共和国首都
首都の城門で止められた。
説明しても入れてくれない。まあ、ボロボロの馬車だし、服には火薬の臭いが染みついていそうだし。完全に難民だよな。
日も暮れてきた。さて、どうしたものか・・。
とりあえず、瑠璃の通信で皆に連絡してみる。首都にいるなら、繋がるだろう。
エストリアは左大臣の商売で飛び回っていそうだし・・。
馬車で首都に向かったメンバーは・・
俺<ストリュ、サミアス、クラム? 誰か聞こえるか?>
サミアス<うわっ。無事だったのですね!>
ストリュ<今どこにいる? 無事か?>
クラム<大丈夫ですか?>
俺<順番にな。
今、首都の南の城門で止められている。無事だぞ。
サミアスは今、どうしてる?>
サミアス<今、大統領という人のクビにナイフを突きつけて、ヒロタンさんの居所を聞いていたのですが、、。>
おい! 何をやっている!
サミアス<分からないとか、ヒロタンさんは死んだかもしれないと言うので、、殺そうかと思っていた所です。>
俺<いや、殺すなよ。俺は無事だからな!>
俺<クラムは何をしてるのだ?>
クラム<近衛部隊で大統領官邸を包囲しています。このあたり一帯は完全に制圧しています。>
う~ん。国際紛争・・。
俺<ストリュは?何をしてる?>
ストリュ<ヒロタンの誘拐に関与していると言うので、国防総省の正門前で突入を準備中だ。セクタの部隊に、魔王国の兵が協力してくれてる。>
俺<止めて! と言うか、それだけの兵力を、軍の施設の正面に展開したらヤバイだろう!>
ストリュ<大丈夫だ。魔王国の部隊が幻影魔法を大規模展開している。気づかれてはいない。>
そのまま奇襲するつもりだったの?
俺<ストリュ! とにかく過激な作戦は中止して、どこか拠点に戻ってくれ!>
ストリュ<ヒロタンが無事なら、その方が良さそうだな。
拠点は最初に案内された迎賓館・・で。
だが、安全な撤退のために人質は必要だぞ。>
俺<分かった。まかせる。
俺たちは、今、南の城門で止められているので、こっちもなんとかしてくれ!>
ミシャ「連絡、取れました?」
俺「なんだか、すごい事になっている。事後処理がたいへんそうだなぁ。
とりあえず、ここに俺たちがいる事は連絡しておいた。」
ほどなくして、サミアスと20人ほどの近衛部隊の兵士、あと、この国の役人らしい人たちがやってきた。
やってきた役人が何か言うと城門の兵士は慌てて通してくれた。
ボロい馬車は城門において、サミアスたちが用意した馬車に乗る。
サミアス「ストリュさんたちが交渉して、大統領側と和解しています。」
俺「大丈夫なのか?」
サミアス「大丈夫ですよ。向こうもヒロタンさんを誘拐した負い目がありますから。
あと、一応、こちらの安全のために人質は取ってます。」
サリス「身分証を確認しないで入れてくれましたね。」
俺「外交特権だろう。役人に仮の身分証みたいのを渡されたぞ。人数分ある。」
サミアス「はい。それを携行するように言われてます。」
城門をくぐると外のスラム街とは全く別の街並みだ。近代的とも言えるビルが立ち並び、通り沿いには綺麗なお店も並んでいる。すっかり日が落ちたが、ショーウィンドは沢山のランプで明るく輝いている。
ルルム「城門の内側に入れるなんて・・!」
サミアス「この子はだれです?」
俺「気にするな。」
ルルム「魔王様のおそばに、」
俺「すまんが、俺の事を魔王様と呼ぶのは止めてくれ。今後は、ヒロタンで。」
ルルム「そうなんですか?
良くわかりませんが、魔王様・・ヒロタン様がそう言うのであれば・・。」
迎賓館・・と言う建物に付いた。中庭は完全に野戦陣地の様相。
ストリュ「おぉ! 来たか!無事でよかった!」
俺「こっちは大丈夫か?」
ストリュ「あー。人質を取って安全に撤退した。問題ない。
一応、大統領側と和解している。
良く分からんが、派手にやったわりに、この国の軍は動いていないし。」
俺「軍は、気付いていないと言う事?」
ストリュ「首相官邸の制圧については、気づいていないはずが無いだろうな。
あれだけ派手にやったのだから。」
どういう事だろう?
