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危機的な事態

 そして帝都に入るとすぐに左大臣の家に向かう。気が重いが……エストリアが言っていた議会の件をなんとかしないと……。

 だが、、。


左大臣「おまえには失望したよ。わしと交渉するつもりかもしれんが時間の無駄じゃ。帰れ! 」

俺「ネクトマとの和平を…… 」

左大臣「()らん。ネクトマとか言うテロ集団とは、これから戦争だ!

  それで、おまえと右大臣の(たくら)みをぶっ(こわ)してやるだけよ。 」

俺「戦争は止めて欲しいのですが、、。」

左大臣「おまえが議会をないがしろにしたので、わしになびく議員も多い。

 右大臣が抑えている議員以外は、和平に反対するだろう。

 おまえたちに勝ち目は無いぞ。お前の地位も、これで終わりだろうな。」


 エストリアが言っていた通りかな。いろいろヤバそう。せっかく上手く行きそうだったのに、。

 政治なんて分からん!

 今から戦争となれば、、まあ帝国が勝つとは思うが、お互いに(ひど)い事になりそう。特に俺の立場がひどい事に……。

 こうなればニッポン人らしく土下座だ!


俺「困ります。なんでもしますので。 」


 そういって土下座る。

 さすがに俺の言葉と態度に左大臣も少し考えてくれている風……だが?

 なんだか微妙な表情で「今、『なんでも』と言ったかな? 少々、(あぶ)ない事でも良いかな? 」


 なんだかイヤな感じがする。この人の言う『少し』危ないは、……、『もの(すご)~く』(あぶ)ない事だよな。

 土下座は止めた方が良かったかも……


俺「え、えと、まあ、。 」


 今更、引けない。


左大臣「ちょっと待て、。 」


 そう言って、一度、席を離れた、が、、。数分で戻ってきて、。


 「これをおまえの体に埋め込むのはどうかな? 」


 そう言いながら、持ってきた箱を開けると中には何やら怪しげな小さい宝石、……瑠璃(デバイス)が2つ入っていた。赤い石と青い石、。左大臣は迷わずに赤い方を手に取る。

 もしかして奴隷化の瑠璃(デバイス)? 左大臣の奴隷にでもなれというの……かな?


「結婚を約束する瑠璃(デバイス)だ。」


 はぁ? 何それ!?


「奴隷化の瑠璃(デバイス)と同じで、ペアになる瑠璃(デバイス)を埋め込んだ人間の同意無しには外せない。

 無理に外せば死ぬ。」


俺「あの~。相手は? 」


 「分かっておるであろう。悪いようにはせぬぞ。」


 つまり、左大臣の娘であるエストリアと結婚しろと。もちろん、俺が皇帝をやっている間だけの政略結婚だろうが、。

 いや、だが、そのエストリアは、一昨日、セクタの港から共和国へ出発している。


俺「それって、相手も埋め込まないといけないのじゃ無いですか?

 でも、今は……。」


 「帰ってから埋め込めば良い。」


 エストリアが嫌いというわけじゃない。

 だけど、今、俺がエストリアと結婚したら、まずい事がたくさん起こりそうな気がする。


俺の心配を読んだのか左大臣が続けて

 「それに、これは結婚の約束を保障するものであって、すぐに結婚する必要は無い。

  まあ、結婚前でも浮気は禁止だがな。」


 浮気禁止って、。それだけで、なんだか、いろいろ終わった気がする。


俺「結婚は、いつ……ですか? 」


 「分かっていると思うが政治的な判断が必要じゃ。

 わしが、右大臣に勝てるタイミングで結婚してもらう。」


 まあ、左大臣も混乱は避けたいだろう。

 すぐじゃないなら、エストリアに説明して婚約破棄すれば良い……かもしれない。

 それが出来たとして、。


 いずれにしろ、今は、ともかく戦争を回避する事が重要だ。

 これで左大臣が協力してくれるなら、しかたがない。


俺「わ、わかりました。」


 すぐに左大臣がお抱えの魔法医を呼んで来た。

 だが、その魔法医は瑠璃(デバイス)を見ると戸惑い気味に「で、でも、これ、。法律で禁止されていませんでした? 問題(トラブル)が多いからって。」

 ちょっと待て! 問題(トラブル)が多いって何だよ! そんな物を俺に埋め込むのか!?


