ライラお嬢様救出劇
前回(一昨日)、久しぶりに追加したにも関わらず、沢山のアクセスを頂き、ありがとうございます。もし、以前から継続して読んで頂いていた皆さんだとしたら、これだけ時間が空いてしまったのに、読んで頂き、ほんとにありがたいです。
城壁の上から外を見ると・・。ライラお嬢様の馬車だけが、そのまま東門から城外に出て、平原を疾走している。その馬車を追ってトスレイの軍勢も東門から外に。
作戦では、トスレイの軍勢だけを城外に追いやり、ライラお嬢様も城門の手前で皆と一緒に退避するはずだったのだが、何故かライラお嬢様の馬車だけが外に!
俺 「 おい! どうなっているのだ? 」
ストリュー 「 分からん。作戦は伝わっていたはずだが・・。 」
俺 「 何か行き違いがあったのじゃ・・。 」
ストリュー 「 ありえん。あのお嬢様も納得していたし、馬車の御者も・・。 」
ここで言い争っていてもしょうがないだろうな。
大統領も何事かと城壁に登って来た。そして・・
大統領 「 おい! あの馬車に乗ってるのはライラじゃないか!
どういう事だ?!
話が違うぞ! なんとかしろ! 」
そう言われても・・。
いや、やるだけやってみるか!?
俺 「 分かった。なんとかしよう。 」
トスレイの軍は、大統領が、あの馬車に乗っていると思っているから、追っているのだよね。
と言う事は・・
俺 「 大統領を縛って、城壁に! 」
大統領 「 なんじゃと!? うわっ。何をする! 」
城壁に大統領を吊るす!何やら叫んでるが、その方が良い。とりあえず、ここに大統領がいる事を分からせないと。
吊るされた大統領を見つけると、トスレイの軍が集まり始めた。すばらしい餌だ!
届きそうで届かないぐらいに大統領を吊るして・・。
俺 「 この隙に救出しよう!最速の小隊で!
速度を出せる帝国の近衛師団の騎馬隊で・・ 」
リパフ 「 でしたら、突撃小隊ですね。 」
俺 「 リパフ副隊長か。たのむ!門の前に集合させてくれ。俺も行く。 」
リパフ 「 分かりました。私も行きます。ヒロタン陛下には最高の馬を用意します。 」
トスレイの軍が、吊るされた大統領に気を取られてる隙に、馬に乗った帝国近衛師団の突撃小隊と俺が、門から城外へ走り出す。
いや、もう、俺は、だいぶ疲れてるのだが・・。でも、走るのは馬だし、一番良い馬に乗せてもらったので、かなりの速度で疾走している。周りの小隊にひっぱられて、俺の馬も飛ばしているようだ。良く訓練されている。
ライラお嬢様の馬車も、吊るされた大統領に気づいたのか、回り込むように、こちらに戻り始めた。だが、馬車の、すぐ後ろに追手を引き連れている。回り込んだ事でその追ってに追いつかれそうだ。
俺たちは速力を活かして、追っての斜め後ろから近づいて行く。本当に速い!
近づいた所で、追手の先頭あたりを目掛けて俺が魔法攻撃の電撃シャワー! エミャルから離れたのもあって、一撃を放つだけで意識を失いそうな疲労感だ。
それでも、そのかいあって、追っての先頭が倒れ、それにふさがれて追って全体の足が止まる。
ふらついてる俺を見て。
リパフ 「 ヒロタン陛下! お気を確かに! 」
俺 「 あー。なんとか・・ 」
リパフ 「 ライラお嬢様の馬車だと、また、すぐに追いつかれます。
馬車を捨て、今のうちにお嬢様を馬にうつして逃げましょう!
