リナルの魅力
翌日、たまたまエストリアたちと港の視察だったので、リナルも引っ張ってきた。
エストリア「何!?その子が気に入ったから港まで連れてくの?」
俺「逆だ! 気に入らなかったから、別の仕事をさせて欲しい。」
営業モードのリナル「も、申し訳ありません。エストリア様。
私のどこがいけなかったのかヒロタン様に嫌われてしまいました。」
エストリア「こんなに良い子なのにね。」
完全に騙されとる!
エミャル「リナル、どうしたの? おとなしいけど何かの病気?」
リナル「ち、違いましてよ。エミャルは最近の私を知らないだけですわ。」
俺「なんでエミャルもいるんだ?」
エストリア「エミャルが旧王国の皇族って分かってから、いろいろあってね。」
ワナシア行政官「そういう扱いは問題だと思いますけど。」
アイナ女史「何を言ってるのですか? 領民を納得させるためにエミュル様は必要な存在です!」
リナル「エミャルが皇族!?やっぱり、それで!?。」
エストリア「ん? リナル? エミャルとリナルって、どういう関係?」
リナル「も、申しわけありません。エミャル様が幼い頃に同じ学校におりました。」
エストリア「まあいいわ。時間が無いから、とにかく皆で港の視察に行くわよ!」
皆で馬車の載って、港にでかけた。
港には徴税と、港の管理を行う役所がある。そこの会議室に集まった。
ここから港が一望できる。
アイナ女史「この人が、港を取り仕切ってる港長のヤラムさんです。」
ヤラム「既に、こちらの埠頭は復旧しており、すぐにでも利用できます。
クレーンも、ご覧ように。ここに外洋から来る大型船が1隻、停泊できましょう。」
驚いたな。キリンのようなクレーンがある。木と鉄で出来ているようだ。
エストリア「東の大陸への連絡は?」
港長ヤラム「東の大陸にある3つの港に連絡済みで、随時増やす予定です。
風向きによりますが、早ければ4日後に最初の大型船が入港予定です。」
エストリア「埠頭がひとつでは不足ね。」
港長ヤラム「10日ほどうちに、あと一つ、1節のうちに4つの埠頭が稼働します。
最終的には港全体で、同時に大型船10隻の接岸が可能になります。」
なかなか、順調みたいだ。
エストリア「それで、公社を作る計画なんだけど、」
アイナ女子「先日から申し上げている通り、そういう事をお城が行うのは止めていただきたいのですが。」
エストリア「まだ言ってるのね。」
アイナ女子「商人とお城の人間では、身分が違います。お城の人間が商売にかかわってはいけません。」
士農工商の江戸時代かよ!
エストリアが小声でエミャルに「エミャル、お願い。」
エミャル「あの~。アイナさん、エストリアさんの言う通りに・・。」
アイナ女子「・・・。エミャル様がそういうのでしたら、、。仕方ないですね。」
どういう事?
エストリアが小声で俺に「エミャルの言う事なら聞くのよ。」
めんどくさいなぁ。でもエミャルの仕事って、そういうの?
俺「商売はお城と別みたいな身分制度って、ここの旧王国だけか?帝国では、どうなの?」
ワナシア行政官「帝国では以前から鉄を専売にしています。別に、構わないと思いますよ」
エストリア「その鉄の専売で稼いだのが、あのジジイよ。」
俺「だれ?」
ワナシア行政官「おそらく、左大臣閣下の事でしょう。帝国随一のゴールド持ちですけど、。
エストリア様が、それを言うのは・・」
エストリア「止めて!」
それで、左大臣はお金を貸してくれたわけか。悪徳高利貸しだけど・・。
アイナ女子「大臣が商売ですか? ひどい国ですね。」
エストリア「今はお金が必要でしょ? アイナさんだって、お金が無いって言ってたじゃない。」
アイナ女子「お金は徴税で集める物です。」
エストリア「それだけじゃ足りないのよ。」
エストリアは金にうるさい気がする。
エストリア「それで、専売にするとしたら何を扱うのが良いと思う?」
リナル「専売って儲かる物・・が良いですよね?」
エストリア「それは、まあ。あと、必需品だと良いかな。絶対に必要なもの。」
リナル「でしたら、塩ですね。戦災で焼ける前のうちの実家は塩十屋という、塩の中継ぎのお店だったんですよ。
大陸中から注文を受けてました。」
俺「塩は専売らしくて良いね!」
まさに専売公社だ!
