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本日2回目

「なあ、アルゴ。お前はこの任務が終わったらどうするつもりなんだ?」

「どうするも何も俺は戦場でしか生きたことがないしな」


ここはとある戦場の駐屯地

ファインドと死闘を繰り返した者たちが英気を養っていた。

とは言っても酒を飲むことなどはせずこれが終わったら何をするかなどを話し合っているくらいのものである。宴会は当分お預けであった。

アルゴともう一人の軍人も同じように話し込んでいた。


「そいつはそうだがお前はまだ若いしやりたいこともあるんじゃないのかと思ってな」

「うーんそれじゃあもう戦闘に関しては引退したいかな」

「マジかお前のおかげで戦線はだいぶ支えられてきたがそれでもやめるってのか?」

「戦場は疲れるし何より裏切りが怖い」


そのアルゴの言葉には妙な確信に満ちた信憑性があった。


「まあ、お前は3年前の事件があるからしょうがないのかもな」

「ああ、あの事件で味方が一番怖い者だってことが分かったのさ…………」


その言葉に軍人のおっさんは黙るしかなかった。

アルゴはコーヒーを一口飲み悲しげな表情を見せながらさらに話を続行けた。


「………今はそんなことは思っていないつもりだが心のどこかでそれが抜け切れてない気がするんだ」

「そいつは違うな。俺だって裏切れたことはあるし今でもその可能性はあるとわかってる。それが正しい、けれどお前をそんなふうに変えちまったのは俺ら、大人の責任だ。きちんと導いてやれなくて済まない」

「アンタが謝ることじゃねえだろ」


軍人のおっさんはアルゴの言葉に首を振った。


「いいか、大人ってのは子どもに綺麗なもんから教えて後から汚いことを教えていくんだ。そうしないと分別が付かなくなるからだ。その順序が違ったお前は俺たちのところまで来るのが早すぎちまったことでもあるし本来汚い部分なんてない方がいいに決まってるんだ。俺のような大人たちはそれにすぐに気が付くべきだったんだ」

「そうか学園では飛び級するのが良かったって思ってたし早く戦場に行って恩師に少しでも近づきたい気持ちでいっぱいだったなあ」


アルゴは昔は野心がとてもあった気がすると思いながらコーヒーをさらに口にする。

軍人のおっさんもタイミングよく葉巻をふかす。


「そう思うならもう一度学園に言ってみらどうだ?」

「それはどうしようかな」

「やっぱもう一度生徒に戻るのは嫌か、じゃあ教師はどうだ?」

「教師?」


教師になるには教員免許が必要だ。アルゴはもちろんそれを持っていなかった。


「お、乗ってきたな。3級教師くらいなら軍人なら特別認可で取れるんだよ。アルゴは今回の任務でちょうど3年だろ。戦場経験者は貴重だからな戦場に戻ってしまうかもしれないが実績次第ではずっと教師を続けられるぞ」

「へえ、それじゃあ成ってみようかな」

「いいぞ教師は俺は教えのが下手で1年位で辞めちまったけどな、お前は多分大丈夫だ教師になったら飲みに行こうや」


それでいいのかと思いつつ夢を思い描きながらその夜を更けていった。


それから10日後のことだった。軍人のおっさんが戦死したとの訃報が入ったのは。

アルゴは殉職したおっさんの目の前に居た。

そして叫んだ

燃え盛る怒気を野獣のごとき雄たけびに変えて


「おっさん、任務が終わったら飲みに行くんじゃなかったのか。バカ野郎が!」


戦場ではよくあること。

親しかった仲間が死んだり裏切ったりする……それが戦場であり残酷な人が創り出した食物連鎖だ。

その残酷さを受け止めるには当時のアルゴには若すぎていた。


「ちくしょう、俺が俺がもっと強ければ!」


その悔やみからアルゴは戦場を駆け巡り特級導師になるまで強くなり同時に軍を卒業して3級教師にまでなった。

それでも尚満たされない飢えを感じながらも前へ前へと歩を進めるように少しずつそれでいて大きな足跡を残しながら軍を辞めるころにはほとんどの兵が彼に感化され態度を変え裏切りも殉職者も二度と起きることが無くなっていた。3級教師の資格は軍に居ながらも星々の加護派の学園に通いつめ取った。彼はおっさんとの誓いを確実なものにするために奔走していたのだ。その執念は周りの人間がつい生きていきたがるほどに気高く美しく綺麗なものだった。


「あとはここで育てるだけだな」


ファインドに負けない人材を


その決意をもとにアルゴは一歩を踏み出したのであった。

出来れば私に星々の加護を(笑)

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