左大臣「料金は3倍出す。」

魔法医「わ、分かりました。私は違法性に気が付かなかったという事で。 」

左大臣「あー、。それで良い。 」


 ヤバげ……。


俺「あの~、。それを埋め込んだ後で、結婚の約束を破るとどうなるのでしょう?」

左大臣「死ぬだろうな。」


 簡単に言ってくれる。


俺「う、浮気は……。」

左大臣「最悪、死ぬ。」


 いろいろ悲しい。

 でも、これで読者期待のハーレム路線は終わったわけだ。ほぼいない読者が皆無になる?!


魔法医「大丈夫ですよ。お相手の方が、おかしな考えを持たなければ……、。」

 そう言って、さっさと埋め込まれたが。

俺「あの~、おかしなって……、。」

左大臣「大丈夫だ! 気にするな。」 そう言われて追い出された。


 まあ、いろいろと忙しくはある。

 すぐに城に戻ってキャヘマとエミャル、あとロコナを連れて、今度は超長距離通信が出来る大瑠璃(ビックデバイス)がある神殿へ。

 約束したし、キャヘマが、とにかくせかすので、キャヘマの国、レイモンとか言う所との通信。

 超長距離通信には神殿の大瑠璃(ビックデバイス)が必要だ。


神殿で、キャヘマに言われるまま数値を撃ち込んでもらって、キャヘマの国の聖殿とか言う所に(つな)げようとした……が、。

 だが、しばらく待たされる。呼び出してはいるみたいだが、相手が出ない!? 忙しい?


 待ってる間にキャヘマがエミャルを見て、。

キャヘマ「あなたがエミャルさんですか……、。」あいかわらず目は閉じてるけど、額の瑠璃(デバイス)でエミャルを見つめる。エミャルは戸惑い気味に「なんでしょう? え~と、……、。聖女さん?」

キャヘマ「……。あなたが相手だとクラムはたいへんそうですね。」

エミャル「クラムさんが? たいへん? なんの事です?」

 何が言いたいのかな?


 一方で、ロコナは不服そうに「なんで、私が、こんな通信に付き合わないといけないのよ!?」

俺「魔力とかに詳しいだろ? キャヘマたちが言う『世界の危機』が本当かどうか見極(みきわ)めて欲しいのだよ。」


 俺には良く分からんからな。


ロコナ「そんな荒唐無稽(こうとうむけい)な話しに付き合えと言われても……。

    魔力に世界がどうこうなんて力は無いわ。」


 ロコナも信じてはいないようだが、。


キャヘマ「危機は事実です。」

ロコナ「詐欺(ペテン)か妄想でしょう。

  だから、私は帰して! 」

俺「す、すぐに終わるから、。とにかく一緒に通信を……、」。


 とかやっていると、。

 ようやく、キャヘマの上司(?)らしい数理博士と言うのがスクリーンに(あらわ)れた。

 気が付いたのだが向こうの窓の外は既に暗くなっている!?? こちらは、日が傾いてはいるが、まだ、十分に明るい。あっちの窓の外は既に日が落ちて暗い!?

 だいぶ(ひがし)みたいだし時差があると言う事か。聞いていた距離の割には時差が大きい気もするけど。ちゃんと計算したわけじゃないから良く分からない。

 博士は職名から爺さんかと思ったが意外に若い。メガネに白衣っぽい服が研究者風で、そういう意味では博士(はかせ)らしくはある。他に助手っぽい若い女性。

 想像していたような宗教臭い感じは、ほとんど無い。どういう国だろう。

その数理博士が <良かった。キャヘマは無事だったのだね。

         だが、キャヘマだけかな? 枢機卿たちは?>

キャヘマ「こちらでいろいろあって、。枢機卿様は、この島の人間に拘束(こうそく)されています。」


 今は城の地下牢だ。


数理博士<そうか。……、。まあ、彼らなら、ありそうな事かな。

    どうせ異教徒がどうとかやったのだろう。>

キャヘマ「はい。」

数理博士<だが、それはつまり、上手く行っていない? >

キャヘマ「枢機卿様の作戦という点では、その通りです。うまく行きませんでした。

    ですが、ここに魔王でもあるヒロタンさんに来てもらっています。

    博士から我々の窮状(きゅうじょう)を説明して(いただ)ければ、彼の協力が得られるかもしれません。」

数理博士<もしかして、そのキャヘマの隣の。そちらの(かた)が、。そのヒロタン……魔王?>

キャヘマ「はい。」

俺「はじめまして、。ヒロタンです。」


 俺を見て博士が<驚いたな。……、。>


 って、何が?


