ロリャリムと首都へ
バルマ「我々の情報網をなめてもらっては困る。
もちろん、商会の経営が変わったのは知っている。だが、新たな経営者は地獄の鬼のような女だそうだ。」
エミャルが倒れそうになったので、思わず支えた。支えられながら俺に向かって・・
エミュル「ちが・・、違うのです! 私は、ただ!」
俺「あー。分かっているよ。エミャルは良い子だ。」
エミャルは、言葉以上を求めているようだが、今は、ちょっと・・。
でも、エミャルの2面性って既に危険なレベルかも。なんとかした方が良さそうだけど・・。
とりあえず、バルマに向かって。
俺「その話しは、そこまでにしてくれ。
とにかく、首都まで来てくれれば食料はなんとかできる。兵士の数の圧力だけでも助かる。」
食料があると言うと、ロリャリムの兵士たちは積極的に参加してくれた。バルマや他の司祭や隊長たちに先導してもらいロリャリムの兵士、5000あまりを率いて、首都に向かって出発する。進軍というよりは、食料を求めての難民?
難関は、エルカンの町近くの橋。ここで共和国軍とにらみ合っていたわけだし、そこから先へ軍を進めるのは簡単では無さそう。
幸い、橋のたもとには我々の仲間が残っていたので、先に仲間に連絡して橋を確保する。共和国軍には、まもなく我々の馬車が戻るという話しだけを伝えた。
それでも共和国軍は周辺の警戒を続けている。
俺「ここで戦闘は避けたいのだが・・。」
神官長「大規模な幻影魔法が使えれば、ごまかせると思うのじゃが。大瑠璃でも無い事には・・。」
ロコナ「あるわよ。神殿の大瑠璃を借りてきたわ。後ろの馬車に積んである。
この大瑠璃は、ちょっと面白そうだし。」
神官長「おぉ! でかした!」
バルマ「おいこら!ちょっと待て! 貸した覚えは無いぞ! だいたい、どうやって外したんだ?
あれを外す手順には秘密があったはずだ!」
ロコナ「サリスさんが、手伝ってくれたのよ。」
バルマ「あ、あいつめ! どこ行った?」
神官長「うむ。とにかく、これで大規模な幻影魔法が使えるじゃろう。
我々が渡る間、共和国軍は誰もいない橋だけを見ていてもらおうか!」
神官長とロコナが幻影魔法をかけている間に、全軍で静かに橋を渡る。
近くで見ればボロが出たかもしれないが、共和国軍は、少し離れて監視していて、なんとか、ごまかせた。
エルカンの街を抜ければ首都まで、まっすぐだ。
途中の馬車でバルマと一緒だったので、この国の事情について、もう少し話を聞いてみた。いろいろとあきらめたらしく素直になっている。
俺「この国で何か特別な家系とか、そういうのはないのか?」
ミルレにはきっと何かあると思うのだが。
バルマ「そうだなぁ。昔の事で良ければ帝国時代に・・。
絶大な権力を誇った皇帝ダイバルスが大瑠璃の特別な権限を作らせて、3代に渡ってその権限を子孫に伝えた、、という話しがある。
だが、その皇帝の血筋も革命で途絶えた。」
俺「本当に途絶えたのか?」
バルマ「公開処刑されてるからなぁ。
興味本位の噂なら、いくつかあるが。」
俺「噂? どんな?」
バルマ「例えば、処刑された王子は替え玉で、本当の王子は西の島に渡って大魔王になった、とか。」
ミシャ「もしかして、私のおじい様の事かしら? ありえないお話しね。」
一緒にミシャと神官長も乗っていたのだが・・
俺「そうなのか?」
神官長「あー。ばかげている。大魔王テルオミ様は帝国で召喚された勇者じゃった。」
俺「それも、また、とんでも無い話しに聞こえるが・・。」
神官長「まあ、そうなんじゃが・・。だが、おまえが言う事じゃないだろう。」
ん? まあ、そうか・・
バルマ「噂とは、そんなものだ。
当時は、元王子である西の島の大魔王が、復讐のために攻めて来ると言われていたらしい。」
俺「いくつかの噂と言ったが、他にもあるのか?」
バルマ「城にいた美しいメイドが王子の子を宿していた、、というのがあるな。
そして、彼女は革命の英雄ザルパムに見そめられ、その嫁になった。だから英雄の娘が、実は皇帝の子孫、、と言う。」
色っぽいゴシップだが、それも、ありえないだろう。
俺「一応、聞くが、その英雄の娘というのは、その後、どうなったか分かるか?」
バルマ「革命から12年後の2月事変でザルパムの家族は、全員、殺された。」
血なまぐさい国だな。まあ、そんなもんか。
俺「噂は、そのぐらい?」
バルマ「他にもあったらしいが・・私が知ってるのは、それぐらいだ。」
俺「うん。ありがとう。」
面白い話しだが、いずれも疑わしいな。
俺「もう、ひとつ、聞きたいのだが。
昔の皇帝が国中の大瑠璃の共振動作によって、王妃の病気を治した・・とか。」
バルマ「前の前の帝政時代の話だな。ほぼ伝説なんだが・・
それなりに記録や石碑が残っているので、元になった、なんらかの事実があったのだろう。
ただ、具体的な事は良く分からん。治療の記録自体は残っていない。
意図的に消されたのかもしれない。」
俺「そんな事が可能だと思う?」
バルマ「その共振動作というのが、今の我々には無理だな。」
神官長「そういえば、あの洗脳・・解脱の構成は、誰が行ったのだ?
お前たちに出来るとは思えんのじゃが。」
バルマ「言ってくれるな。
まあ、その通りなんだが・・。
あの構成を行ったのはレイモンの奴ら・・だよ。」
俺「ん? だれだって?」
バルマ「東から流れて来たやつらで、一時、私たちのところにいたのだ。彼らの魔法技術は特出していた。」
神官長「ほー。会ってみたいものじゃな。」
バルマ「既に何処かへ行ってしまった。何かを探して旅をしていると言っていたが・・。」
また、妙な話しを・・。
そうこうしているうちに首都に近づいてきた。
見つからないように南の城門近くの森の中で、ロリャリムの軍勢には野営してもらう。その間にエミャルが首都に入り、商会の私設部隊に食料を運ばせて、ロリャリムの支援に。
俺たちも首都に入り拠点の館まで戻った。幸い、まだ、首都は平穏でクーデターの気配は無い。
そして、館に残していたルナリスやストリュを集めて。
俺「それで、クーデターはいつなんだ?」
ルナリス「傍受した通信から言って、明日のお昼ぐらいです。」
ぎりぎり!? でも、明日だと時間が無いなぁ。
俺「ロリャリムの軍5000を、クーデターを阻止する兵力として連れてきた。
南の城門近くにいる。
クーデターが明日だとすると、彼らを今夜のうちに首都の城内に入れたいのだが・・」
ストリュ「むちゃを言うな。ロリャリムは共和国に敵対する組織と聞いているぞ。
城門の警備は厳重だし、突破しようとすれば、それだけで大きな戦いになる。
そんな事になれば、クーデターは、むしろ、やりやすくなるぞ。」
突破の難易度は橋のレベルじゃないよね。さて、どうしたものかな。
さぼっていて申し訳ありません。仕事とかで、いろいろあって・・。
なんとか週一ぐらいは頑張ります!




