使節団の作り方
議会が終わった後、エミャルとエストリアと俺で話していたのだが・・。
俺「じゃあ。そのエストリア様に一つ相談があるのだが・・。
東の大陸のスピルカン共和国を占領するには、どうしたら良いだろう?」
エストリア「・・・・
そうね。今日は良い天気だわ。」
俺「あの~。本気なんだけど・・・・。」
エストリア「だったら、答えは一つ。
絶対に無理!あんたは知らないかもしれないけど、共和国は帝国の4倍、この大陸を全部合わせたよりも2倍は大きな国よ。
だいたい、なんで、そんな事をしないといけないの?」
俺「ミシャを救うため。」
エストリア「・・・。」
エストリア「2つ、聞きたい事があるわ。」
俺「なんだ?」
エストリア「なぜ、私が協力しないといけないの?」
俺「エストリアはやさしいから。」
頭を抱えている。
エストリア「もうひとつ! いつから、ミシャ様じゃなくて、ミシャになったの?」
俺「ミシャは魔王である前に、妹だと、、そう思ったから。」
エストリア「・・・。むちゃくちゃだわ。」
エストリア「もしかして、あんたは最悪の独裁者になりそうね。」
俺「あー。なんでも良いぞ。」
エストリア「まあ、いいわ。・・・。どうせ東の大陸で・・。
ただし、分かってると思うけど武力制圧は無理だし、、。
たとえ可能でも、止めて欲しいわね。」
俺「あー。もちろんだ。」
エストリア「リナルを、セクタから呼んでくれる。
彼女が来たら、あなたの権限で御前会議を開くのよ。」
俺「あー。わかった。 」
2日後、東の大陸への使節についての御前会議。
エストリアが右大臣と左大臣に、、、まあ、なんていうか儲かる話しというのを提案して良く分からない相談。なぜか、エミャルも呼ばれていた。右大臣が呼んだらしい。意外に気に入られてる?そういえば、エミャルって、学校の成績は良かったと言っていたが・・が、優秀なのかな?
大臣たちも各々に船を出すという事で、船団が大きくなった。その後も、いろいろと相談していたようだが、そっちは、エストリアにまかせて、、。
ミシャに会うために魔王国へ行かないと!
そう、エストリアに言うと・・。
エストリア「あんた、自分の地位を分かって言ってる?
この前まで戦争していた敵国に国家元首が行くのよ?」
俺「そんな事は知らん! ミシャに会いに行く!」
エストリア「相変わらずね。
魔王国への連絡と、近衛師団の準備があるから、2日ほど待って。」
そして、2日後。
馬車の車列が50台はある。戦時下でも無いのに、どうしてそんなに同行する兵士が必要なんだ?お金がもったいないよな。
一応、ルナリスが師団長という事で、それらしい服を着て、先頭に立っている。立っているだけみたいだが・・。クラムと、、サミアスも近衛に入れたの? サミアスの服が女性兵の物に見えるが・・。
エストリアも誘ったのだが、無理と言われた。
魔王国に着いたら着いたで、城門に儀仗兵が並んで出迎えられた。セクタより立派ないでたちの儀仗兵の間を、同行した近衛師団が、えらく飾りのついた武装で行進して、最後に俺たちの馬車が進む。王都の沿道にも護衛の兵が立ち並んで、一般の馬車を締め出していた。
毎度の迎賓館風の建物・・・と思ったら、別のもっと豪華な建物に案内された。こんなのがあったのか? それ自体がお城みたいな建物で、一緒にいった兵士も駐留できるスペースがある。入城時も儀仗兵が並んでいた。
とんでも無く豪華な宴会場には、今まで会った事の無い人たちが一杯。
宰相「この国の10人委員会の皆さんです。各々が神殿や職業ギルドの代表です。」
だれがだれやら。
宰相「トラク以外の4大将軍の皆さんは、初めてですよね。こちらに、。」
俺「ライナさんは、以前、お会いしていますが、他の皆さんは、初めてです。」
俺の側にエミャルと、近衛師団の服を着たルナリス、クラムとサミアスがいる。護衛としてはクラム一人でも十分だろうけど。
肝心のミシャは、・・・、遠くに座っていて近寄れない。純白のまばゆいドレスでいつにもまして綺麗なミシャだが・・。
会場で皆に向かって、挨拶して欲しいと言われたので、。
俺「こうして、私がここに来れた事について、皆さんと、この大陸の平和に感謝させて頂きます。」
これは儀礼の言葉。
俺「また、ミシャ魔王陛下に、心よりの敬意と信奉を表します。」
深く頭を垂れて、、。これは儀礼では無い。
俺「この機会にひとつ皆さんにお話ししたい事があります。
かの東の大陸では、誠に残念な事に魔王の血筋が絶えて久しいと聞いております。教団もわずかに残るのみで、それゆえの心の退廃が進んでいるようです。」
宰相さんが俺を引っ張ってるが・・。気にせずに続ける。
俺「今、この大陸は平和となり、われわれ帝国も貴国の信条を害する事はありません。むしろ、私などは、魔王陛下を信奉する事において、皆さんに劣らないと自負している次第です。そして、それを広める事に協力したいと考えております。」
微妙にざわついている。明らかに帝国の皇帝の言う言葉じゃないよな。
俺「実は、我々帝国は大陸への使節の派遣を考えております。この使節に、魔王国の皆さんが加わっていただけるのであれば、一人の魔王陛下の信奉者として、この上ない喜びであると考えている次第です。」
宰相「また、むちゃくちゃ言われますなぁ。何を考えています?」
俺「のちほど。」
エミャルもミシャと話したいようだが、なかなか行きつけない。
突然、見たような顔の人が、、
「今日は、あの眼鏡の娘はいないのか?」
俺「え~と・・。」
神官長「この野郎! わしを忘れたのか? おまえの魔王洗礼・・」
俺「ああ。神官長さんですね。覚えてますよ!」
この人は、どういう立場なんだろう?