お嬢様は、一番大きい、ヒロタン陛下の馬に! 」
俺 「 分かった。 」
俺の馬を馬車に横づけしてドアを引っ張る。
リパフも近づいて業者に向かって叫んでいる。
馬車のドアを開けて、中のライラに
俺 「 馬車だと追いつかれます! こちらの馬に! 」
ライラ 「 何しに来たのよ! 」
俺 「 なんでも良いですから、早く、こちらに! 」
ライラお嬢様の手を引いて俺の前に乗せる。
見ると御者は、馬車を引っ張っている馬の一頭の上に移動して、その馬の金具を外した。そして、そのまま馬車から切り離された馬に乗って走り始める。どういう曲芸だ? ただものじゃないな。
ライラ 「 あんたは、いったい何をしているつもり?!
私だけなら捕まっても殺されたりしないのよ。だから、これが一番良い方法だったの!
それなのに・・ 」
俺 「 話していると舌を噛みますよ。 」
さらに何か言いたそうに、振り返って、俺を見たが、。
俺の様子を見て。
ライラ 「 あんた大丈夫なの? 顔色が最悪よ。目が死んでるし・・ 」
そう。おれは、もう限界!
ライラ 「 まるで死んだ魚の目だわ。気持ち悪い。 」
助けに来てやったのに。それは無いだろう!
ライラ 「 しょうがないわね。手綱をよこしなさい! 私に捕まって! 」
大丈夫なのか? いやまあ助かるが・・。
ぜんぜん、妹キャラじゃないな。
馬車を捨てた事で、それ以上、追ってにせまられる事無く、城門の近くまで戻って来れた。だが、当然のように城門の前にはトスレイの兵が待ち受けている。どう考えても俺の魔法攻撃は、もう無理。
隣を走っていた近衛の副隊長リパフが大きな声で!
リパフ 「 3列 単縦陣! よく聞け! 先鋒は帝国太陽勲章の栄誉を受けるチャンスである!
賞金は必ず家族に届ける! 俺に続け! 」
そう言うと自らも先頭に躍り出た。その勲章って戦死するって事か!?
そういうのは止めてくれ!
と、その時、城門の上からミシャが棒を・・。細い雷が城門の前にいた兵士に降り注ぎ、数十人が倒れた。俺たちは倒れた兵士を飛び越え、タイミングを見て開かれた城門から城内に飛び込む。
助かった!
後ろで城門がしまった音を聞いたところで、俺は、目を閉じ、そのまま意識を失った。
気が付くと、フカフカのベッドに横たわっていた。少し良い匂いもするような・・。なかなか豪華な作りの部屋だ。でも、頭がはっきりしない。二人の女性の声がする。一人はエストリアかな?
エストリア 「 トスレイって、そんなバカなの? それなら・・。 」
もう一人はライラお嬢様?
ライラ 「 そうなのよ。だからね、・・ 。
ん? 気が付いた? 」
俺が目を開けた事にライラお嬢様が気が付いたようだ。
俺 「 ここは? 天国・・じゃないようだが・・ 」
エストリア 「 誰が天使ですって? 」
いや、そんな事は言ってない。
ライラ 「 ここは大統領官邸の中にある私の部屋よ。 」
俺 「 はぁ? 」
ライラ 「 気絶した、あんたを医者に連れて行くと言って、ここへ運ばせたの。
私の使用人に命じてね。
エストリアお姉様にはバレてしまったけど・・ 」
どういう事?
俺 「 どうして・・こんなことを? 」
ライラ 「 あんたに話しがあるの。 」
エストリア 「 まったく、大胆な事をする娘だけど。
でも、まあ、それが本当なら良い考えかもしれないわね。
ヒロタンも聞いておくべきよ。 」
エストリアがそういうなら・・。でも。
俺 「 そう言われても、まだ頭がフラフラなんだ。
先に、回復薬と水と、あと軽い食事でもないかな・・。 」
ライラ 「 時間が無いのだけど・・。しょうがないわね。
用意させるわ。 」
この娘って、この家では、かなりの権力者なのかな? そう言えば馬車の御者も、ライラの指示で城外まで突っ走ってたし。
メイド風の女性が持ってきてくれたスープを口にして、ようやく少し頭がはっきりしてきた。
魔力も回復してきている。もしかすると、エミャルも近くにいるのじゃないかな。魔力の回復はエミャルが近くにいるかどうかでだいぶ違う。
ライラ 「 落ち着いたかしら? 」
俺 「 あー。助かったよ。 だいぶ、ましになった。 」
ライラ 「 そう。
それじゃ、まず、城外まで助けに来てくれた事に礼を言っておくわ。 」
俺 「 いいですよ。余計な事・・だったのでしょ?
