表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/83

クラムの病気

エスタリア「少しでかけてくる。クラムをお願い。」

俺「いや、あの・・」


 エスタリアたちが病気のクラムを置いて出かけてしまった。

 おい!どうすんだよ? 俺一人で!


クラム「苦しい!」

俺「わ、わっ。大丈夫か?」

クラム「もう、だめかも。」

俺「し、しっかりしろ! 水・・、水飲むか?」

クラム「少し・・」


 抱き起こして、水を飲ませた。高熱でかなり弱ってる。

 見た目がクソガキでも素直で良い子だし、死んで欲しく無いよな。

 可能性があるとしたら抗生物質を作って・・。


 水は飲んだが、苦しそうだ。


クラム「俺、、もう死ぬんだよな。」

俺「弱気になるなよ。なんとかなるかもしれないぞ。」

クラム「無理だよ。知ってるんだ。」

ただ、それでも、少し考えたように…

クラム「でも、さっき、おまえ、さっき聖者とか言ってたな。」

俺「あー、俺の職業にある。」

クラム「俺を救うとか・・、そういうのは。、、無理かな?」

俺「そうだな。治せる・・かもしれないが・・。」


 聖者は関係無さげだが。


クラム「・・。ほんとか?」

俺「少し面倒なんだが・・。」


クラム「面倒なのか・・。俺、かわいく無いし、、。それじゃ、だめだな。」


 熱で悲観的になってる?


俺「すまん。変な事を言った。いずれにしても、やってみるつもりだよ。」

クラム「無理しなくて良いよ。俺じゃ、助けても何も・・。俺が可愛い女の子なら良かったかもしれんが・・。」

俺「大丈夫だぞ。クラムは良い子だし。助けるぞ。」


クラム「熱い!」

俺「うわっ。水、、水でも?」

クラム「さっき、飲んだ。汗かいたし、拭いてくれ。」

俺「よし!」


 って、忘れてた!女の子だった!!


俺「や、やっぱり、。クラム、女の子だから誰か帰ってきてから・・」

クラム「ヒロタンで良いから早く・・。」

俺「・・。わ、分かった。下着は取るなよ。」


 抱き起して、パジャマを取ると、ほんとに女の子だった。

 ぶかぶかの服を着ていたから気づかなかったが、胸だって普通にある。

 身長を考えれば十分以上だろう。

 髪が短くて男の子、、、あれ? この髪?


俺「髪って止めてるのか? (はず)せば?」

クラム「ダメ! (はず)すな!」

俺「なぜ? その方が、かわいい女の子になるぞ?」

クラム「だめだ!俺は女の子しちゃいけないんだ!」

俺「なぜ?」

クラム「そういう命令なんだよ。里長(さとおさ)の。」


 男の子な恰好は自分の意思じゃないのか・・

 ほんとは・・


俺「でも、髪は伸ばしてるよな。」


 それって、女の子したいからじゃ?


クラム「それは・・」


クラム「親方が、、俺が死ぬ時は、、髪をほどいて、女の子して良いって。

  里長も親方も全て忘れて、女の子して良いって・・。そういう命令だった。だから、。」


 なんだよそれ! 何かの免罪符か?

 死ぬ時じゃ意味無いだろ!


俺「親方の命令は、里長(さとおさ)・・だっけ、それより上なのか?」

クラム「当たり前だ。戦場では親方の命令が絶対。全てに優先する!」


 戦場? こいつも敵の捕虜で奴隷的なあれか?

 まだ18か、下手するとそれ以下だぞ! 少年・・少女兵かよ!


俺「なるほど! なら、今が、親方の言っていた死ぬ時だ! 親方は、死ぬ、どれぐらい前にほどくとか時間を言っていたか?」

クラム「う~ん。言ってなかった。」

俺「そうだろ?! だから、いずれ死ぬと思ったら、それが、その命令を実行する時だ!

  そして、今が、それだ!」

クラム「でも、おまえが、俺を助けるって・・。」

俺「止めた! 助けるのは止めた! おまえは死ぬ! だから、その命令を今すぐに実行しろ!」

クラム「無理やりだな。」

俺「無理にでもやれ! クラムは、、そうしたくないのか? 俺は髪を解いたクラムの方が可愛くて好きだぞ。」

クラム「・・。そうしたいよ。その方がヒロタンも喜ぶなら、なおさらだ!」

俺「じゃぁ、やれ! 俺もクラムにかわいい女の子して欲しい! 命令違反は無い! 何も問題無い! やるんだ!」


クラム「分かった・・・。やる!」

「これより親方の命令を実行する!」

里長(さとおさ)を消去。承認! 親方を消去。承認!  新たにヒロタンを親方にして命令を入力、承認! 」


 なんだ? おまえはロボットか?