神官長「あの娘を、また連れて来てくれんか。新しい大瑠璃の構成を一緒にやろうとしていた時に帰ってしまいおった。」
ロコナは、このじいさんと何をやっていたのだ?
俺「そういえば、東の大陸への使節には、その眼鏡のロコナも入れる予定です。あちらには、おもしろい大瑠璃の利用法があるらしいですよ。」
適当な誘いである。いろいろとウソっぽい。
神官長「なんだと!? ふ~む。」
どうかな?
宰相さんに近寄って・・
俺「ミシャ・・様とお話ししたいのですが、、遠くて・・。」
宰相「すみません。ここで、ヒロタン陛下とミシャ様があまり親しくしていると、いろいろとまずいので。
後で、お部屋に伺いますので、ご容赦ください。」
どういう政治判断だろう。
トラクが近寄って来て
トラク「ミシャ様に近づけなくて、イラだっているようですね。」
俺「トラクさんには、御見通しですか。」
トラク「後で、私がお部屋までお連れします。」
俺「はい。ありがとうございます。」
部屋・・というのも、とんでも無く豪華だった。豪華すぎて、落ち着かない。
なんとなく、そわそわしながら待っていると、ドアがノックされ。
トラク「魔王陛下をお連れしました。」
俺「はい。どうぞ。」
トラクが扉を開けると、ミシャが先ほどのパーティと同じ光をまとっているようなドレスを着て、気品に満ちた足取りのまま、ゆっくりと入ってきた。
こちらをチラっと見て、いたずらっぽく笑う。ここで、ミシャ様とか言ってはいけないわけだ。どういう挑発だろう。
俺「久しぶり! かわいいミシャ!」
トラクが俺の言葉に少し驚いていたが、ミシャはかまわずに走り出して俺に飛びついてきた。
正直、俺も驚いたが、トラクは完全に凍っている。
ミシャ「会いたかった! 来ると言っていたのに、なかなか、いらっしゃらなくて。」
トラク「あ、あの? どういう?」
俺「すみません。いろいろあって、。」
エミャル「ミシャは甘えんぼよね。」
トラク「え?誰が?」
ミシャ「良いでしょ? エミャルお姉様も好きよ。」
エミャルにも抱き着いている。完全に遠慮が無くなってるな。
トラク「驚きました。ミシャ様が・・そんな面をお持ちとは・・。」
俺「すみません。宰相さんも呼んで頂けないでしょうか?
ご相談したい事があります。」
宰相さんがやってきて。
俺「ミシャを治す方法を探したいと思っています。
そのために東の大陸に進出します。できれば、ご協力を。」
宰相「それが、さっきの挨拶ですか。」
俺「伝承なのですが。
東の大陸のスピルカン共和国において、国中の大瑠璃を束ねる事ができれば、或は。」
宰相「また、むちゃを言いますね。
あなたは、ミシャ様のために世界大戦でもやる、おつもりですか?」
最近の俺は、皆にどう思われてるのだ?
ミシャ「世界大戦・・?」
宰相「何万人もの人が死にますよ。」
ミシャ「イヤです!」
俺「ご安心ください。ミシャが望まない事はいたしません。」
もし、望むなら・・。
宰相「使節の派遣ぐらいなら、なんとかしますが・・。
むちゃはしないでください。」
俺「それで、。ミシャも、一緒に東の大陸へ。」
宰相「ダメです!」
ミシャ「・・・。行かせて頂けないでしょうか?」
俺「一節で帰りますので。」
宰相「だいたい、あなただって、無理でしょう? 帝国の皇帝という立場ですよ?」
俺「なにが大事かというだけです。
皇帝とか、そういう立場はすべて捨てても構いません。」
俺「宰相さんだって、魔王神殿が最後という時にミシャを逃がそうとなさっていた。
それは、何が大事か分かっていたからではありませんか?」
宰相「あれは、一時の気の迷い・。」
俺「ではありませんよね。」
宰相「・・・。
分かりました。拒否したら、ミシャ様を誘拐されかねないですからね。」
俺「ご理解いただいているようで、恐縮です。」
宰相「えっ? まさか本気で?」
宰相さんもちょっと、あきれている。
宰相「でも、それなりの体制は整えますのでお待ちください。
それと必ず1節以内に帰国してください。お願いします。」
俺「わかりました。ありがとうございます。」
船が足りないなぁ。