国際紛争に発展するのを恐れて静観してるのかな?
俺「人質は?」
ストリュ「迎賓館の2階の部屋に閉じ込めてある。
大統領の令嬢で、自分から志願してきた。」
志願? 良く分からんが、大統領の令嬢なら挨拶でもしとくか。
俺「ミシャ。すまんが、人質になってる令嬢に、一緒に挨拶でも。」
ミシャ「はい。」
部屋の入口に近衛の兵士が二人立っていた。俺が開けるように言うとドアを開けて入れてくれたが。
人質の令嬢は椅子に座り、かなり緊張しているような。
高そうなドレス着ている。人質になるために着替えたの?
俺「はじめまして。西の島の皇帝のヒロタンです。」
「ついに、蛮族の親玉が来たわけね。か、覚悟はできてるわよ。
でも、意外に若いわね。その点は良かったわ。」
俺「こちらが、魔王の・・」
ミシャ「魔王のミシャです。」
「何? お人形さん? かわいいけど、。悪魔の人形と言った所かしら・・。」
妙な形容だな。
俺「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
ミルレ「ミルレ。ミルレ・エルラン。
私をどうするつもり? あ、あれよね! あんな事や、こんな事を・・。」
俺「しませんよ!
ところで、人質に志願されたとか。」
ミルレ「そう。あなた方は、まんまと騙されたのよ。
私に人質としての価値は無いわ。」
俺「と言うと?」
ミルレ「私は養女なの。もしかすると、こういう時のための存在・・だったのでしょ。
だから、私は自分の役割を果たしたわけ。
私が犠牲になる事で妹は助かった。両親の実の娘である妹は・・ね。」
俺「なかなか、立派な態度・・でしょうか。」
ミルレ「立派というか、。仕方なかったのよ。」
何故か立ち上がって。
ミルレ「さぁ! 覚悟はできてるわ! ひとおもいに!
初めてだから分からないけど、。どうすれば良いの?
まず服を脱げば良いのかしら?」
俺「脱がなくて良いです! 変な事をするつもりは無いので座ってください!」
ミルレ「あなたじゃないなら・・。もしかして、。
その人形みたいな子が、、。私に、あんな事や、こんな事をするとでも言うの?!
そ、それはそれで・・」
赤くなってる。どういう想像だ?
ミシャ「しません!」
ミルレ「そうなの? うちの妹よりかわいいから、あなたなら・・。」
ミシャ「あ、ありがとうございます。でも、何もしませんよ。」
いつも強気な感じのミシャが少し引いてる・・
ミルレの目つきが気になるようだ。
俺「誤解があるようですが、我々はあなたを丁重に扱うつもりです。」
ミルレ「こんな部屋に監禁しておいて、何を言ってるのかしら。」
俺「そうでしたね。屋敷から出ないと約束して頂けるなら見張りは止めますが。」
ミルレ「いいの?」
俺「構わないでしょう。外は兵士で一杯ですので。」
ミルレ「分かった。出ないと約束するわ。」
俺「ところで養女と言われましたが、出生と言うか、本当のご両親は?」
ミルレ「知らないわ。教えてもらえてないのよ。
そもそも実の娘で無いと知ったのが、つい最近なの。
まだ、そのショックがきつい感じよ。」
どこかで似た人を見た気もするが・・
俺「それで、人質に志願?
自棄にならずに、ご自分を大切にした方が良いですよ。」
ミルレ「人さらいの親玉の、あんたに言われたくないわね。」
まあ、そうだろうな。
俺「申しわけない。我々も、自分の身を守るために必死なのです。
変な事をするつもりは無いので、できるだけ友好的にお願いします。
何か希望があれば、遠慮なく言ってください。」
ミルレ「じゃぁ、ひとつだけ良いかしら?」
俺「なんでしょう?」
ミルレ「その子を、置いて言ってくれる?」
俺「はあ?」
ミシャ「イヤです!」
ミルレ「希望があれば言えって言ったから。」
俺「ミシャはダメです!」
ミルレ「けちね。」
なんだか酷い人質だ!
まあ、いろいろあって疲れたが、なんとか無事に普通にベッドで休めた。
しかし、明日から、どうなる事やら・・。




