歓迎パーティ
翌日、この国のニュース記事をチェックしたが、俺たちは普通に何の問題も無く、ここに来た事になっている。昨日の騒ぎは完全にもみ消してるな。ニュース記事では、ロリャリムと呼ばれる魔王原理主義者たちは、共和国軍の攻勢によって、エルカンの街の手前で侵攻を阻止された・・らしい。軍の手柄?
朝食を一緒に食べていると、ミルレがルルムを見て、。
ミルレ「かわいい子が多いわね。その子も・・。」
戦場の汚れを落として服も普通の物になったから、ボロ雑巾では無くなってるけど。ミシャとかに比べると、どうかな?
そういえば、どことなく、ミルレとルルムは似ている気がする。昨日、ミルレに似てる人・・と思ったのはルルムか。自分に似ていると可愛く見える物?
ミルレ「でも、少し顔色が悪いみたい。大丈夫なの?」
俺「そういえば、そうだな。薬は飲んだのか?」
ルルム「はい。昨日、飲んでます。回復薬を頂いて。でも、だんだん効きが悪くなっているので。」
俺「そうなの・・か。あと、どれぐらい、、か聞いても良いか?」
ルルム「以前、見てもらった時は2節と言われました。それから、だいぶたってるので、あと1節ぐらいでしょうか。」
1節は、元の世界の1月ぐらいだよな。この世界に月は無いけど。
ミルレ「何を言ってるの?」
俺「彼女の命は長く無いのです。」
ミルレ「そんな! どうして?」
ルルムが服に手をかけたので止めた。
俺「体に深い傷があって。それは、ルルムが、」
ミルレ「止めて! いやよ! そんな話は聞きたく無いわ!」
いや、おまえが聞いたのだろうが!?
会話になってないぞ。
ルルム「大丈夫ですよ。私は、ま、・・ヒロタン様といられれば、それで。」
ミルレ「何を言ってるの?! そんなわけないでしょ!」
あー。まったく会話にならない。
俺「ルルムが、おかしいのは分かってるけど・・。」
ミシャ「ルルムさんのそれは、洗脳によるものです。
それは分かっているのです。」
ミルレ「洗脳? 何を言ってるの? この子はがまんして、そう言ってるだけだわ。」
ルルム「止めてください! 私はヒロタン様と居られれば・・。」
ミルレ「ヒロタンに何があるって言うの?」
俺「うるさい!みんな止め! この話は終わり!」
いろいろとめんどくさい。特に、このミルレがいるとダメだ。
あと、どうもサリスの視線も気になるが。
昼前に来客があって、
「国務長官のトサラルです。昨日は、出迎えもせずに申し訳ありませんでした。
皆さんが突然、いらした物ですから。」
どういう事? 馬車を寄越したのは誰?
俺「皇帝のヒロタンです。昨日は、いろいろとあったのですが・・。」
トサラル「そうなんですか? ご面倒をおかけしたようでしたら申し訳ありません。」
この人は、昨日の事をまったく知らないわけか。
トサラル「それにしても、この館の警備は戦場のようですな。警戒されているのは分かりますが。」
俺「勝手に申しわけありません。」
トラサル「まあ、かまいませんが・・。これでは、ここでパーティは無理そうですね。
歓迎パーティを予定しているのですが、近くの別の場所にしましょう。
今日の夕方には開催しますので、ぜひ、皆さんでお越しください。
ところで魔王様は?」
俺「少し休んでおりまして。パーティには参加すると思います。」
パーティは近くの宴会場のような所で行われた。それなりに豪華な料理が並んでいる。魔王国以上にメイドさんらしいメイドさんも沢山!