キャヘマ「枢機卿様は血筋のせいだろうと、。魔王は古い血筋ですから。」

<あー、まあ、そういう事もあるのだろう。>

キャヘマ「それで、あの、。博士からレッドドラゴンについて、彼に説明して欲しいのですが……。」

<いや、。既に手遅れだ。3日前から暴走の第一段階が始まっている。

 そこからだと20日はかかるという話しだが、その頃には、この聖殿も、国自体も無くなっているよ>

キャヘマ「そ、そんな!」


 そういって、キャヘマはがっくりとうなだれる。


<まだ、暴走は昼間だけなのだが、それでも旧市街の1割ほどが壊滅(かいめつ)した。>

キャヘマ「そ、そうですか。」

<幸い御所の周りは予め避難していたので、今のところ民間人の死傷者は、それほど出ていないが。>


 そう言ってから少し考えて、。


<もう、この国はあきらめてキャヘマは、そこに(とど)まるのが良いだろう。

  それで……、あと何節かは無事でいられる。レッドドラゴンの影響が世界全体に及ぶまで、。>

キャヘマ「そ、そんなぁ。」


 何節か? その後は、ここもヤバいの???


キャヘマ「博士たちは、どうされるのですか?」

数理博士<もう少しだけ、やれる事をやったら、。……、我々も退避するつもりだ。

 本格的に暴走を始めたら、この世界に逃げ場はないと思うが……。>


キャヘマ「法王様や枢密院の皆さんは? 御所の近くの旧市街なら西側は第一教区ですよね。」


<彼らは、とっくに逃げたよ。暴走の最初の日に、法王(ほうおう)配下(はいか)衛視(えいし)一小隊(いちしょうたい)が無謀にもレッドドラゴンに立ち向かったが、一瞬で全滅した。

 彼が行ったのはそれだけだ。>


 とてつも無く強い?!

 いや、でも、世界の破滅と言うほどには聞こえない。

 どこぞの勇者だって、そのぐらいは、やれそうだ。


俺「す、すみません。たいへんな災難みたいですが、。

 でも、それでも、。

 世界の破滅(はめつ)……というほどには思えないのですが。」

数理博士<世界の破滅(はめつ)か・・。それは、キャヘマの言葉かな?>

俺「はい。世界の破滅(はめつ)。それを止めるために協力して欲しいと。」

<あー。その通りだ。

 既にレッドドラゴンのレベルは10万を超えているが、それでも、今は、まだ、暴走の初期段階に過ぎない。

 今後の本格的な暴走による魔力行使は、この世界を()るがす事になるだろう。>

ロコナ「そのレベルは、どうやって測定したのです? 」

数理博士<君は? 誰かね?>

俺「すみません。彼女はロコナ。魔力に(くわ)しい人間に来てもらっています。」


<ふむ。良いだろう、。レッドドラゴンが眠っている状態で、。減衰器(アッテネーター)を測定用の瑠璃(デバイス)に接続して測定した。

 だが、その減衰器(アッテネーター)もあまりのレベルに(こわ)れてしまった。

 最近は近づく事も難しくなっている。>


ロコナ「と言う事は、その(レベル)解放(オープン)値ですね。」

<その通りだが、。君は、あのレベルの魔法回路の負荷(ふか)に耐えられる疑似対象(ダミーロード)が存在すると思っているのかね?>

ロコナ「まあ、そうでしょうね。でも、たぶん、そのレベルだと魔法内部抵抗が大きくなる。」


<……、。なるほど、。辺境の島の人間にしては良く理解しているようだな。

  確かに、その通りだ。>

ロコナ「ほめてもらえてるみたいだけど、つまり、解放(オープン)値でのレベルが大きいと言っても、実際に、それに比例した(パワー)は出せない。限界がある。そうでしょ?」