それより、先に今の状況は? 戦闘は、どうなっているのです? 」
エストリア 「 都市城壁の内側は私たちが、ほぼ掌握したみたい。今のところは順調よ。 」
俺 「 良かった。戦闘の被害は? 」
エストリア 「 こちらの死者は4人。負傷者は数十人だけど、回復薬でなんとかなるレベルだわ。 」
俺 「 敵側は? 」
エストリア 「 確認できた死体は2体しか無いから被害はこちらの方が大きいわね。 」
俺 「 まあ、良かった方かな。 」
ライラ 「 何が? 良いですって? 」
俺 「 死人が少なくて良かった でしょう? 」
ライラ 「 あっ。まあ、そうね。 」
実際、死体の山を作って良いなら、他の方法もあったのだよな。
俺 「 それで、話というのはなんです? 」
ライラ 「 お姉さま・・なんだけど・・。 」
俺 「 ミルレ、・・・お嬢様? 」
ライラ 「 お姉さまが許しているなら呼び捨てでも構わないわ。
私も・・ 」
俺 「 ん? 」
ライラ 「 ライラで良くてよ。
そう。助けに来てくれた事には、本当に感謝してるし。 」
俺 「 じゃぁ、俺はヒロタンで。 」
ライラ 「 あんたは、あんたよ! 」
俺 「 ・・。そう、ですか・・・。 」
ライラ 「 それでね。
お姉さまを、トスレイさんに合わせて欲しいの。
できれば私も一緒に。 」
俺 「 何を言ってるのか、さっぱり・・なんだが。 」
ライラ 「 お姉さまをトスレイさんに合わせる事ができれば、この茶番・・戦いを終わらせる事ができるのよ。 」
俺 「 う~ん。もう少し詳しく・・。 」
ライラ 「 ごめんなさい。話している時間が無いわ。
とにかく、そうして! 」
エストリア 「 そうね。おそらく、ライラの言う通りにすべきだわ。 」
だから、なんなんだよ!
とりあえず、ミルレがトスレイの今回の件に関係しているわけか。
エストリアもそう思っているなら、ミルレをトスレイに合わせる事が重要なんだろうな。
俺 「 ひとつだけ。先に聞いて良いか? 」
ライラ 「 時間が無いって言ってるのに・・。何よ? 」
俺 「 俺たちが基地にしていた迎賓館にルルムという少女がいただろ?
あの子の過去について何か知らないか? 」
ライラ 「 はあ? なんで、私があの泥棒猫を知ってるって言うの? 」
俺 「 いや、何かミルレと関係が・・ 」
ライラ 「 あるわけ無いでしょ! スラム育ちって聞いたわよ!
そんな娘とミルレ姉さまに、なんの関係があるって言うの?
姉さまは、あの猫をかぶった、あざとい容姿に騙されてるのよ! 」
なんか、くやしそうだ。まずい事を聞いたか・・。
俺 「 変な事を言ってすまなかった。
まあ、なんだ、。
反乱を収めるのには賛成だし、。
それで収まるって事なら、ミルレをトスレイに合わせるように努力するよ。 」
でも、そんな事が出来るのか?
ライラ 「 早く皆の所へ戻ってくれる。これ以上、遅れると、あんたを心配して皆が騒ぎだすわ。
あと、この事は、パパには絶対に秘密よ! 」
俺 「 分かった。じゃぁ、 」
ベッドから起き上がって、入り口のドアへ向かおうとすると・・
ライラ 「 誰かに見られたら困るから窓から出て。 」
俺 「 窓? 」
そっちのが目立たないか?
