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「アルゴ先生は教えるのが熱心ですな」

「そんなことはありませんよクラブ先生」

「そんなご謙遜をこの世界を教える教師なだけあって生徒たちに悪影響を与える3級教師のやることは違いますよ。提出物も誰よりも先に出しましてねえ」


嫌味ったらしく言うのは1級教師のクラブだ。彼は徹底した【星々の加護】主義者で悪態をよく付くため教師の中でも煙たがられていた。


「そんなことは無いと思いますがね戦場において協調性を欠かれると殺されますからね」

「おやおや流石は実戦経験者は言うことは違いますな。ですが私も実戦は経験しておりますがそんなものでしょうかねえ」

「ああ、後ろでのさばっていて攻撃時は味方を巻き込んでいった首になった大馬鹿者はよく知っていますがね糞ガニ」

「糞ガニだと貴様!?」


クラブはアルゴに殴りかかった。

だがそれを予期したアルゴはある人物に向けて拳が入るよう化勁を繰り出した。


パシッ


拳を止める音がした。


「おやクラブ君、私に暴力とは酷いねえ君のせいで私の貴重な毛が無くなるところだったじゃないか」

「こ、校長」

「アルゴ君は私の忍びよる気配気が付いたようだが君は気が付かなかったようだね。1級教師が聞いて呆れるのう。まあ罰は後で与えるとして今はアルゴ君に用があったのでのう」

「何か御用ですか校長先生?」

「いや何君の放課後やっている特別授業を全てのクラスのカリキュラムに取り込もうかと思ってのう。初期の教科書だけじゃ心許ないんじゃよ」

「校長!まさか【星々の加護】の由緒正しき生徒たちに【前世】の思想を植え付ける気ですか!」

「クラブ君、君はいささか勘違いをしておらんのかね。儂は正しい歴史を教えるために必要なことをするだけじゃよ。それとクラブ君のクラスからいじめの苦情が来ているのだがこれはどういうことかな?」


話題を不意に逸らしながら痛いところを突いてく校長


「いじめ?初めて聞きましたが」

「そうかのう私の気いた話によると【前世】持ちの子を守った生徒が教師からも虐められているとの苦情が来たのじゃがのう。それに去年君が受け持ったクレス君も虐められていたという物的証拠すら上がっておる。これは1級教師の資格も剥奪も視野に入れないといけないのじゃが」

「そんな言いがかりです!」


舌戦繰り返す校長とクラブだったが明らかに外野から見ればクラブの方が悪いことをしているようにしか見えなかった。

それもその筈クラブの悪評は教師だけに留まらず生徒たちにも広がっており、少しのミスで悪口をこぼすほど嫌味な教師であったのだ。

もちろんいじめをいじめと思わない質の悪い教師でこれまでにも逃してきたいじめは星の数ほどありそのほとんどが自主退学をしていた。


「すまんのう国々の教育委員会からの連絡があってのう。これからは勉学は平等の名を用いて全学園で同じことを教え格差を少なくしようという案が可決されたのじゃよ。それに加えて今まで見逃してきたいじめも無くそうという方針でのう。だからこれ以上は教育委員会の方針に逆らう意向である教師として名簿入りしてもらうがいいのかのう?」

「な!?」


もちろん教育委員会に関してのことはアルゴとティターニアが働きかけた結果であり仕組まれたことであった。

アルゴは自分の居た対ファインド連合軍に働きかけ歴史を伝えていた。それがキッカケとなり波紋が生じ世界を飲み込むまで大きな津波を創り出したのだ。

名簿入りとは所謂ブラックリスト入りのことでもちろんこの学園でブラックリスト入りすればもう教師業は廃業せざる終えなくなるほどの絶大な罰であった。


「まあまあ校長先生やって言うことは【前世】持ちのクラスも同じ授業を受けるってことですよね。それでは【前世】持ちの生徒たちも納得しないでしょうし、まずは交流戦でもやりませんか?各クラス1名ずつと後は星徒会と世徒会の会長でいかがでしょう。それの結果でクラブ先生を残すべきか決めては?」