<もちろん。君の言う通りだ。>

ロコナ「分かって言ってるの? 大きな数字で大げさに言って、私たちを巻き込みたかった? おあいにくね。」


 う~ん。既に間に合わないと言ってるのだから『巻き込みたい』わけでは無い気もするが。


ロコナ「私の計算だとレベル10万でも魔法抵抗で、かなり減衰してるはずよ。

  負荷をかけた時の魔力は・・・。そうね。1万も無いでしょ。」


<ほおぉ。地域毎に抵抗値の違いがあるから、そのあたりで、そういう計算になるという情報は参考になる。そういう情報を集めれば魔力動力源(マジック・コア)の場所を特定できるかもしれない。>


 ロコナは俺に向かって「聞いたでしょ。限界がある。世界の終わりなんてレベルは

ありえないわ。だから、もう帰りましょう。」


 スクリーンの博士は落ち着いて

 <君は、その魔法内部抵抗が、何故(なぜ)、生まれるか分かるかな?>


ロコナ「へっ」


<その抵抗は(おも)魔力動力源(マジック・コア)の内部抵抗から来ている。あとは、そこまでの距離に依存する抵抗。>

ロコナ「そうなの? って事は、その魔力動力源(マジック・コア)の限界って事ね。

  どっちにしろ魔力には限界があって、その魔力で世界を破壊(はかい)するなんて不可能って事でしょ。 」


 まあ、そんなところだろう。


数理博士<魔力による世界レベルの破壊? 誰がそんな事を言ったのだ?>

ロコナ「とぼけないで! あなたが・・」

数理博士<私は危機と言っただけだ。>

ロコナ「何を言ってるの?」

数理博士<君が言う通り魔力流量は有限だ。それは魔力動力源(マジック・コア)が有限なのだから、そうなるだろう。

  つまり、魔力を魔力動力源(マジック・コア)の内部抵抗が意味を持つほど大量に消費したら、他の魔力装置にも影響が出る。有限な魔力流量のかなりを使ってしまう事で、他の魔力装置に流れる魔力が減ると言う事だ。>

ロコナ「なるほど。言いたい事は分かったわ。

 そのレッドドラゴンが大量に魔力を使ったら、他の人が使える魔力が減るという事ね。……、。」


 そして少し考えた後、


ロコナ「でも、それで世界レベルの危機?

 あなたがたの事は知らないけど、この国の多くの人は、そこまで魔力に頼って生活していないわ。」


 それで危機的になる人もいて、それはロコナも知っているわけだが、。


<違う。そんな事を言ってるのではない。

     この世界を維持している魔力機関に影響が出ると言っている。>


ロコナ「また、分けの分からない事を……。世界は自然に成り立っているものよ。

    そこに魔力は関係無い。」


<違う。自然に成り立つ世界……では、。この世界に人は住めない。>


ロコナ「はあ? 何を言ってるの?」


<この世界は、いくつかの超瑠璃(スーパーデバイス)によって人が住める環境を維持している。>


 なんじゃ、そりゃ!?


ロコナ「……、。むちゃくちゃな仮説ね。聞いた事が無いのだけど、そんなものが、どこにあるのかしら?」

<場所は分からない。創成期の記録は残っていないし、。

 複数の魔力動力源(マジック・コア)と、複数の超瑠璃(スーパーデバイス)が存在していて……、。

 それらが干渉しあっているので正確な位置の把握は難しい。>


ロコナ「分からないって、。それは、つまり、存在していないと同じじゃなくて?」

<計算上、理論上、存在している。歴史博士によって文献の総和からも存在が確認されている。>

ロコナ「信じられないわ。」

<こうした通信で簡単に説明するのは難しいのだが、事実だ。>


 う~ん。良く分からん。

 ロコナも考え込んでいる。


キャヘマ「も、もう、どうしようも無いのでしょうか? 出来る事は何も無い? 」

数理博士<無駄だと思うが、今も、出来る限り、やれる事をやってみている。

 さきほど暗くなってからレッドドラゴンが、また御所に戻って来ているので、、。

 今、それを、そのまま封じ込めるために、全力で封印をやり直している。

 それと、この後、出来る限りの毒を御所の地下に送り込む予定だ。>

キャヘマ「それは、今までも、やってきたのですよね。」

<その通りだ。今までも、そうした事を繰り返してきた。>

キャヘマ「でも、それは全て無駄で……。

 レッドドラゴンはコードに縛られない魔力による攻撃でしか倒せない……でしたよね。」


 それで俺たち?


