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勇者キヨハル

 翌日は、意外に平穏だった。エストリアやエミャルは、相変わらず連絡が無い。左大臣や右大臣の商売でずっと何かやってるらしいのだが。

 今後の事もあるし、パーティでの事を皆に話して、相談してみた。


ミルレ「なんで、国防長官のトスレイが私の事を気にするの?」

俺「いや、俺が聞きたい」

ルナリス「普通に考えて、ミルレさんの出生に秘密があるのでしょうね。」

ミルレ「両親、、義理の両親だけど、。聞いても何も教えてくれなかったわ。」

ストリュ「国防総省を急襲して、そのトスレイを尋問すれば全て分かるぞ。

     トラクさんを含めた魔王国の部隊と共同での図上演習では、ほぼ100%の確率で制圧できている。」

俺「それは、止めて!」

サミアス「僕が、そのトスレイさんに近づいて・・」

俺「それも止めて!」


 まったく。下手をすると戦争だよ。


俺「サリスは何か知らないか?」

サリス「何かと言われましても・・。」

俺「ルルムの洗脳の事とか詳しかったじゃないか。」

サリス「それは・・。」

俺「それは?」

サリス「家の秘密です。」

俺「・・。まあ良いけど。」

ミルレ「隠すなんて、ずるいわね。」

俺「例えばミルレが、この国の皇帝の末裔(まつえい)とか?」

サリス「最後の帝政はミルレさんの生まれる前ですし、皇帝の血縁は全員、処刑されています。」

俺「そういえば、サリスはルルムの指輪の事を聞いていたよな?

  それは何かこう、ルルムが実は高貴な家の・・みたいな。」

ルルム「これですか? これは・・」

サリス「呪いの指輪ですよね。」

ルルム「あっ。はい。よくご存じですね。一般にはそう言われているようです。」

俺「何!? それ! 」

ルルム「でも特に悪い効果は無いのですよ。単に外せないだけです。・・生きている限り。

    母が無くなった時に受け継ぎました。

    母の話しでは父が死んだ時に父から受け継いだそうです。私に父の記憶は無いのですけど。」

サリス「ルルムさんが高貴な家の末裔とか言うメルヘンは素敵だと思います。

    でも・・。

    例え悪い効果が無いにしろ、こうした見栄えの指輪を高貴な家の人間が受け継ぐなど、ありえないでしょう。

    ルルムさんの境遇を考えると、むしろ、なんらかの(いまし)めとして受け継いだ可能性の方がありそうです。」

ルルム「そうかもしれせん。それでも、私の過去として受け入れるつもりです。」

ミルレ「何を言ってるの? そんな物なら指ごと切り落としてしまいなさい!」


 また、むちゃを言うなぁ。


ミルレ「私がもっと綺麗な指輪を買ってあげるわ!」


 いや、今のお前はお金持って無いだろう。


ミルレ「そうよ。上に何か宝石の飾りを被せれば良いのじゃなくて?」


 だから、お金が・・


ミルレ「・・でも、そっか。今の私はお金を持って無いのね・・」


 うん。ようやく気が付いたか、このワガママ・ブルジョア娘が!


ミルレ「ヒロタンが宝石を買いなさい! その指輪を全て覆うほどのダイヤよ!」

俺「えっ?」

ルルム「()りませんよ。ほんとに・・。」


 でも、少し嬉しそうかな。


ルナリス「さすがに、そんなお金はありませんね。」


 安い宝石なら大丈夫かな?

 でも、結局、分からない事が多い。やっぱり、知らない国というのはたいへんだわ。


 国務長官のトラサルが言っていた大商人は、なかなか会ってくれないみたいだったが、。勇者のキヨハルには会いに行ける事になった。数日後、国務長官の配下の役人さんに、キヨハルがいるという近くの街まで馬車で案内してもらった。


 キヨハルは小さいが綺麗な家に美人の奥さんと暮らしていて、ある意味では理想的?な生活?

 それなりに、うれやましいかもしれない。


俺「はじめまして。西の島の皇帝のヒロタンです。俺も召喚者・・なんです。」

キヨハル「はじまして! ヒロタンという名前からいって日本人ですね。

     日本人に会うのは、ひさしぶりです!