 それに、俺は、何か命令したっけ?


クラム「髪、、ほどくから、手伝って・・。」


 髪はいくつかのピンで止めてあった。高熱で上手く動けないらしいので、抱き起して俺がはずす。

 ほどくと、、、少年から、ボーイッシュなショートヘア―の少女??。


クラム「女の子になれた?」

俺「あー大丈夫だ!すげー女の子だぞ!」


 ほんと言うと、そこまで変わらないけど。でも、表情は、ぜんぜん可愛くなった。


クラム「あーでも、サミアスみたいには可愛く無いよな。」


 ・・・、否定できない。


俺「大丈夫だ。おまえには胸がある! サミアスには無い!」


 エストリアほどじゃないけど、身長を考えれば十分だろう。


クラム「おぉ!ほんとだ!」


 自分で見るなよ。


俺「これで、おまえを治す理由もできただろ! 病気は俺が治すから信じろ!」

クラム「そ、それって…。うん。分かった信じるよ。」

俺「あ~。信じて、寝てろ。」

クラム「今は苦しく無いかな。少し寝るな。」

 少し笑って「ありがとう。」


 礼を言うのは早い気もする。

 ほんとうにできるのか? 効くのか? 間に合うのか?


皆が戻ってきて、クラムの様子が変わっているのに驚いていたが。


 とにかく、広間に皆を集めた。


俺「クラムのために、俺の世界にあった薬を作りたい!

  時間が無いかもしれないから、急いで・・。」


 ペニシリンを作ろうと思う。他に知らないし。

 アオカビからペニシリンを抽出する方法が良く分からないが。水溶性であるというのと、特にアルカリに良く溶けるらしいのは覚えている。精製が上手く出来ないと毒性が強いかもしれないが副作用や毒性は、そのあと回復薬とやらで、なんとかするしかない。

 ただ、クラムの病気が、ウィルス性だったり、作った抗生物質の効かない病気だとダメなんだが。

 回復薬の話しからすると、ウィルスよりは細菌である可能性が高いと思う。ウィルスは生きてるとは言えない、、よな。たぶん。


エスタリア「そうね。そんな薬があるなら、是非、作るべきだわ。でも、あんたを信じて大丈夫なの?」


俺「はっきり言ってしまうと、ダメかもしれない。俺の知識の不足と、この世界の事情、あとは、クラムの病気の進行によっては。

 俺は、それでもやりたいと思っている。」


ルナリス「私にできる事なら、なんでも協力します。」

サミアス「ぼくも」

ストリュ「クラムを助けたい。」


エスタリア「いいわ。出来たら、すばらしい!っと思う。私も、なんでもするわよ。」


俺「作業を分担するが、カビの培養が全体のボトルネックだと思う。」

「執事さん、この家で、一番清潔な部屋って何処?そこに大きな蓋のできる樽を置いてもらるかな?無ければ、買ってきて・・。それを消毒して・・。」


「サミアス!カビの培地を作るので手伝ってくれ。小麦粉みたいのでできるかな?アオカビをどこかで探さないと。そもそも、この世界にいるのか?」


「そして、他の材料なんだが、。ルナリスの知識が必要だと思う。」

「この世界の石鹸は、どうやって作ってるのだ?あの手や顔を洗う時に使ってる泡立つ液体なんだが。その原料が欲しい。」


ルナリス「食用油と、ある植物の灰の上澄み、後は香料で作ります。」


 う~ん。あまり強いアルカリじゃ無い気もするが・・。そういや液体の石鹸であって、固まって無いものな。


俺「その油と、灰の上澄みを手に入れる事は出来るかな?香料は要らない。あと、瑠璃(デバイス)を埋め込む時に消毒用に使ってるアルコールがあるよね。アルコールは培地の環境を作る際にも欲しい。それと、何かこう、ろ過するような器具。そして、できたばかりの炭。」


ルナリス「ちょっと待ってください。順番に!」


俺「ストリュ!いろいろと買わないといけないので、馬車を出して。」


 アオカビは、見つかったので、急いで培養を初めた。

 それと、必要な物の買い出しとかで、その日は終わってしまった。


 クラムの熱は少し下がったが、それでも高めのまま。

 容態は安定しているようだが、どれぐらい持つのだろう。


 はたして、間に合うのだろうか?

これで、4人の初期紹介的なネタは終了です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