第1話 少女は笑う
是非感想お願いします。
ツンデレ
それは薔薇のように美しい。
ツンデレ
それは胸いっぱいの棘をもつ。
ツンデレ
それは世界の何よりも優しく、壊れ安い。
好きって言われると嫌いって言っちゃう。
近づかれると逃げちゃう。
でも、
遠ざかられると近づいちゃう。
何故って?
そんなの知らない!気が付くのはあなたの役目。
近づかないで。でも遠ざからないで。
いつでも手で触れる距離を、保っていて。
どうして?
それが私だから!
ーーーー
「ふぁぁ……」
目が覚めると、前方では丸メガネを掛けたちびっこいおっさん先生が細々とした声で授業をしている。どうやら授業中に寝ちまったらしい。
夢を見た。
そこでは見覚えのある沢山の美少女が俺の周りを取り囲んでいた。
普通、天国な夢だなぁ。とか夢で見れただけでよかったなぁ。とか、思うだろ?
ところがどっこい、これが違うんだよ。最初は俺だって、うは!天国!!とか思ったぜ?でもその内周りの色とりどりな美少女たちの顔が段々と険しくなってきたんだよ。
いや、決して俺が嫌らしいことした訳じゃないんだぞ?
そりゃ俺だってしたかったさ。でもそんな状況じゃなかったんだって!
それからいきなりあちらこちらで言い争いが勃発し始めて――それも半端じゃないぞ?もはや女の子達の可愛い口論♪なんてもんじゃねぇ。
「あんたなんかアマゾンの泥になればいいのよ!」
だの
「なによ!あんたは地震でできた割れ目にはまって一生地中で暮らせばいいのよ!」
だの。仕舞いには
「カエルになっちゃえ!」
だよ。もはや意味不明。な、めちゃくちゃ恐ぇえだろ?
何故か言い争いになった原因が思い出せないんだけど、夢ってそんなものだよね。
「貴様、まさか寝ていたのではないだろうな?」
するといきなり隣からの鋭い視線がぐさりと俺の胸に突き刺さった。
そしてその猛獣のような威嚇の一言は、俺の眠気を一瞬で盛大に吹っ飛ばした。
「寝てはない。夢を見ていたんだよ」
「なにっ!矛盾にも程があるのだぞ?」
何故かダメージを受けたらしいこいつは鳴宮レオナ。さらっとした綺麗な黒髪と小学生並の凹凸、あとクリッとした瞳や人形さんのように整った顔立ち。
これ等が揃えば、それは95%の確率でこいつだ。俺が保障しよう。もし見間違えるとしたらきっと発育の遅れた中学1年生とくらいだろ。
「なぜジロジロと人の顔を見ておるのだ。顔になにか付いているのか?」
その少し困ったように自分の顔を探る仕草が可愛くて、思わずからかってみたくなる。
「あぁ。付いてるぞ」
「何がついているのだ?」
「鼻が」
「…………っ!!」
あぁ。俺はなんとサディスティックなのだろうか。自分で言うが、筋金入りだぜ。
「平野のバカーッ!」
鳴宮は少し潤目になって
「う〜!」とこちらを睨みつける。
罵倒も良いなぁ……なんてこれっぽっちも思ってない!
しかも先生は先生で鳴宮の大声完全遮断で授業続けてるよ。
小柄ながら大きな心だよ。先生、ぐっじょぶ!
そうして俺と鳴宮がいつものように睨み合っている(本当は俺が一方的に睨まれているだけなんだが)と、不意に後ろからポンポンと肩を叩かれた。
「おいおい!お二方、らぶえっちなら放課後の教室でにしてくれよな」
「な、何を言っているのだ!どこにららら、らぶえっちなどの要素があったと言うのだ!」
この無駄に状況をややこしくするのは、バカ。通称北川真夏だ。
北川は何故か俺より男らしい物言いなんだが、実の所第一印象、というか容姿は純粋なポニーテール美少女なのだ。
そして性格はバカ。
説明が足りない?
…………すまん、他に見当たらん。
ふと気づくと、鳴宮が真っ赤になってこちらをキッ!と睨んでいる。
なんだか眼からいろいろな力が発っせられているのでそろそろ俺も鳴宮を援護しないと命の危険が。
「鳴宮の言う通りだぞ、北川。それに俺達は公共の場ではそんなことしない!」
「ほほぅ。じゃあ平野は二人の空間だったらするって言うんだな?」
「お、おい平野!誤解を招くような物言いはやめるのだぁーっ!」
北川は太陽のようにくははは!と笑う。俺も笑う。
鳴宮は泣きそうになりながら必死で周りに誤解を解く。
ああ、俺ってやっぱりサディスティックだわ。