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脅威のイベント

 良く朝、起きてみると、知らない娘が・・


「おはようございます。」


 誰?


エストリア「毎日、誰かの様子が変わるわね。今日はクラムが、これだもん。」


俺「へ?クラム・・なのか? 寝て無くて大丈夫?」

クラム「うん。今は熱が下がってる。一時的だろうけど。」


俺「その少し長い髪は昨日見たけど、、。顔も違って無いか?」

クラム「戦闘時の迷彩ペイントが残ってたので、頑張って洗った。アルコールもあったしな。」


 ソバカスと思ったのは、、違ったらしい。

 昨日よりかわいいぞ!


クラム「俺・・、私は、ヒロタンにかわいい女の子って思われないと、、いけないからな。」


 あいかわらず朝食では俺の隣に座っているサミアスが

サミアス「クラムが、かわいい女の子?無理しなくても・・。」


 微妙にとげが無いか?


クラム「無理じゃないぞ!。だいたい、サミアスなんか胸が・」

エストリア「喧嘩しちゃ、だめよ!」

 クラムの視線がエストリアの胸に・・。

クラム「・・。ごめんなさい。」

 大丈夫だ!おまえは、まだ成長する・・かもしれない!


執事「ご主人様、お城へ行かれる時刻かと。」


 忘れてた!今朝、左大臣か誰かに呼ばれてるのだっけ!

 おそらくは、明日からの議会とやらの話。

 お城は、結構遠いと言うけど。間に合うのか?


俺「ストリュ! 馬車で・・」

ストリュ「断る!」


 うわっ。即答かよ!


エストリア「送ってあげなさいよ。一応、主人でしょ。」

ストリュ「俺が仕えるのはセクタ王国のみ」

エストリア「またそれ?滅んだ国に仕えるのは無理だって。」

ストリュ「うぐっ」

エストリア「いいから、行きなさい!」


 それでも馬車を出してくれた。エストリアの言う事は聞くのだよなぁ。


サミアス「道が分からないと思うので、ぼくも行きます!」

エストリア「うん。いいわよ。ぜひ、一緒に行きなさいね!」


 地図を見る限り方眼状の道でお城は中央だから、簡単に見えるが・・。

 そして、馬車に乗るとサミアスは客室の俺の隣に座る。それ道案内?


 お城には、ちゃんと馬車の駐車スペースがあった。ストリュとサミアスには馬車で待っていてもらう。

 門番に名前を言うと何かの名簿で確認して、俺の顔を見比べて通してくれた。あの名簿には何が書かれているのだろう?写真があるとは思えんのだが。

 ついでに、門番さんに大広間への道を聞いた。


 大広間の入り口で待っていたのは、左大臣、、じゃなくて、すっごい派手な鎧を来た若い男だった。

「貴様が勇者ヒロタンか!」


 なんだか、微妙に偉そう。どういう身分の人?


俺「そう、、だけど。君は?」

ルマリオ「近衛騎士のルマリオである!」


 良く分からんが、もしかして来ない方が良かったのか?

 陰謀に満ちた帝国・・だしなぁ。変な事にならないと良いけど・・


ルマリオ「俺に付いて来い」


 いまさら、イヤとも言えないので付いて行くと、階段を上がって、むちゃくちゃ豪華そうな部屋に。


皇帝ミリア姫「来たわね!」


 そうか、近衛という時点で、考えるべきだった。


俺「え~と。陛下におかれましては・・」

ミリア「そういうのは、よろしくてよ。」

俺「あ、はい。」

ミリア「エストリアは元気かしら?」

俺「元気ですよ。」

ミリア「そう。雑用とかでコキ使ってくれて構わなくてよ。」

俺「は、はぁ」

ミリア「いっそ、あんなヤツは奴隷のように・・、」

俺「あ、あのぉ。今日は、どういった、御用でしょう?」


ミリア「そうね。今日呼んだのは、やって欲しい事があるの。

    我が国が、先日、魔王国と講和条約を結んだのは知ってると思うけど、」

俺「知りません」

ミリア「なんですって! 何故、帝国の一大事を知らないのよ!」

ルマリオ「へ、陛下。勇者は、先日、来られたばかり・・なので。たぶん。」


 うん。この皇帝は危ない。すぐに沸騰する。


ミリア「そ、そうだったわね。

    講和条約を結んだのよ。それで、今、魔王軍四天王の一人、トラク将軍が、親善と戦後処理のために、帝国にいらしてるわ。」


 だから何?


ミリア「、、考えたのだけど、この機会に我が国の勇者であるあなたと、魔王軍四天王との御前試合なんて、すばらしいと思わない!? 」


 うわ~。いきなり無理ゲーだ!

 実は弱い俺が、魔王軍の四天王と戦うラスボスイベントだと!?


俺「俺はまだ、この国に来たばかりで・・」

ミリア「私が決めた事に文句があるとでも?」


 決めたのか?


