大商人 2人目
トサラルに案内されて向かった、もう一つの商会も、やはり沢山のビルに同じ看板が並んでいる。ただ、いくつかの看板は外して付け替えているようだ。改装工事中?
そして、ひときわ大きなビルの最上階の受付で。
トサラル「ここの会長と、今日、会う約束をしています。お取次ぎを。」
受付「申しわけありません。昨日から、会長が変わりました。
お約束は前の会長との物なので無効です。」
トサレル「そ、それはまた突然ですね。」
大統領「そうなのか? 新会長なら、なおさら挨拶した方が良いな。
大統領が来ていると伝えてくれ。挨拶だけで良い。」
受付「申しわけありませんが、今、会長は不在です。副会長ならおりますが・・。」
大統領「止むを得ないか。では、副会長殿に、挨拶させてくれ。」
受付「聞いてまいります。」
どうも、この受付は見た事があるような気がするが・・。
少しして、受付が戻ってきて。
受付「申しわけありませんが、忙しいから無理だそうです。」
大統領「なんと・・。私は大統領だぞ!?」
受付「申しわけありませんが、副会長が無理と言っているので無理です。
ところで、後ろにいるのは、もしかして領主様ですよね?」
俺「あー、そうか! 君はセクタの公社にいた人か!?」
思い出した! リナルにまかせた公社の社員だ!
受付「はい。今日から、こちらで働くようにと・・。
今のここは、セクタの公社と合弁なんです。」
どういう事? さっぱり分からん。
大統領「領主? 君は皇帝では無かったのか?」
俺「以前は、彼のところの領主だったのです。」
大統領「なるほど。そういう事もあるだろう。私も以前は市長をやっていた。」
受付「・・良くわかりませんが。
領主様ならリナル副会長はお会いになるかもしれませんよ。」
そう来たか! 会いたくねぇ。
大統領「知り合い・・なのか?
すごいな。 だったら、ぜひ、私を紹介してくれ!
市民会議の日が近いのだよ!」
いや、逆だろう。ってか、俺は会いたくない!
俺「お忙しいようですし、今日は帰りましょう。」
大統領「しかし、きみ、。せっかく来たのに。」
俺「だめです。ぜひ、帰りましょう。さあ、帰りましょう!」
と、小さい男の子が、通りかかって。
レヒト「あれ? ヒロタンさんじゃないですか?」
俺「あっ。レヒト君? なぜ、ここに?」
レヒト「姉の手伝いですよ。」
受付「レヒト本部長! ちょうど良かった!
リナル副会長にヒロタン領主様が来ていると伝えて頂けますか?」
レヒト「あー。分かった。
だけど、受付君。今のヒロタンさんは皇帝だよ。失礼の無いようにね。」
受付「そうなんですか・・。すごいですね。」
俺「いや、俺は帰るから伝えなくて良いぞ!」
大統領「せっかくですから!」
レヒトが奥の部屋に入って、数秒後。
フチなしの眼鏡にスーツっぽい服を着た、いかにも偉そうなリナルが奥の部屋から出て来て
リナル「邪魔よ! あんたたちは、どきなさい!」
まわりの人間を蹴とばすように下がらせると、。
俺の手を取り奥の部屋に引っ張り込んだ。そして、扉を閉めてカギをかける。
リナル「少し待ってくださいね。」
眼鏡を外して、化粧を変えて・・。なんか、男性的? ボーイッシュ?
リナル「どうかしら?」
俺「なんだそれは?」
リナル「ヒロタンが、どうして私みたいな魅力的な女の子に興味を持ってくれないのかって、不思議に思ってたのよ。
それで、もしかして特別な趣味があったりするのじゃないかと思って。
エストリアさんに聞いてみたの。」
俺「それで?」
リナル「聞いたわよ!女装した男の子をはべらせてるのですって?」
サミアスの事か?
リナル「そういう趣味・・? なの?
それだと、レヒトが良いのかもしれないけど、私でもこの程度はできるのよ?
ねぇ。キスしたくなった?」
俺「違うぞ。ぜんぜん、違うぞ! 腐ったエストリアに騙されてるぞ!」
リナル「・・そうなの?」
俺「ところで、ここで何をやってるのだ?」
リナル「エストリアさんに言われて。左大臣さんところのお金と、公社のお金も出したのよ。
あと、人手不足なので公社の社員を連れてきてるわ。」
俺「エストリアは?」
リナル「商会の仕事を私におしつけて、市民会議の何やらで出かけてるわ。」
俺「たいへんみたいだな。」
リナル「私だってヒロタンさんの良い人になるために頑張ってるのよ。
エミャルには負けないわ。」
俺「既に十分すぎる地位みたいだし、おまえに俺は要らんだろ?」
リナル「それでも言ってる私が一番、純粋、、って事じゃないかしら。」
え~?!
扉がドンドンと叩かれた。リナルは、しかたないという顔で、化粧しなおして眼鏡をかけると、カギを外して。
リナル「どうぞ。」
「副会長! エミャルのやつらが、ラビット商会を買うみたいです!」
リナル「どういう事? あそこは、うちが買うはずじゃ!?」
「やられました。」
リナル「急いで馬車に金貨を積んで。現金で殴り倒してきなさい!
エミャルのやつらは計算と暴力だけで、現金の破壊力を分かって無いから、まだ行けるわ。商人には現金が最強兵器よ!」
俺「じゃあ。忙しいみたいだし、失礼するぞ。」
リナル「あ。帰るなら、お土産!」
少し飾りのついた甘そうな、お菓子の絵が描かれた箱を2つ渡された。
かなり重い。
俺「何これ? お菓子の箱みたいだが、、異様に重いな。」
リナル「山吹色のお菓子よ。ほんの100万ゴールドだけど。
エストリアさんが政界工作用に作ったの。
ヒロタンなら2つ渡しておくわ。また、いつでも来て。」
絵に描いたように悪いヤツらだな。
部屋を出ると、大統領が待っていた。
大統領「おっ。やっと出て来たな。私を紹介して・・。」
俺「忙しいから無理みたいですよ。」
大統領「しかし、それでは!?」
疲れた。いろいろと疲れた。
それにしても、市民会議というのは何なのだろう?




