記載してください。書き終わりましたら声をかけてくださいね!」
「わかった」
リュカから書類を受けとり、中身を確認する。
「氏名、年齢っと。身長と体重も必要なのかよ」
ぶつぶつと独り言を喋りながら必要な情報を書いていく。周りをみると、俺を見てやばい人を見るような目を向けていた。
1人の時間が長すぎたせいで、無意識のうちに独り言言ってたか。その癖は直さないといけないな。
「書き終わりました」
「はい! それでは、次はこちらの水晶に手をかざしてください」
「は、はぁ。わかった」
なんで水晶に手をかざすのかわからなかったが、リュカの指示に従う。
疑心暗鬼だったが、水晶からステータスが浮かび上がってきた。
サイトウ・リュウヤ 35歳 Lv30
ランク:C
筋力:1500
素早さ:200
防御力:500
魔力:0
ステータスはこんな感じだった。
これが凄いのか、俺には全くわからなかった。
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