新たな目的
大商人の訪問は、いろいろと疲れた。みんな、勝手に何をやっているやら。いいかげん、エストリアは何をやっているのか教えて欲しいものだが・・。
とりあえず、瑠璃の通信で。
俺<エストリア? 何処で何をやってるのだ?>
エストリア<市民会議の準備で忙しいのよ。>
首都にはいるらしい。だったら・・
俺<こっちに来ないのか?>
エストリア<行きたいけど、。 まあ、どうせエミャルもいないでしょうし、まだ良いでしょ。>
俺<エミャル? まあ、確かにエミャルもいないけど・・>
エストリア<あっ。でも、政情が不安定になるかもしれないから、気を付けてね。>
大統領も気にしていたが、市民会議というのは何なのだろう?
廊下にミルレがいたので。
俺「おーい。ミルレは市民会議って、何だか知ってるか? 大統領の娘だろ?」
ミルレ「知らないわよ。家で、そういう政治の話はしなかったもん。」
つまり、政治関係、、ってそれは、そうなんだろうけど。
俺「そういや、エルラン商会がたいへんみたいだよ。」
ミルレ「ん? また、あそこから金を借りた貧乏人が店先で暴れたの?
大丈夫よ。あそこは、私兵が沢山いて守ってるのよ。
貧乏人は土下座させられて、蹴り出されるだけだわ。」
俺「え~と。会長が土下座させられて、追い出されたような・・。」
ミルレ「面白いジョークね。
あの叔父さんが土下座するとしたら、相手は地獄の悪魔だわ。」
う~ん。そういうものか。今度、その地獄の悪魔に合わせてやろう。
ミルレ「それは良いけど、そろそろ、あんたは西の島に帰らないの?
この国はもういやよ。早く連れて行って欲しいのだけど。」
そうだな。当初の目的は見失ってるし、帝国に戻った方が良いのかもしれない・・。
ミルレを連れていく気は無いが。
そして、翌日から何故か来客が増えた。妙に偉そう肩書の人が挨拶に来る。どういう事? わけがわからないし、めんどうだ。
皆で食事している時に、ルナリスに。
俺「ルナリス! 俺の代わりに来客の相手をしてくれないか? 俺は留守ってことで。」
ルナリス「無理ですよ。私は近衛であって、そういう立場ではありません。」
俺「じゃあ、近衛のルナリスには通信の傍受をお願い! 首都での軍事的な通信とか。
なんだか、政情が不安定になる危険があるらしい。エストリアが通信で、そう言っていた。」
ルナリス「わかりました。エストリアは何をしているのでしょう?」
俺「わからん。」
俺が知りたい。
俺「で、来客の相手なんだが・・、。ミルレはどうかな?! 大統領の令嬢なら、そういう対応は出来るだろ?」
ミルレ「挨拶だけなら、かまわないけど。でも、ここでの私の立場は、何って言えば良いの?
正直に『囚われの美しき姫君です』、って言うのかしら?」
ミシャ「一言も合ってませんよ。」
俺「ん~・・。俺の秘書ってのは?!」
ミルレ「それは、いや!」
俺「何なら良いのだ?」
ミルレ「言ってしまえば・・、。そうね。ヒロタンの婚約者でどうかしら?」
ミシャ「バカを言わないでください!」
ミルレ「しょうがないわね。愛人兼秘書で、どう?。」
って事で、ミルレは人質じゃなくて、ここで働いてる事になったらしい。
実質的に、どう違うのか良く分からないが。
ミルレ「その代わりルルムをお願い。最近、少し容態が悪いのよ。」
そういうわけで、来客から解放されたがルルムが俺の膝にのっている。どうして膝にのる必要があるのか分からない。
ルルムが張り付いてると、わりと暇しているミシャも来た。
ミシャ「また、一段とルルムがベッタリですね。どうするのです? その子?」
ルルム「私は大丈夫ですよ。ヒロタン様と居られれば。」
そういやリナルにお金(わいろ?)をもらったから、それでミシャへのプロゼントが出来るかな?
俺「ルルムは洗脳を解くべきだろうね。それで俺からは離れるだろう。」
ミシャ「そうですね。」
目的を失っている所だったし・・。
俺「ロリャリムとか言う魔王教団のところへ、もう一度、行ってみないか?
ルルムの洗脳を解くには、それしか無いのだろう。」
それ以外にも、そこに行けば何か情報が得られるかもしれない。
ミシャ「ヒロタンさんが行くなら、ぜひ、一緒に!
でも、この前みたいに危険な状況になる事を考えると、エミャル姉様がいた方が良さそうがですが・・。
そうすれば、ヒロタンさんの魔力が十分に使えるはずですよね。」
俺「なるほど・・。」
ミシャ「と言っても、エミャル姉様が何処にいるか分からなくて・・。」
俺「・・知ってるかもしれない。一緒に行くか?」
ミシャ「ご存知なのですか?」
エミャルに会いに行くという事で、俺とミシャの二人で出かける事にした。
二人用の馬車というのがあって、借りてきてもらった。俺が御者でミシャが隣に乗る。二人だけというのは初めてかもしれない。ミシャは、清楚な感じのドレスに着替えていて、派手さは無いがミシャ自身の美しさが引き立っている。いろいろと素晴らしい!
だが、いざ出発となったらルルムもついてきて、ちゃっかりと馬車に乗ってしまった。無理に追い出すのは気が引けるし・・・。ルルムとミシャなら二人用の馬車に三人でも、特に狭くは無いけど。
街に出ると、さすがに美少女を乗せているので視線を集める。
しかし、ルルムは邪魔だ。この機会にミシャへのプレゼントもできれば・・、と思って馬車にはリナルからもらった200万ゴールドを積んできたのだが・・。
途中で宝石店を見つけたので、、。
俺「お金があるから、何かミシャが欲しい物があれば、。あそこの店でどうだろう?
