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決戦

※ ※ ※


 魔怪獣出現から、五日後――ついに戦いのときが訪れた。

 俺と香苗、ミーヤ、ルリアは魔獣から二キロぐらい離れた地点に転移した。


 このあたりは平原となっており、人家はない。

 魔怪獣の姿はここから見ても、迫力満点だった。

 完全に俺のことを視界に入れて、興奮しながら進撃速度を上げてくる。


 なお、俺たちから五百メートルほど離れた西方にリオナさん率いる騎馬部隊がいる。また、いざというときのための回復及び転移魔法を使える選抜された魔法部隊もそこに待機していた。


 一般兵士は足手まといになる可能性が高いので、ヌーラント城でリリとルルと一緒に留守番だ。


 リリとルルも自分たちの戦闘力が皆無なことはわかっているので、ワガママを言って俺たちに帯同することはなかった。


 ただ、出陣前の『必ず無事に帰ってくるのじゃ!』というリリの涙ながらの言葉と『あたしはお兄ちゃんのことを信じてるわ!』というルルの力強い言葉。

 どちらも俺の心を励ましてくれた。


 ふたりのことを残して死ねないと心から思った。

 それは、ほかのみなも同じようだった。


 香苗も、ミーヤも、ルリアも、リオナさんも、ふたりと言葉をかわし、必ず無事に戻ってくると決意を述べて出陣した。


「さて……まずは、罠に引っかかるかだな……」


 昨日のうちに予定戦域にリオナさん率いる一般兵と魔物たちで大小さまざまな落とし穴(底には無数の槍が敷き詰められており毒も塗ってある。片方の足が入る規模から下半身全体が入る大規模なものまで多種多様だ)や、踏むと発動する魔導地雷などを用意しておいた。


 魔獣相手には微々たるダメージかもしれないが、塵も積もれば山となるはずだ。


 この魔導兵器のために魔法鍛冶工房では二十四時間体制で職人たちや労働者が働いてくれた。ある程度偽装はしてあるので知能は低そうな魔怪獣は引っかかってくれると思うが――こればかりは、実際に見るまではわからない。


 俺たち四人は前方を警戒したまま、魔怪獣が罠の敷設してる戦域に入るのを待った。やがて…………魔怪獣の足元で爆発が起こった。魔怪獣は罠に気がつくことなく前進し、魔導地雷が発動したのだ。


「グガァアアッ」


 少し進撃速度は落ちたが、それでも再び前進していく。

 続いて――足元が陥没。落とし穴に片足がハマりこんだ。


 穴の中に仕掛けられていた十数本の毒槍によって足の裏にダメージを負ったかと思うが――やはり、あの魔怪獣にとってはそのダメージも微々たるものなのだろう。


 足を持ち上げて、再び進撃を開始する。


「……よし、そろそろこっちも仕掛けるぞ!」


 俺と香苗とミーヤはそれぞれ空中浮遊の魔法を発動した。


 ルリアはヌーラント城の宝物庫にあった魔防具『羽の鎧』をつけることで飛翔することができた。


 ルリアはこの四日間、模擬戦のときにこの鎧をつけて鍛錬し見事に使いこなしていた。ヌーラントは軍事国家だったが、ルリアほどの騎士には恵まれなかった。


 二国が合併したことで、こうしてルリアとレアな魔防具が結びついたのだ。


 なお、手に持っている剣はルートリア城の宝物庫にあった聖剣『斬月(ざんげつ)』なので攻撃力も大幅に上がっている。


 俺が真正面から、香苗が左から、ミーヤが右から、そして、ルリアは相手の背後からという位置をとる予定だ。


 なお、リオナさん率いる騎馬隊は現在は待機。

 折を見て騎馬隊で進撃、魔法矢を一斉に騎射して離脱することになっている。


「グルアアアアアア!」


 再び落ちた落とし穴から足を引き抜き、再び進撃する魔怪獣。


 どうやら避けるとか下がるとかいう思考は持たず、ただまっすぐに俺を目指しているようだった。

 この執念深さにたじろぐ思いもあるが、俺がひるむわけにはいかない。


 そして、魔怪獣は再び少し進んだところで今度は大規模な落とし穴にハマった。

 両足のみならず、下半身全体が入りこむ。

 続いて、落とし穴の中で魔導地雷が次々と誘爆していった。


 ――ズガァアアアン! ズゴォオオオン! ドゴォおおオオオン!


 地上のみならず空中にいる俺たちまで震動が伝わってくほどの威力だ。

 両国の技術の粋を集めた爆発攻撃は、まるで元いた世界の近代戦を髣髴とさせる。


「ギシャアアアアアアアア!」


 さすがに今度の罠は応えたのか、魔怪獣は首を激しく振って叫び声を上げた。


「よし……散開だ! 魔怪獣が身動きを封じられているうちに魔法を叩きこむぞ! 相手の火炎ブレスをくらわないように気をつけるんだ!」

「う、うんっ! ミチトくんも気をつけてっ!」

「みなさん無理しないでくださいね~♪」

「両国の宝である鎧と剣の力、存分に発揮させてもらう!」


 俺たちはのたうち回る魔怪獣を囲むように散開すると、それぞれ攻撃を開始した。


 まずは俺が正面から最大限に高めた雷撃魔法を叩きこむ。続いて、香苗とミーヤも左翼と右翼から、それぞれ風属性と氷属性の超大規模攻撃魔法を放つ。


「グゴアアアアアアアアアア!」


 足元の魔導地雷に気をとられていた魔怪獣は回避することもできず、俺たちの大規模魔法攻撃をもろにくらい続けた。


 そして、背後に回りこんだルリアが聖剣を思いっきり振りかぶって魔怪獣の後頭部に思いっきり斬りつける。


「ギィイイイイイヤアアアアアアアアア!」


 最初から――いや、最初だからこそ――ありったけの力をこめた連続攻撃。


 さすがにそれだけで倒すことはできなかったが、魔怪獣に少なからぬダメージを与えられたようだ。


 魔怪獣は悲鳴を上げながら、暴れまわる。そして、口を大きく開き、顔を振りながら広範囲を焼き尽くす火炎ブレスを吐いた。

 俺たちはそれぞれ回避行動に移って、かわした。


 一瞬後には、平原は火の海と化す。


 それによって、まだ発動していなかった魔導地雷が次々と誘爆して派手に爆発を起こしていった。やはり、一般兵やレベルのあまり高くない魔法使いを戦場に連れてこなかったのは正解だろう。


 こんな威力のすさまじい大規模攻撃をくらったら、ひとたまりもない。


 俺たち四人は爆風に巻きこまれないように空を翔けていく。

 そして、全員が無傷なことを確認すると、再び散開して攻撃を再開する。


 一方、魔法獣は暴れまわることで自由を奪っていた地面を破壊し始めた。そして、ある程度自由に動き回れるようになると――思いっきり踏ん張り、尻尾を地面に叩きつけて跳び上がった。


 何度も魔導地雷の爆発を受けたことで魔怪獣の下半身は傷ついているが――やはりそう簡単に身動きを封じることはできないようだ。


「攻撃の手を緩めるな!」


 リオナさんから授けられた策は、連続攻撃による一気殲滅。相手に立ち直らせる隙を与えることなく、ひたすら攻撃をしまくるという攻めの一手だ。


 俺たちはその指示のとおり四人で連携をとりつつ、魔法と聖剣による連続攻撃を繰り出していった――。


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