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クーデター前夜

俺「ロリャリムの軍5000を、クーデターを阻止する兵力として連れてきた。

  南の城門近くにいる。

  クーデターが明日だとすると、彼らを今夜のうちに首都の城内に入れたいのだが・・」


ストリュ「むちゃを言うな。ロリャリムは共和国に敵対する組織と聞いているぞ。

     城門の警備は厳重だし、突破しようとすれば、それだけで大きな戦いになる。

     そんな事になればクーデターは、むしろ、やりやすくなるぞ。」


 突破の難易度は橋のレベルじゃないよね。さて、どうしたものかな。


俺「大統領と通信できないかな?」

ルナリス「ミルレさんの事で、と言えば応じてくれると思います。気にしているようでしたから。」

俺「分かった。そう言って、大至急、通信の予定を組んでくれ。」


 ほんとにすぐに応じてくれた。いつものTV電話風の瑠璃(デバイス)通信。


大統領『たいへんな時期だから、手短いに頼むぞ。ミルレがどうかしたのか?』


 たいへん? クーデターに気づいてる?


俺「ところで、大統領の後ろにいらっしゃる女性の方は?」

大統領『次回の市民会議での協力者だ。たまたま打ち合わせ中だったのだが、この通信に参加したいそうでな。』


 いや、どうみてもエストリアだろ!

 なぜ、エストリアが大統領の後ろにいるのか、とても気になるが、、。でも今は、、。


俺「実はトスレイ国防長官がクーデターを(くわだ)てているようです。ご存じですか?」

大統領『なんじゃと! あやつが?!』


 知らない!?


俺「信じられない・・ですか? 明日にも決行されるようですけど。」

大統領『・・・・。いや、ありえる。こういう状態だと・・、むしろ当然かもしれん。

    うむ。

    連絡に感謝する! ならば、私らは、すぐに逃げるぞ!』


 立ち上がって、ほんとに、今にも逃げ出そうしている。


俺「大統領が逃げたらクーデータは成功と言う事になりますよ。

  そして、そうなったら、どこに逃げても、あなたは殺されるでしょう。」

大統領『何を・・!

    ・・いや、、。確かに、かつての2月事変では当時の大統領が逃亡先で殺されたな。

    では、どうしろと言うのだ? 

    今の、ここの警備兵でトスレイの軍に対抗するのは不可能だぞ。』

俺「実は阻止できるだけの軍を用意しています。

  首都の城内に入れて頂ければ、大統領の安全を保障できます。」


 保証なんか出来ないけど、とにかく、そう言わないと。


大統領『どこに、そんな軍がいると言うのだ?

    君たちが西の島から連れて来た軍隊は、たいした数では無かったぞ。』

俺「おります。首都の城外に待機しています。大統領の命令で南門を開けて、城内に入れてください。」

大統領『いや、そんな事は・・。』

俺「5000の兵ですが幻影魔法で500か、それ以下に見せる事が出来るでしょう。身なりも偽装できます。

  大きな隊商とでも言って、命令してください。」

大統領『・・・・。他に方法が無いなら・・。

    だが、今から命令書を送っても明日になってしまう。クーデターは明日なのだろ?

    私が直接行っても良いが・・』

俺「危険でしょうね。トスレイは大統領を狙っています。

  城門の兵士の中にトスレイに通じている物がいたら、明日を待たずに・・」

女の子『私がまいりましょう。』

大統領『おまえが?』

女の子『私なら、この前の件で皆さんに顔を知られています。お父様の命令書を持って、すぐに。』

俺「どなたでしょう?」

大統領『下の娘のライラだ。』


 下? ミルレより大人びている。清楚なお嬢様風だが、賢そうだし、しっかりした感じ。


俺「よろしければ、お願いします。お嬢様の安全は保障します。」

大統領『そうだな。或いは、その方が・・。

    ミルレは? どうしている?』

俺「今、少し体調が悪くて休んでいますが、すぐに元気になります。」

大統領『なんだと!? 病気なのか?』


 まだ、移植のせいで安静が必要なのだが。首都には戻っている。


俺「病気ではありません。すぐに回復します。」

大統領『なら、良いが・・』

俺「そういば、ミルレの出生の秘密を教えてもらえると嬉しいのですが。」

大統領『秘密? ミルレはわしの娘で・・』

俺「本人が本当の娘では無く、義理の娘だと言ってますよ。トスレイもミルレを気にしているようですし。」

大統領『・・。そういうのは家庭の秘密というものだ。』

俺「そうですか。まあ、いずれ・・」


 大統領と接続が切れてすぐに、エストリアから瑠璃(デバイス)の通信が入ってきた。


エストリア<どういう事? ヒロタンの(うし)ろにエミャルが見えたわ!>


 そこ?