昨日の今日なので、俺たちは十分に警戒しながらの参加。ミシャの周りにはトラクと、もう一人の四天王のライナさんと、他にも兵士が付いている。俺の周りもストリュやクラムとかが。
大統領という人も来ていた。彼も警戒している感じだが・・
俺のところに来て、。
大統領「昨日は失礼した。君が西の島の皇帝かな? 若いな・・。」
俺「皇帝のヒロタンです。昨日は、お互いたいへんだったわけですが。」
大統領「魔王様はどちらに?」
俺「こちらの・・」
ミシャ「魔王のミシャです。」
大統領「あなたが? 魔王様? こ、これは、失礼しました。
あまりにきれいなので皇帝の・。」
ミシャは最初から俺の近くにいたけど、俺の何だと思った?
ミシャが笑って。
ミシャ「そういう風に思って頂いても構いませんよ。」
そういう冗談は止めろ。
ここでは、微妙に俺より魔王様の扱いが上な気もする。ここに来てからずっと。
西の島自体は辺境とか、蛮族の扱いなのだろう。国自体の大きさも違うし。
そこの皇帝である俺の扱いは軽いのかもしれない。まあ、良いけどね。
でも、よく見ると大統領の首に絆創膏が・・。ほんとにやばい状態だったかも。
大統領「い、いや。あれだ!実は港についた傭兵部隊と、君たちを勘違いしてな。
それで戦場に送ってしまった。」
絶対に嘘だね。戦場でも魔王様とか言っていたし。
大統領「不幸な事故だよ。」
サミアスが近づくと大統領の顔が引きつる。気持ちは分かる。
大統領「それで、私の娘は無事かね?」
俺「はい。丁重にお預かりしております。ご安心ください。」
大統領「あー。頼むよ。わがままな子だから、面倒をかけると思うが。」
うん。面倒だわ。
俺「ご心配ですか?」
大統領「そりゃー、そうじゃろう。」
本当に心配している感じだ。
俺「大事にお預かりします。
我々が発つ時に開放させていただきますので、それまで。」
大統領「あー。たのむ。」
大統領が去ったあと、
「国防省長官のトスレイだ。昨日は惜しかったな。」
俺「へ? どういう意味です?」
少し小声で・・
トスレイ「君たちが大統領を殺ってくれても、構わなかった・・と言ってる。」
変な笑いを浮かべてるし、。
俺「そんな事を言って良いのですか?」
トスレイ「かまわんよ。
もちろん、大きな声で言うつもりは無いがね。」
昨日、軍が動かなかった理由が分かった気がする。
だから、サミアスが暗殺直前まで行けたのか・・。
俺「いろいろとご存じのようですが、。その、。戦場に我々を送ったのは、。」
トスレイ「さて。なんの事だろう?」
いやなやつだ。大統領より、いやなやつかも。
トスレイは俺から離れたあと、その大統領と、なにやら話している。また、変な事をたくらんで無いと良いけど・・。
と思ってるとトスレイが、すごい勢いで俺の所に戻ってきて・・
トスレイ「ミルレお嬢さんを人質にしたと言うのは本当かね?」
大統領が言ったのか?秘密じゃないのか?
俺「丁重にお預かりしています。」
トスレイ「分かってやってるのか?」
俺「・・何でしょう?」
トスレイ「ん? ・・・、まあいい。 くれぐれも大事に扱ってくれよ。」
大統領本人は殺しても良いと言っていたヤツが何を言ってるのだ?
ミルレに何があるのだろう?
終わり近くになり、パーティを仕切ってる国務長官のトラサルがやってきて。
トサラル「後日、この国を支えている二人の大商人も、ご紹介しましょう。
この国は世界でもっとも豊かな国ですが、それを担っているのが彼らです。
ある意味、大統領よりも重要な人物ですな。」
そういう国なのか?