「アルゴ君が擁護するとは驚きじゃがいいじゃろう。教育者としての力量が見られるしのう。ただ各クラスの選出は儂とティターニア君が行う。だから個人の生徒を贔屓にすることは無いように」

「はいわかりました。クラブ先生もそれでいいですか?」


クラブは屈辱的だった自分が撒いた種とはいえ敵に塩を送られたのだ。屈辱出ない筈がない。彼の誇り(プライド)と今後の立場という天秤の中で揺れ動き続ける。


「クラブ君、了承するのかしないのか早く決めたまえ」

「……はい、謹んでお受けさせていただきます」

「決まりじゃな期日は2週間後とする。それが終わり次第クラスの再編も行うのでな」


顔を真っ赤にしながら怒り続けそれでも理性で無理矢理押さえつけた顔がそこにあった。

彼は怒りそのままに職員室を退出して行った。


「少しやり過ぎたかのう」

「そうでもないでしょう」

「して、勝算は?」

「全員の底上げとクレスの【星座武装】を完成までは行きませんが使えるようにはさせるぐらいですかね。まあやり方は軍事式ですがね」

「死者が出ないのなら文句は言わないがのう」


この一連の出来事は学園中に広まり交流戦で勝つことを目標に生徒全体が自己鍛錬にさらに励みだすキッカケになった。


「というわけで2週間後に交流戦をすることになったんだけど誰になるかは最後までわからないから全員を底上げしようと思うんだが賛成は何人いる?」


翌日、まだクラスに慣れきっていない状態で授業内容の変更とクラスの再編、2週間後に交流戦があることを言われたクラスの生徒たちはてんてこ舞いだった。歴史の授業がアルゴ主体の授業の今まで習ってきた授業とは全く異なる歴史を習うのもそうだし【前世】持ちの人間と同じクラスになることも生徒が慌てる原因の一つであるが問題は交流戦である。誰もが交流戦に出場する可能性があるのだ。本来であればアストリアは星徒会枠にしろ同じ黄道十二宮であるスピアに任せればいいと思っていたであろうことが全員に回ってきたのだ。当たる人物もどのくらいの強さかはわからない為ギャンブルのような交流戦だと生徒たちは思った。


「底上げと言っても何をするかは決まっているんですの?」

「ん?スピアか、やることは簡単だぞ。【星座武装】の常時展開と実際のファインドを用いた実践訓練だ」

「常時展開?そんなことができるんですの?」

「無茶苦茶大変だから一先ずは二時間くらいを目標にやってもらうがな。俺はもうやってるぞ」

「え?でも先生は【星座武装】は盾と【転生武装】の水でできた大蛇では?」

「スピアもやったことあるだろう。あのダーツみたいな奴、それの応用だ。俺の場合だと【星座武装】は胸当て、【転生武装】は体の中で保管できるだよ」


そういい首から小さな水蛇と胸をさらけ出し胸当てを見せる。


「そんなに小さくできるんですね、ではアクセサリーにして常時展開が最終目標ということでよろしいでしょうかアルゴ先生」

「まあそれもはだいぶ先の予定だからな。それとクレスは【星座武装】をまだ使えないから特別授業で【星座武装】を取得してもらうが良いかな?」

「うんアルゴお兄ちゃん!」

「クレス、学園内じゃお兄ちゃんって呼ぶの禁止な」

「え、そんなアルゴお兄ちゃん」


うるうる涙目で懇願するクレスに思わず許してしまいそうになるがここは舌を噛んで血を流してスルーする。


「それじゃあ歴史の授業をするから昨日聴いてたやつは寝てていいぞ」


教室内でブーブー言う現象が起きたが血を流していることに気が付いたのはアストリアぐらいなのであった。

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