熊との戦闘
ブックマーク等ありがとうございます!
執筆するに当たりとても励みになっています!
それでは3話目もよろしくお願いします!
この日も変わらず川の中でバットを振っていた。物足りないとは思っているが、毎日やらないといけないという使命感からか振り続けている。
呑気に素振りしていると、巨大な影が茂みの方から見えた。
今までそんな影見たことなかったし、素振りを一旦やめて警戒を強める。
現れたのは大きな熊だった。体長はゆうに4mを超えており、175センチの俺を2人足してもそれより大きい感じだ。
日本にも熊はいたが、こんなに大きい熊は初めて見た。やはりここは俺が知っている世界じゃないということはわかった。
それよりも、今はこの状況をどうにかする事を考えないとな。元の世界なら、ゆっくりと後退したり、鈴などの音を鳴らすなど対処法が沢山あるが、ここにはそれがない。そもそも、元の世界の常識が通用するかもわからない。
もしかしたら異世界の熊は人の言葉を話せるかもしれない。それにかけるしかないか。
一歩一歩近づいてくる大きい熊に俺は大きい声で話しかけることにした。
「や、やぁ。調子はどうだい? 魚を取りに来たのか? 魚なら、丁度俺も持ってるしあげるよ?」
「……」
「あれ? 機嫌が悪いのかな?」
「……」
何を話しても無駄なようだった。そもそも、動物が話せるわけないなんて考えればわかることだったのに、ここが異世界だからといって夢を見過ぎでいたようだ。
その間も、熊はどんどんと近づいできていた。距離で言えば2mも離れていない。遠くで見ても迫力があったが、近くで見ると迫力がさらに増す。
俺はおもむろに魚を取り出し、それを地面に置き、ゆっくりその場を後にする。それを食べて帰ってくれればいいんだが、俺を襲ってきたら戦うしかない。
今の俺はバット一本しか持ってないし、これで熊に勝てるとは思えないが、戦うしかない。それに、一応このバットで木を倒す事もできたし、フルスイングすればダメージを与えれるだろ……多分。
やはりというべきか、食べただけで帰ってくれるはずもなく、雄叫びをあげながら俺に突進してくる。
それをなんとか回避し、俺は渾身のフルスイングをする。見事に腹に直撃したが、まだ熊は立っていた。だがダメージは入っているみたいだった。
「で、ですよね〜。一発じゃ倒せるわけないか。でも、ダメージ入ってるっぽいし、後何回かすれば倒せるかもな」
今度は右からのパンチがとんでくるが、なんとか前転して回避する。
「前転したのは良かったが、立て直してすぐさま反撃できないのが辛いな。なんとしても立った状態で避けないといけないのか」
ぶつぶつ独り言のように喋っていると、今度は左からパンチが飛んでくる。
もしかしたらこのバットで防げるかもしれないと思った俺は、バントするときのように持ち、バットでそのパンチを止めるよう試みた。
すると、割れる事なく止めれたため確信する。
このバットに不可能はないという事を。
「ははっ! このバット最高! 今ならなんでもできる気がする!」
俺はバットを構えて、左パンチでガラ空きになった脇腹にフルスイングをお見舞いする。
メキメキって音がなりながら、横に吹っ飛んだ熊。その後すぐに追いかけずに様子を見る。数分しても起き上がってくる事がなかったため、安全だと判断し近づいた。
まだ息はあるようだが、瀕死状態だった。
俺は出来るだけ楽にしてやりたいと思い、頭にバットを振り落とす。そこで完全に息を引き取った。
この熊をどうするか悩んだ結果、俺は供養することにした。
刃物を持っていない俺は、食べる事もできないし、かといってこのまま放置しておくのも可哀想だ。
「でも、一度でいいから、熊鍋ってやつを、食べてみたかったなぁ〜」
そんな事を呟きながら、熊を土に埋めた。
その後、バットを見てみる。あんだけ思いっきり振って熊と戦ってたんだから、ヒビくらい入っていると思っていた。だが見てみると、若干熊の血がついているくらいでヒビが入っている事なく無傷だった。
「このバットはやっぱり最高だったんだな! 長年使い続けてきて良かった」
バットを手にした俺は、今日くらいはいいだろうと思い、素振りするの休むことにした。まぁ熊がくるまでは素振りをしていたから、休んだってことにはならないだろうがな。
その後休もうとすると、後ろから声をかけられた。
読んで頂きありがとうございました!次回もお楽しみに!