     でも、皇帝?」

俺「はい。」

キヨハル「なるほど。つまり、あれですね。ミリア姫と結婚した!」


 まあ、そう思うよな。


俺「いいえ。違うのですが・・」

キヨハル「ん? ではどうして?」

俺「まあ、いろいろとあって。キヨハルさんは、なぜ、ここに?」

キヨハル「キヨハルで良いですよ。皇帝なんでしょ?」

俺「じゃあ、俺もヒロタンで。」

キヨハル「・・。そうですね。召喚者同士!」

俺「それで、キヨハルは、なぜ、ここに?」

キヨハル「僕は戦いも、貴族も、王様も好きじゃ無くて。それだけです。」


 そういえば、ミリア姫が、キヨハル様は貴族は面倒だから嫌いだと・・。

 普通の幸せってやつか。


俺「それでも、なかなか良い家だけど、仕事は?生活費とかは?」

キヨハル「ここに来て、しばらく傭兵のような事をやっていて。それで貯めたお金が。」


 奥さんが心配そうに。


奥さん「でも、あなた。今の、ものすごい物価の高騰(こうとう)が続いたら・・。」

キヨハル「大丈夫だよ、ルキリ。ちゃんと考えてある。」


キヨハル「妻のルキリです。

     最近、物価が急激に上がってる事を心配しているみたいです。」


俺「インフレ?」


キヨハル「いやいやインフレなんてもんじゃなくて。この10日間で2倍以上!。

     どうやら、魔法でゴールドを作る錬金術が可能になったらしくて。

     この調子だとゴールドの価値は、いずれゴミですね」


 そんな事があるのか?

 ここの魔法は微妙に科学的だし、元素である金を作り出すなんて困難に思えるが。


キヨハル「ですが、うちは大丈夫です!」


俺「と言うと?」


キヨハル「この経済(エコノミー)瑠璃(デバイス)新聞を見てください。

     物価は倍になっていますが、銅の価格は同じ期間に10倍!

     さらに急激に上昇中の昇竜拳です!」


妻ルキリ「もしかして、さきほど届いた納屋一杯の大きくて重そうな荷物は・・。」

キヨハル「そう。貯めてあったゴールドで銅の塊を買ったのだよ。

     このグラフだと明日には銅は今日の2倍の値段になる! ゴールド以上だ!」


 おい! ビットコインじゃねぇぞ!


キヨハル「しかも、あの銅は新しくできたシバタイル・エミャル商会から相場の二割引きで買ってる。

     今すぐに売っても大儲けだぞ!

     もちろん、簡単には売らないがな。」


 どっかで聞いたような名前だが・。


俺「あのー。キヨハルは日本人だったのだよな?」

キヨハル「そうだけど・・?」

俺「バブルって知ってる?」

キヨハル「う~ん。なんとなく。

     でも、この世界は日本じゃないし、そんな物は無いでしょ。

     だけど錬金術はあるのかもしれない。魔法があるぐらいだからね。

     そこを考えなくちゃ!」


 もしかすると、いや、しなくてもエストリアやエミャルが原因だよな。何をやってるのだ?


妻ルキリ「あなた、大丈夫なの? そんな知らないお店から、、。」

キヨハル「隣のラスパスさんが、昨日、そこから銅を買ってすぐに売ったら、5000ゴールド儲かったと言っていたぞ。

     その後、ラスパスさんは借金して、何倍も買ったみたいだが・・。」


 もしかしてラスパスさん終わってないか?!


俺「借金は止めた方が良いと思うけど・・。」

キヨハル「そうか? 借金も、いずれゴミになるゴールド建てだぞ?

     借りた者勝ちみたいなもんだろ。」


 いろいろやばそう。

 でも、とりあえず、ここへ来た目的の一つを。


俺「帝国の議長の事なんだが・・。」

キヨハル「あー。あいつは、最悪だね。

     魔王国の宰相と組んで、戦争を劇化させていた。」


 つまり、キヨハルがそれを知っていたから、議長はキヨハルの帰国を恐れていたって事?

 割と単純だな。魔王国の宰相と言うのは、時期的に前の宰相か。


俺「何か、証拠でもあるのか?」

キヨハル「ん? 議長からの指令書が残ってると思うが。

     議長の失脚でも狙ってるのか?」

俺「いや、彼は既に失脚した。俺が知りたかっただけだ。

  ありがとう。」


 なんだか、くだらんな。


俺「ところで、もし、お金が無くなったら、また戦うのか?」

キヨハル「それはそうかもしれないが。

     明日には大金持ちだぞ!」


 俺と違って、本当に強い勇者の戦いを見れるかもしれない。


 館に戻ると・・。


ミルレ「ルルムに買ってあげたみたいね。皆に見せていたわ。」

俺「あー。安い宝石だけど、指輪の飾りになるように細工してもらった。」

ミルレ「うん。ありがとう。それだけよ。」

俺「へ?」


 あー。だが、その言葉で初めてミルレが少し可愛く見えた。

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