ミリア「細かい事は、大臣たちにまかせてあるけど。……、。

    あなたが勝たないとダメよ。これは、そう! 国の威信をかけた御前試合なのよ!」


 だめだ! どう考えても無理ゲーだ。


ミリア「じゃあ、あとは大臣たちと相談して。」


 大臣?左大臣もいるのかな?


 ルマリオに案内されて別の部屋に。

 入口には[御前試合 実行委員会]そして、赤い字で[関係者以外入出禁止]と言う札が・・

 ルマリオは入口まで案内して去っていった。

 中に入ると、左大臣さん、右大臣さん、そして、青い鎧を来た将軍っぽい人の3人。


青い鎧の人が「初めまして。勇者のヒロタン殿ですね。私が魔王軍のトラクです。」


 う~ん。魔王軍四天王って感じじゃないな。まじめで誠実そうな人。

 この国の大臣の方が、よほど怪しい。


 そして、相変わらず怪しい笑い顔の左大臣が。

左大臣「ヒロタンは、ミリア姫に御前試合の事を言われれて(きも)を冷やしたのじゃないかな?」

 俺は少し小声で・・左大臣に。

俺「あの~。そんな事を言って良いのですか?」

左大臣「構わんよ。ここにいる3人には、おまえのレベル偽装について(すで)に話してある。」


 頭が痛い。どういう連中だ!


トラク「ご安心ください。御前試合では、私が負けるという事で、既に相談が、まとまっております。

    魔王国としては、ここで、いたずらに我が国の脅威を示すなど、得策ではありません。」


トラク「ただ、私が負けるにしろ、意図的な結果がバレないような試合をしないといけません。」

俺「すみません。俺が弱すぎて、、、普通の試合だと俺が負けるのは不自然ですよね。」

トラク「申しわけありませんが、その通りです。そのあたり、良い策がまだ無いのですが。5日後の御前試合までに考えないと・・」


 この場では良い案が無かったので宿題になった。俺も考えるように言われた。


右大臣「ヒロタン殿には、御前試合で、もう一つ、イベントをお願いしたいのですが・・。」

左大臣「分かっておる。だが、その件は、明日、ヒロタンの投票に、キミが協力してくれたらと言う事だぞ。」

右大臣「理解しています。うちの派閥も議会ではヒロタンさんへの投票で、根回ししてありますので。」


 左大臣が俺に向かって、

左大臣「明日の議会での新貴族の選出で、おまえ以外にも候補が出てな。議長が手ごまの軍人を無理やり立ててきおったわ。

    だから議員による投票で決める事になる。

    まあ、急場の候補だし、ここにいる右大臣も協力してくれるので問題無かろう。

    明日、おまえのやる事をこれにメモにしておいた。しっかり頭に入れておけよ。議会は昼四刻からだが、その半刻前には来るように。」


 この世界の時刻は、昼を10、夜を10に分けた20時間制だ。昼四刻だと、6+4で午前10時すぎぐらい。


右大臣「そういえばトラク殿の宿(ホテル)は上5番左7番通りですよね。歩くと遠いでしょう。」

トラク「今朝は歩いてまいりました。私は早起きですし帝都の見学もかねて。」


 すごいな。番号から言って、うちの近くだぞ。うちは確か上6左8。


右大臣「馬車をお呼びしましょう。少しお待ちを。」

俺「よろしければ、俺がトラクさんを送って行きましょうか? うちは上6番左8番通りなので、近くです。

  あまり、良い馬車ではありませんが・・。」


 なんだか、良い人そうだしな。


トラク「そうですか?では、お言葉に甘えて。」


 馬車に戻るとストリューが少し文句を言ったが、御者はやってくれた。


トラク「これは綺麗なお嬢さんだ。妹さん?には見えませんが・・」


 サミアスの事である。


サミアス「ヒロタン様の従者のサミアスです。」


 お嬢さんでは無いわけだが自分から性別は言わない事になっているらしい。一種の職業病だろうか。

 以前より表情がある分、ヤバい可愛さである。・・・男だけど。


トラク「ほおぉ。こんなに美しい方が従者とは(うらや)ましいですな。」


 取りあえず、世間(せけん)話しでもしておこう。


俺「魔王国にも、綺麗な方は多いのではありませんか?」

トラク「どうでしょう。私の周りには、変わった女性しかおりませんので。」


 俺も同じだよ。


俺「例えば、どのような女性でしょう?」

トラク「そうですね。その筆頭(ひっとう)は、なんと言っても、今の魔王様でしょうか。」


 え? 魔王って女性なの? 変わった女性の筆頭??


俺「どのように変わってるのですか?」

トラク「あ、いえ。すみません。あまり、お話しする事ではありませんので。ご勘弁ください。」

 そりゃそうか…。

俺「はい。余計な事を聞いて申しわけありません。」


 そうこうしているうちに、トラクが泊まっている宿(ホテル)に付いた。

 ほんとにうちの屋敷の近くだった。特に護衛もいないけど良いのかな?