俺<大統領に連絡した通り、たいへんな事態なんだ。

  エミャルにも協力してもらっている。>

エストリア<エミャルが、そっちにいるなら私も行くわよ!>

俺<俺たちは、城門に向かうけど。>

エストリア<分かった。私もライラさんと一緒に向かうわ。>


 城門の手前で、ライラ嬢や、エストリアと落ち合った。

 ライラ嬢は、まじめでしっかりしていて、ミルレの妹・・とは思えない。似てないのは血がつながっていないせい・・もあるが、性格が違いすぎる。

 自らの役割りをこなすために、ライラ嬢は率先して城門に向かった。


 城門を警護していた兵士の隊長は、確かに、ライラの顔を知っているようだった。それでも、ライラ嬢から渡された大統領の書簡を見つめて悩んでいる。

隊長「確かに大統領の命令書ですが、お嬢様がいらした理由が良くわかりませんね。

   書簡によると経済の混乱を収取するための緊急輸送の隊商ですか・・・。」

ライラ「はい。予定を前倒しして、異国より、わが国のために物資を運んで頂いた隊商です。

    急な到着で、連絡が間に合わず私がまいりました。

    最近の物価の高騰を抑えるために、どうしても必要なのです。

    明日の朝の市場に商品を並べる事が出来れば物価を抑える事ができるでしょう。」

隊長「まあ、確かに、最近の物価の高騰には私も困っておりましたが・・。

   そちらの皆さんは?」

ライラ「異国の使節の皆さんです。」


 それ自体はウソじゃないな。


隊長「確かに異国風ですけど。東の国というよりは西の島の民さんに見えますね。

   書簡では東の国からの隊商と・・」


 うわ~。隊長、すごいな!


ライラ「ご存じ無いのですか?西の島と、東の国は友好国です。今回は、この皆さんのお力添えで、物資を運んで頂きました。」


 むちゃくちゃ言うなぁ。でも、隊長は妙に納得している。


隊長「でも、なぜ、この南門なのでしょう? 東の国からいらしたなら東門では?」

ライラ「急ぐあまり少し道を間違えたのです。なにしろ異国の皆さんですから。

    いいかげん、開けて頂けますか? 大統領の署名に問題は無いはずですよ。

    それ以上は命令違反で・・」

隊長「分かりました。

   門を開けて、お通ししましょう。」


 いざとなったら、力づくと思ったが、ライラ嬢に助けられたかもしれない。幻影魔法で数を減らして見せたロリャリムの軍勢が門を通って、中央通りへ進む。


俺「ライラお嬢様のおかげでうまくいきました。ありがとうございます。」

ライラ「いえ。父のためですから。」


 ロリャリムの軍勢は夜のうちに首都城内の大統領官邸に近い中央公園に移動した。

 ルナリスが傍受した限りトスレイは、こうした動きに気づいていないようだ。


ライラ「この後ですが、私は、このまま、ヒロタン様がいらっしゃる館に行くように言われております。

    その方が安全だと。」

俺「それは・・。」

エストリア「私も行くわよ!」


俺「部屋が足りません。」

ライラ「私はミルレお姉さまと一緒の部屋で大丈夫です。」


俺「あとは(すみ)の小さい部屋しか空いて無いですね。」

エストリア「私が行くと言ってるのよ!冗談は止めてくれる」


俺「エミャルも、(すみ)の部屋しか無いぞ。」

エミャル「そうなんですか?」


 エストリアは散々文句を言っていたが、後から来た二人には我慢してもらった。


俺「ところで、エストリアは大統領のところで何をやっていたのだ?」

エストリア「取引よ。私が副大統領という事で了解を得たわ。」

エミャル「そう、なんですか?

     でも、残念ですが意味の無い取り引きですね。」

エストリア「そうかしら?」

エミャル「市民会議の日になれば分かります。」

エストリア「何を企んでるの?」


 なんだか二人の会話が怖いのですけど・・。


俺「その話しは後でやってくれ!

  今は、明日のクーデターの阻止だ!」


 館の居間に皆を集めて作戦会議、、、を始めようとした時、ライラ嬢が飛び込んできて


ライラ「どういう事? お姉さまに何をしたの?」


 なんだか、ちょっと怖いのですけど。ミルレの体の事かな?


俺「ミルレは何と言っていた?」

ライラ「呼び捨て?

    お姉さまは、なんでも無いって言ってたけど、どうみても変よ!お腹が痛いみたい。」

エミャル「彼女は自分の意志でやったのですよ。ヒロタンさんのせいじゃありません。」

ライラ「何をやったと言うの!」

神官長「嬢ちゃん、落ち着いてくれんか。

    お前の姉さんは立派じゃった。」

ライラ「ウソね。なんで、そういうウソを言うの? 何を隠してるの?」

神官長「はあ?」

ライラ「うちの姉は、わがままで、意固地で、自分勝手……と言われてるのよ。

    その姉が立派ですって?」


 むちゃくちゃ言うな。


俺「言われてるって事は、ライラお嬢様は、そうは思っていないのですか?」

ライラ「……。私にだけはやさしくて良い姉なのよ。それ以外は言われている通り……かしら。」


 特定の妹にだけは、やさしいのか。


俺「後で紹介しますが、ここに、ある女の子がいて、ミルレは彼女のため少し休養を必要とする状態になっているのです。

  ミルレは、その子にも、やさしくしています。」

ライラ「な、なによそれ! ありえないわ! 私以外に!?」

ミシャ「いいかげんにしてくださるかしら。

    ここで騒いでないで、ミルレさん本人に聞けば良い事でしょ。

    今は、非常に大事な時で、あなたのお父さんの命もかかってるのよ。」

ライラ「分かりました! お姉さまに聞いてみます。もし、、、」


 出ていってくれた。似てないと思ったが沸騰しやすいあたりは似てるかも。


エストリア「次はエミャルの件ね! 市民会議で何を(たくら)んでるの?」


 違うぞ!


俺「それも後にしてくれ! さっき、そう言っただろう!」

エストリア「何よ! エミャルをかばう気?」

俺「違うって! 明日のクーデターを阻止するための作戦をだな!!」


 グダグダだったが、なんとか作戦を相談できた。

 こんなんで、なんとかなるのだろうか。本格的な戦闘になるかもしれないのだが。

 明日が心配だ!

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