ルルムには、この前、買ってあげただろ?」
言われてルルムは自分の指輪に視線を落とす。指輪の透明な宝石にルルムの青い大きな瞳が映って、光っている。
ミシャも、ちらっと、それを見たようだが。
ミシャ「要りませんよ。前にも言いましたが、私は焼いているわけではありません。」
俺「まあ、・・。ミシャは沢山持っていそうだし。」
ミシャ「・・そうですね。」
月並だが、何も付けなくてもミシャ自身が、いかなる宝石よりもきれいだろう。
ミシャ「でも、もし可能なら・・。こういうお店で、ひとつだけお願いしても良いでしょうか?」
俺「200万ゴールドあるから、こんな小さい店なら店ごとでも・・。」
ミシャ「宝石はいりません。
私たちのお互いの指輪に二人の名前を入れる事ができたら・・
宝石店なら加工してくださるかと。」
ルルムはミシャの言葉で、俺とミシャが似た指輪をしている事に気づいたようだ。それで、何か言おうとしたけど、特に声には出さなかった。
ミシャ「私は、この指輪があまり好きではなったのです。ヒロタン・・。お兄様と会うまでは。」
そういえば、俺がこの指輪を外せなかった理由は、ミシャと、、。
俺「そうだね。俺もこの指輪はミシャと同じだから好きだよ。
プレゼントでは無いかもしれないが、名前を入れるのは、もちろん賛成だし、。最高だ!」
ミシャ「はい。」
宝石店に入ると、店主らしい上品な男が出てきて。
「これは、また、綺麗なお嬢様ですね。」
もちろん、ミシャの事・・だと思ったが、店主の視線からするとルルムの事らしい。今の俺の容姿だと、むしろ、ルルムのほうが似ているから、俺との関係を想像してのお世辞だろう。父親というほどの歳には見えないと思うけど。
指輪は特殊な物なので、どうかと思ったが、宝石店では普通に加工してくれた。あまり、目立つ文字では無いが、お互いの指輪に二人の名前を入れる。
ルルムはおとなしくしている。俺のミシャを贔屓するような行動にも、不満を言う事は無い。めったに不満を口にしないのは、やはり洗脳のせいだろうか。
ミシャがルルムに「お兄様の心を、死者の国に持っていかないで欲しいのです。これは、そのためにも、。」
ルルム「はい。私は、ただ、ヒロタン様の、そばにいられれば、それで・・。」
相変わらず直視するのが怖いけど、ルルムがある程度、可愛いのは事実なのだろう。だが、ルルムとミシャを比べたらミシャの方が可愛い。これは絶対だ。
ルルムの青い目と透き通るような肌と、輝くような金髪は、天使とも言える。あこがれてはいけない存在。それに比較すると、長い黒髪と、大きな黒い目のミシャは人間として美しく、そして、可愛い。もちろん、俺の主観だが。
そのままエルラン商会の本社ビルに向かった。この前の話しからすると、今は、ここにエミャルがいるのだろう。行ってみると通り一面に並ぶ沢山の看板の架け替えをやっていて、既にかなりががシバタイル・エミャル商会に書き換わっている。
ミシャ「エミャル商会? どういう事です?」
俺「行ってみればわかるだろう。」
ルルムには馬車で待っていてもらって、。この前、大統領と一緒に来た大きなビルの受付で、。
俺「ミシャと、ヒロタンが来たとエミャル・・会長に伝えてくれないか?」
受付「申しわけありませんが、エミャル会長は、予約されていない方と会う事はありません。
まず、こちらに、ご要件とお名前を記入して、確認と予約をお願いします。」
俺「ミシャは、会長の実の妹で家族なんだ。」
受付「・・ご家族の方ですか? 会長の、ご家族の方の来社は初めてですね。
妹さんと、、。あなたは?」
ミシャ「お姉さまと結婚を予定している人・・です。」
やっぱり、それなの?
受付「へ? 会長のご婚約者様ですか? 失礼いたしました。
そうですね。お美しい方ですし、そうした方がいらしても・・。
分かりました。すぐに伺ってまいります。」
しばらくして・・
受付「お会いになるそうです。
ですが、準備があるので、少し待って頂くようにと。
先にミューリラル副会長が会うとの事です。」
案内されて副会長室に入ると・・。ミューちゃんが・・。
でも、何故か机の向こうにいるミューちゃんがいつもより大きく見える。どうやら、かなり背の高い椅子に座っているらしい。足は、そうとう床から離れているはず。
ミュー「どうして、私たちがここにいるって分かったの?」
俺「どうしても何も、看板が出てるだろ。」
この前の事は言わない方が良いだろうな。
ミュー「ん。まあ、そうね。
エミャルは、今、着替えてるから少し待って。」
俺「むしろ、なんで、ミューちゃん、ここにいるのだ? そっちのが不思議だろ!」
ミュー「エミャルに、無理やり連れて来られたのよ。右大臣さんところの人たちに拉致されて。」
俺「どうせ、帝都にいてもする事無かっただろ? 良いのじゃないか?」
ミュー「そうだけど・・。強引過ぎるでしょ。
そもそも、あの右大臣さんがエミャルの言うなりなのが問題よ。
エミャルがエストリアに勝つためだって言うとなんでもOKして。」
俺「そういうものか?」
ミュー「ルマリオはバカだからダメだって、はっきり言ってたし。」
俺「実の息子のはずだが・・。」
ミュー「おかげでエミャルは本性を出したというか、、。
右大臣さんの兵隊をあごで使う凶暴な悪魔になってるわ。」
エミャル「ミューちゃんは、何を言ってるのかしら?」
いつの間にか入口にエミャルが・・




