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逆セクハラメイドとスペシャルマッサージ

風呂を出た俺は、天蓋つきのベッドに案内された。


 デザインも金銀宝石みたいなのがついていて、まるで王族か大富豪でも使うようなベッドでビビる。

 なお、壁際には質素な感じのベッドもあった。


「わたしはこちらで眠りますので、なにかありましたら、お申しつけください。あとは、ムラムラした場合は、どうぞご遠慮なく」

「えっ、本当にリオナさんも俺の部屋で寝るんですか?」


 ムラムラはあえてスルーする。


「はい、メイド兼ボディガードですので。わたしのことは家具の一部とでも思って、気にせずください。いつでも夜這いウェルカムです」

「いや、しないから……」


 もうやだ、この見た目は真面目で清楚そうなのに息を吐くようにセクハラをしてくるダメイド。俺のメンタルは逆セクハラでボロボロだ。


「そういうわけで、わたくしはお風呂に入ってきます。その間、ミーヤさんをお呼びしますので、ミーヤさんのおっぱいを堪能するなりなんなりしてください。おっぱい大好き星人ミチト様」


「さすがにちょっとの間ぐらい、大丈夫じゃないのか? もしスパイがいたとしても、いきなり俺を誘拐しないだろ?」


「そのまさかが一番危険なのです。わたくしの読んだ兵法書にも、入浴時と就寝時が最も危険だと書かれていましたから」


「でも、いちいちミーヤさんを呼ぶのも悪いんじゃ……」


「では、わたくしの入浴シーンを目の前でたっぷり堪能したいと? わたしはそれでもかまいませんというか、むしろ、そっちのほうがいいですが」


 この人は変なところで頑固だ。


 まあ……貴人というのは日常生活を送る上でいろいろと不自由なのかもしれないが、さすがに元社畜の俺にはいろいろとハードルが高すぎる。


「ちなみにリリさまは常にルリア様や護衛の騎士やメイドと一緒です。部屋の外に三名、部屋の中に三名の護衛がついています」


 ……リリも大変なんだな。


 確かに、リリがこの国で一番偉いんだから、それぐらいのセキュリティ態勢が敷かれるのは当たり前なのかもしれないが。


「ちなみにミチトさまの部屋の外にも武道の心得のあるメイドを二名つけておりますので、ご安心ください」


「えっ、じゃあ、その人たちに部屋に入ってもらえればいいじゃないですか」


「いえ、ミチト様のお手つきになるなら、まずはわたしかミーヤさんのほうがよい子孫を残せるかと。もちろん正室はリリ様というのは揺るぎませんが」


「いやだから、俺はそんなことしませんって!」


「となると……まさか、ミチト様は殿方が好きなのですか? ガチムチな兄貴相手でないと性的興奮を覚えないと?」


「いやいや! ふつうに俺は女性が好きですよ? でも、俺のいた世界はそんな性的に乱れてないというか……いや、乱れてる面もあったかもしれませんが……俺は普通に男女交際の経験ないですし、そもそも童貞のまま死にましたから!」


 なんという会話をしているんだろうか。異世界にきて童貞であることを声高にカミングアウトすることになるとは思わなかった!


「ならば、慣れればいいのですよ。この世界は言わば、約束されたハーレムの世界。ミチト様は好き勝手すればいいのです。もちろん、リリ様最優先ですが」


 とか言われても英雄でもない元社畜童貞の俺には、いきなり順応できるものでもない。と、そのとき――。

 にわかに部屋の中央に光が発生して、拡散してゆく。


「うわっ!?」


 まさか、本当にスパイが俺を誘拐しにきたのか!?

 逃げ腰になる俺だが――リオナさんは平然としていた。

 光が収まって現れたのは――パジャマ姿のミーヤだった。


「こんばんは~♪ そろそろお風呂の時間かと思って、きちゃいました~♪」


 いつもつけている黒の魔法使いのローブと違って白っぽい上に透けているネグリジュのような服なので、おっぱいがさらに強調されていた。


「うふふ~♪ こんばんは~、ミチト様♪ わたくしのおっぱい、枕にいたします~? よく眠れると思いますよ~♪」


 見てはいけないと思ったが、透けているのでつい目が行ってしまった。


「あ、あれ~~~?????」


 当然、おっぱいを直視してしまった俺は魔法にかかってしまい、そのままベッドに倒れこんでしまった。


「ミーヤさん、よくきてくださいました。それではわたしはお風呂に入ってきますので、どうぞご自由に」


「はい~♪ せっかくなので、ミチトさまにはスペシャルマッサージで気持ちよくなってもらいましょう~♪」

「ちょ、わぷっ……!」


 そうして、俺はミーヤの極上スペシャルマッサージ(詳細は割愛)を受けて眠りに落ちていったのであった……。


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