俺「ぜひ、お願いします。」
トサラル「ほんとうは、今日、ご紹介しようと思っていたのですが、お二人とも、ここ数日、たいへん、お忙しいようでして。
招待はしたのですが、、いらしてませんね。」
俺「それだけ重要なお仕事をされているのでしたら、止むを得ないでしょう。
こちらから伺うと言う事で構いませんので、ぜひ、ご紹介ください。」
会うと言えば、以前から気になっていた事を。
俺「そういえば、この国に勇者キヨハルという人がいませんか?」
トサラル「・・。確か、以前、軍で活躍されていた方だと思いますが。」
俺「可能であれば、会いたいのですが。」
トサラル「分りました。調べておきます。そういえば、あの方も西の島から来たという話しでしたね。」
あと、一応、最初の目的も聞いておくかな。
俺「もう一つだけ、お尋ねしたい事があるのですが。」
トサラル「なんでしょう?」
俺「この国の伝承で、かつての皇帝が大瑠璃の共振動作で、王妃の病気を治したと言うのがあるとか。」
トサラル「聞いた事があるような気もしますが・・。私は、そうした民間伝承には疎くて。」
まあ、そんなもんか。
パーティの後、余った料理を少し包んでもらってパーティに来なかったサリスやルルム、ミルレたちに持っていった。貧乏くさいけどルルムは、とっても喜んでくれたし、良かったよね。ミルレは、冷たくなっていると文句を言っていたが。
その夜、寝ようとするとドアがノックされて・・。
俺「こんな時間に何?」
ミルレ「ごめんなさい。ちょっと・・。開けてもらえますか?」
ドアを開けると・・。
ミルレ「あの・・。私・・。やっぱり、少しだけ、何かこう、やられたりしません?」
何をしろって言うのだ?
俺「どういう意味です?」
ミルレ「戻った時に、そういう話でもあると家族と上手く行くと思うの。
あなたなら・・。少しであれば・・」
何を言ってるやら。
俺「そんな事が無くても、。
大統領は、普通にあなたを心配してましたよ?」
ミルレ「あれでしょ。対面を気にしてのポーズでしょ。」
俺「そんな感じじゃ無かったですけど。
いずれにしろ、あなたに変な事はできませんよ。」
ミルレ「そうなの?。
分かった。それじゃぁ、もう一人ね。」
俺「え? ちょっと待て! もう一人って!」
俺の部屋のドアを離れたミルレが 隣のミシャの部屋をノックしてる!
ミシャ「誰です! こんな夜に!」
ミルレ「ごめんなさい。ちょっと・・。開けてもらえますか?」
ミシャが顔を出すと、無理やりドアを開けて、ほぼミシャを押し倒しそうな勢いで中に入り、。なんとか俺が追い付いてミルレを止めたが。
俺「むしろ、おまえが襲ってるじゃないか!
止めてくれ!」
ミルレ「同じような物よ。いけない経験をしてしまうの!」
ミシャ「何を言ってるのですか!?ぜんぜん違います!」
ミシャが俺のうしろに隠れるように・・
酷い人質だ! もう帰したい。
ミルレ「ずるいわ!なんでかばうの?」
俺「あたり前だ!?」
こいつの頭は、どうなってるのだ? 自分勝手にもほどがあるだろ!
ミルレ「私なんか、家族も失ってるのに!」
俺「別に失ったわけじゃ・・。」
ミルレ「失ってるのよ!」
俺「自分だけが不幸、、って事?」
ミルレ「そ、そんな事も無いけど・・。」
ミシャがため息をついて、。それから、自分の服を脱ぎ始めた。
ミルレ「な、何? ほんとに、いけない事を・・」
ミシャの体があらわになると、ミルレの言葉が氷つき、、そして、、、目を背けた。
俺はミシャにそっと上着をかぶせる。
ミルレ「酷い・・。どうして、それで生きてるの?」
俺「分かっただろ? ミシャはお人形さんなんかじゃない。」
ミルレ「あなたは? あなたは、それで良いの? その体じゃ・・」
俺「そうだね。俺は、こういうミシャでも、とてもかわいいと思ってるよ。」
ミルレ「そうなんだ・・。でも、それでルルムの事も分かったわ。」
へ? ルルムは関係無いだろう。
ミルレ「蛮族の親玉とか言って悪かったわ。あなたは良い人なんだと思う。」
それは良かった。
ミルレ「決めたわ!
私、、あの家族の所に帰りたく無いの。あなたの国に連れて行ってくれる?」
何を言ってる?! 家に帰れよ!