リナル「この大陸では、海の水から塩を作りますが、東の大陸には塩の岩があって掘るだけで塩が取れちゃうのです。」
エストリア「詳しいわね。」
リナル「今のこの大陸の塩の価格は、東の大陸での価格の10倍以上です。」
エストリア「以前の家の取引先って、覚えてる?」
リナル「大きいところなら。帝国と、魔王国に1つづつ。あと東の大陸の輸出元がひとつ。」
エストリア「ところで、あんた、雰囲気がいつもと違うような・・。」
エミャル「以前のリナルじゃない?」
リナル「ち、違いましてよ!」
リナルがしまったという表情・・。そして戻した! 一瞬で変わるのがすごい。
港長ヤラム「そうですね。
この港の主な輸出品は、金と銅、あとは採食した陶磁器などです。輸入品は塩、鉄、銀など。
お城で専売を行うなら塩でよろしいかと。
それ以上やると、商人たちが怒りましょう。」
エストリア「では。専売品は、それで行きましょう。
取引業務は・・。」
港長ヤラム「エストリアさんに言われて、港の閉鎖で破綻した、ある貿易商の事務所を、従業員ごと買い取ってあります。」
アイナ女子「なんてことするの!私たちは関わりませんからね!」
エストリア「・・そうですか・・。
リナルって、いくつでしたっけ?」
リナル「9歳と12節です。」
元の世界だと19歳かな。
エストリア「まあ、いいわ。あんた、そこへ行って、お城から派遣された公社の社長だと言いなさい。」
リナル「えっ?私が?無理!」
エストリア「社長なら給料をはずむわよ。1節500ゴールド以上。
うまくいったら1000ゴールド。」
リナル「や、やる! ・・。やらせていただきます。」
港長「大丈夫ですか?」
エストリア「なんとかなるでしょ」
俺「いや、さすがに、それじゃ無理だろ。」
エストリアって、時々、無謀な丸投げするよね。
俺「リナル!俺も一緒に行くぞ。」
エストリア「じゃぁ、お願いね。私たちは、忙しいから帰るわよ。」
エミャル「私も、ヒロタンさんと行って良いですか?」
エストリア「いいけど、何しに?」
エミャル「最近、会えなかったから・・。」
エストリアが俺の耳元で「キスは禁止よ。」
いやいや、お仕事だからね。
そして、その貿易商へ行く途中で・・
俺「リナルって、営業?で、できる女っぽい感じとかも作れる?インテリ風な。」
リナル「そうね。ちょっと待って・・。」
その眼鏡とハイヒールは何処から出した? 化粧道具もいつも持ち歩いてるのだな。
リナル「こんなので、どう?」
俺「おぉ。すごいな。」
エミャル「うわっ。どういう事? また雰囲気が変わったわ。」
うん、。なかなか、それっぽい。知的で「切れる」って感じだ。
リナル「エミャルは知らないだろうけど、最近は、変身魔法少女と呼ばれていたのよ。」
どういう意味?
俺「魔法使い職・・なのか?」
リナル「知らないの? そういうお話があるでしょ? 大人気キャラよ。
一応、私も洗礼は魔法使い職だけど、そういう勉強をしてないから、あまり・・。」
俺「そうなのか? まあ、いいけど。
じゃぁ、リナルは帝国で商売の教育を受けた超エリートって事で行くからな。」
リナル「了解よ!」
その軽さは、嫌いじゃない。
買い取ったという貿易商は、港のメインストリートに面した4階建ての建物だった。ただ、港からは少し離れている。港に近いあたりは、大手の貿易商の看板が並んでいて、港が閉鎖されているにも関わらず、それなりに営業しているようだった。
買い取った貿易商の一番上の階にある社長室っぽい所に、幹部社員というのを集めたが・・。やる気なさそう。それでも、お城の立像の効果で、俺の事は知っているらしい。集まった人の中に「わざわざ、領主様が?」とか言ってるヤツがいる。エミャルを知ってる人はいないみたいだが・・。
俺「領主のヒロタンである!この事業は、今後のセクタの繁栄に、とても重要なのである!