<それとて御所で眠っているレッドドラゴンを至近距離(しきんきょり)から攻撃できれば、という話しだ。

 今では、近づく事も出来ない。>


 既に俺たちが行っても意味は無い……か。


俺「でも、どうして、暴走しているのに夜は戻ってくるのです? 」

<正確な所は分からないのだが、完全な暴走状態……には至っていない、から。

  そして、目覚めてもいないから……ではないかと。>

キャヘマ「眠るために戻っている?」

<今の状態を『暴走の第一段階』とする解釈を概念博士が行っている。>

キャヘマ「第一段階?」

<そうだ。暴走する自我は暴れ回る事を求めているが、まだ本来の自我も残っており、それは眠っている。2つが昼夜で入れ替わる状態では無いかと。>

キャヘマ「なるほど。」

<さらにレベルが上がれば完全な暴走状態となるだろう。

  そうなれば、本来の自我を失って暴れ回るだけ。我々に出来る事は何も無くなる。>


 う~ん。


俺「そもそも、……、なぜ、レベルが上がり続けて、、暴走したのでしょう?」

<レベルがあがり、暴走する事を止めるための瑠璃(デバイス)を破壊したからだ。

 あれが(うご)かなくなった事で、レベルが上がり続ける事になった。>


キャヘマ「枢密院の人たち……ですよね。」

<あー、。彼らには十分に説明したのだが、逆に(うたが)われてしまって。

 彼らは我々が意図的に覚醒(かくせい)(さまた)げていると考えていたようだ。

 そして、あれを壊せばレッドドラゴンが覚醒するなどというバカな考えに取りつかれて……。>


 何の話かさっぱり分からんが、悪いのは、その枢密院?

 そこまで説明した所で、スクリーンの横から誰かが博士に声をかけたようだ。博士は横を向いて、こちらには聞こえない声で、なにやら話し始めた。

 (いそが)しそう……、。


 俺は小声でロコナに「どう思う? 世界の危機……は本当なのかな?」 あまり相手を疑うような事を大きな声で言うのは気が引ける。Web会議の音声(サウンド)(ミュート)るボタンとか無いのかな?

 珍しくロコナも察してくれて、小さい声で「一応、理屈は成り立つけど、超瑠璃(スーパーデバイス)とかの話しは信じて良いのか分からないわ。それに、その話しが本当だとしても、超瑠璃(スーパーデバイス)の位置が分からないと、影響の見積もりは困難なはず。レッドドラゴンを、そこに近づけなければ良いだけかもしれない。」

 本当ならヤバい事はヤバそうだよな。

 ロコナが小さい声で続けて俺に「どちらにしろ間に合わないって言ってるのよ? ヒロタンに出来る事は無いでしょ。」

 俺「いや、まあ、行くだけなら、その気になれば短時間で俺が行く方法はあるのだけどね。

  でも、強力な魔王の魔力のためにはエミャルが必要だし、エミャルを連れて行って、彼女を危険にさらす事は出来ないよ。」


 名前が似てるし魔王国にいるという最強ホワイトドラゴンさんにでも戦ってもらえば良いかもしれない。なんとなく運命的な感じもある。レッドドラゴンとホワイトドラゴンの紅白決戦だ。

 後で魔王国と通信して聞いてみよう。ミシャや神官長が良ければ彼らに、この博士と通信してもらって、紅白決戦で『世界の危機』が救えるか相談してもらえば良い。


 とかやっているうちに、横を向いて話しをしていた博士が、こちらに向き直った。


数理博士<私も封印の作業、……に加わわらないといけない。

 最後に、こうしてキャヘマと話す事ができて良かったよ。>


 そして、一瞬、目を閉じた後、<キャヘマを聖女にした事については、……、家系とはいえ、すまなかったと思っている。

 もう、……、聖女は()めてかまわないから。残りの時間を普通の人間として……、。>


 博士の隣で助手っぽい人が(あわ)てたように博士の服を引っ張っている。止めようとしている?

 だが、博士は助手の手を、やんわりと引きはがしながら、首をふって、。


数理博士<この国は終わりだ。キャヘマが聖女である事を()めても、(とが)める者はもういない。

 清王の涙は外してかまわないぞ。>


 キャヘマは(うなず)くと、頭のリングに手をかけ(はず)した。

 そして、見開いた目をスクリーンに向けて最後と言わんばかりに

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