ライラが窓を開けて、
ライラ 「 ここから出て庭を回ってから、玄関から入り直して。 」
まあ、平屋だから良いけどね。
言われるままに、窓から出て、官邸の正面玄関を叩こうと・・
ドアを叩くまでも無く開けてくれたのは、さっきのメイドさん、、じゃないか!
メイド 「 こちらに、どうぞ。 」
広間に通されると
エストリア 「 ヒロタンだわ!
医者からの連絡通り、たいした事も無く回復して戻ってきたのですね。
良かったわ。 」
白々(しらじら)しいぞ。
大統領 「 ヒロタンか。
東門では良くもやってくれたな。見ろ! これを! 縄の跡がこんなに・・ 」
大統領が服をめくって手首を見せる。確かに縄の後が・・
俺 「 まあ、そう言わずに。それで上手くいったわけでしょう。 」
大統領 「 ふむ。まあ、娘を助けてくれたのには感謝している。 」
ミシャ 「 それよりも、皆さん!
急いでトスレイの軍への対応を相談すべきです。
向こうには勇者まで加わっているのですよ。」
俺 「 勇者キヨハル? 」
ルナリス 「 はい。傍受した通信によると、城外の駐屯地で攻略部隊を編成しているようです。
そこに勇者も加わっています。 」
大統領 「 そうだ! これは、とてもまずい事だぞ!
勇者は無敵だ! どうやったら勝てるのか皆目分からん。」
勇者キヨハルはバカな投資で金が無くしたのだろうな。それで金欲しさに雇われた、、か。
あんまり戦いたくないなぁ。強そうだし。
俺 「 勇者キヨハルは悪いヤツじゃないと思いますが・・ 」
大統領 「 そういえば、ヒロタンは会いに行ったと言ってたな? 同郷? 」
俺 「 まあ、そうですね。 」
ミシャ 「 お兄様! 今は敵ですよ! 」
そういえばミシャは・・。
俺 「 分かってる。戦う以上は敵だ。 強敵だし全員で総力戦かな。
いつ来るのだ? 」
ルナリス 「 明日の朝には攻めてくるでしょう。
勇者と、首都近くの駐屯地の兵士が合計で、ざっと2万・・ 」
俺 「 ちょっとまて! 2万って・・。そんなにいるのか?! こちらの兵力は? 」
大統領 「 都市城内で掌握した兵力と、君らが連れて来たロリャリム、後は商会の私兵を全部、合わせても8千が限界だろう。 」
ストリュ 「 城壁で守る側とはいえ、かなり厳しい戦いだな。
もし長期戦になったら絶望的だ。 」
相手は単純な兵力でも数倍の上、圧倒的なパワーの勇者もいる!?
そうだ! ライラの言ってた戦争を終わらせる方法・・
俺 「 トスレイは何処にいるのだ? 」
ルナリス 「 分かりません。 おそらく城外の駐屯地の何処か、でしょう 」
そうなのか? 昨日の宣言は都市城内のニュース社だから、その後、城外に移動したのか?
俺 「 できれば、トスレイの居場所を知りたい。なんとか掴んでくれないか? 」
ルナリス 「 やってみます。 」
俺 「 たのむ。 」
ライラの策が正しいとしても、間に合いそうにないし明日は戦うしか無いのか・・。
俺 「 おそらく先鋒は勇者だろう。
勇者に全員・全力で当たって、そのあとは籠城戦かな。
何か良い方法は無いか? 」
ストリュ 「 厳しいが、皆で、やるだけの事をやると言う事になるだろう。 」
勇者が寝返ってくれれば簡単なんだが。無理かな?
とにかく、策を考えないと・・。
昨日に続いて、不安な夜だ。
大きな展開は1月の中断以前にプロットしていた物です。特に次回の(ry