 強いみたいだから、大丈夫なのか・・・、(あるい)は、お忍びなのか。


トラク「ではまた!」


 戻った所で、エストリアに今日の事を話して御前試合の件を相談してみた。


エストリア「なるほど。

      それで、今、四天王のトラクさんを送って来たって言ったわね。」


俺「あー。近くの宿(ホテル)に泊まっている。まじめそうなくせに、サミアスにはデレデレだった。」

エストリア「ふ~ん。その四天王さん、使えそうね。」


 いや、何の話しだ? 御前試合の進め方を相談しているのだが。


エストリア「今晩、うちで四天王さんを招待して、パーティよ。」


 ちょっと、まて!何を言ってる!


エストリア「サミアス! ちょっと行って招待してきてくれる。あなたが行けば、絶対に来るわ。

      それとね。サミアスにお願いがあるの。ヒロタンさんのために必要な事だから。」


サミアス「ヒロタンさんの役にたつなら、やりますよ。」


 抗生物質は衣裳部屋でアオカビの培養中。

 すぐに出来る作業は無いので、執事さんとルナリスとかでパーティの準備。

 そして、サミアスが招待したら、、。


トラク「サミアスさんに言われると断れませんな。はははは。」


 とかで来た!真実を知らないというのは幸せだね。


エストリア「ヒロタンさんの、世話役を仰せつかっておりますエストリアです。」

トラク「おや、あなたは、、似てますかな。え~と・・」

エストリア「わが国の貴族は親類関係が多いので。似てしまう事があります。私も貴族の出身です。」

トラク「なるほど。」


 トラクの知ってるだれかに似ているらしい。

 そういやセクタ国の、かつての王様に似ているという話しもあるし、貴族階級はみんな親戚なのか?


エストリア「トラク様は、慣れない異国で、何かとたいへんでしょう。」

トラク「いえ、それほどでも。仕事ですし。」

エストリア「お国とのご連絡はどのように?」

トラク「私を送って来た小隊が街の外壁の外で野営しております。その中に通信のための神官も。

    ですので、2~3日毎に街の外に出て、その小隊と合流した上で通信を行っております。」

エストリア「たいへんそうですね。」

トラク「さすがに昨日までの敵国の軍隊を帝都には入れらないと言う事で、私ひとりが、この街に。」


 ある意味、人質だろうか?

 それにしても、エストリアは何を?


エストリア「それは、さぞ、ご不便な事でしょう。もし、よろしければ、お近くのようですし、サミアスをトラク様の宿(ホテル)まで通わせましょうか?身の回りのお世話などのために。」

トラク「なんと! こ、このように綺麗なお嬢さんを!!」

エストリア「ただ、少し、条件があるのですが。」

トラク「私に出来る事であれば。」

エストリア「トラク様は、四天王と言われるお方、母国へのご報告先は魔王様となりましょうか?」

トラク「主に宰相閣下ですね。今の魔王様はまだ幼いので、。だいたいは宰相閣下と一緒におられますが。」

エストリア「その通信を、この屋敷で、ぜひ、(おこな)って頂ければと。

      そして、その際に、私とヒロタンさんを、宰相様・・ですか。その方に、ご紹介、頂きたいのです。」

トラク「待ってください! 長距離通信には、専用の瑠璃(デバイス)と神官、、この国では魔法兵ですか、それが二名は必要と・・」

エストリア「長距離通信用の瑠璃(デバイス)ならございます。そして、私と、ここにいるルナリスが魔法兵です。」

トラク「・・・。あなた方は、何者ですか? ヒロタン殿について、私が聞いたのは、ミリア陛下にご満足頂くためだけの仮初(かりそめ)の勇者と・・」

エストリア「事情があるのですが。魔王国の不利益になるような事をするつもりはありません。」

「それに、お国の、、、宰相様ですか。その方が、私どもと少しお話したぐらいで、政治を誤るような事は無いと思います。」

トラク「そうですね。宰相閣下はとても有能な方です。」

エストリア「でしたら、ここで、ぜひ長距離通信を行ってください。そして我々を、お国の宰相様に、ぜひ、ご紹介頂ければと。」


 トラクは少し考えているようだった。


トラク「秘密の通信については、暗号文の送付をお願いできますか?」

エストリア「もちろんです。」


 それでも、やはりクビを横にふりかけた・・が

エストリア「そうすれば、サミアスがお世話をさせて頂きますよ。」

 サミアスがトラクの側に寄り添い、にっこり笑った。明らかにサミアスは、こういうタイミングを心得ている。


トラク「わ、わかりました。そうさせて頂きます。」

 この野郎!まじめそうな顔しやがって!


トラク「2日後に通信を行う予定ですので、その際に、こちらで。」


 どういう展開なんだろう。

 その日は、それで、終わった。明日からは、議会とやらだ。

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