そこで、この事務所に対して2つの政策を俺の権限で施行する。
ひとつは、聞いてると思うが、ここは公社になる。公社とは、城や軍に連なる命令体系を持つ組織だ。命令違反は軍法会議の上で、最悪、銃殺・・・死刑である!逆に昇進した場合は、お城での上位の職も可能である。」
微妙にざわついている。後で、軍の規則の表題を変えて公社の規則にしよう。
そうでもしないと、やる気なさそうだし。
俺「もう一つは、事業を成功させるために、帝国の学校に留学し優秀な成績で卒業した彼女を招いた。そして、彼女は塩の販路についても既に調査済みだ。
彼女の指示は、軍における司令官の指示と同様である。」
リナルの眼鏡がキラっと光って。
「私の指示通りにやって頂ければ必ず成功いたします。」
俺「不満のある者は明日までに辞表を出してくれ。その場合、3節分の給与を与える。
辞めなかった物は、今後、リナルの命令に従うように。
俺からは以上だ。」
やる気の無いヤツは、さっさとリストラだ。
リナルは、みんなに向かい
リナル「現在の、ここの組織と会計状況を明日の朝までに私に提出してください。」
うまく対応している。恐ろしい適応力だ。
一通りの打ち合わせの後、幹部社員は、ここでの話しを他の社員に通達するために、急いで出て行った。
俺「これで、大丈夫かな?」
リナル「帝国の学校って言うのはバレますよ。書類も無いし。」
俺「適当な書類は後で作ってもらう。」
リナル「はぁ?」
俺「命令違反・・というか、反抗的なヤツがいたら俺に連絡してくれ。」
リナル「ありがとう。」
死刑はありえないけどね。
俺「他に何か、要るか?」
リナル「・・・。弟を呼んでも良いかな?」
俺「かまわんぞ。身内がいた方が良いよな。」
リナル「それと、もうひとつ、、」
俺「なんだ?」
リナル「後でお城のヒロタンの部屋に報告に行っても良い?」
俺「報告なら、かまわんぞ。」
リナル「それで報告の後で、キス、、。」
エミャル「何を言ってるの?!」
俺「報告だけな!」
エミャル「なんだかずるいわ。」
リナル「皇族って言う方がずるいのよ! 何がエミャル様よ! ぶさいくのくせに!」
エミャル「うっ。
リナルがいじめる!」
エミャルが抱き着いて来た。
俺「すまんが、今は、いろいろ禁止されとる。」
リナル&エミャル「誰に?」
俺「エ、エストリアに・・。」
リナル「あれね。あの・・。」
エミャル「そうね。あれだわ。」
二人とも妙に納得してる。まあ、これで、なんとかなるだろ。
とりあえず、この件は、一段落である! たぶん・・。
そして、唐突だが何かと忙しかったから、保養で温泉に行くべきである!
異論は認めない。せっかく、異世界で偉くなったのだから、こういうイベントは必須だよね。話数的には、むしろ遅すぎる! てこ入れ会という事だ!
何処にあるかというと・・。帝都から2時間の、そう! 皇帝のいた温泉保養地! あの時は、いろいろたいへんで温泉には入れなかったけど。
その夜、仲間内の通信で相談である。帝都の館とセクタの城で・・。
エストリア「つながったかしら?」
ルナリス「はい!」
ミュー「私も、いるのだからね。」
俺「それでは、最重要案件! 温泉旅行の計画である!」
エストリア「なんで、最重要なの?」
俺「うるさい! 俺の故郷では最重要とされている!」
エストリア「どういう故郷よ!?」
おまえは、日本文化とサービス回という物を理解すべきだ!
俺「帝都の屋敷の手形って、まだ、かなり残ってる?」
ルナリス「言われた復興のための物資を購入して、セクタに送ってますから、、。
だいぶ減ってますね。」
俺「じゃあ、少しなら留守にしても良いよね。」
ルナリス「あの倉庫ですし。大丈夫でしょう。
だいたい、私の署名が無いと有効になりませんし。」
俺「では、クラムとルナリスとミューちゃんは参加で良いかな?
ルナリスには別の用事もあるから、是非、来てほしい。」
クラム「行く!」
ミュー「よくわからないけど、行くわ。」
ルナリス「わかりました。」
俺「執事さんは?」
ルナリス「後で、聞いてみますが、たぶん、そういうのはダメだと思います。」
俺「セクタ側は・・。」
エストリア「わたしは仕事あるから無理よ。」
おい! 温泉回のサービス要員がそれで、どうする! まあ、映像があるわけじゃないから良いけど。
これで映像のある媒体だったら、絶対にクレームが来るぞ!
ストリュ「俺も新設の部隊の軍事訓練があるから。」
うん。いいや。要らん。
俺「エミャルと、サミアスと、、
ロコナは、どうする?」
ロコナ「研究室を作ってる所だから無理ね。」
頼むから、留守中にお城を燃やすとかは止めてくれよ!
俺「まあ、セクタ側からだと行くだけで1泊2日だからな。
しかもお忍びなので、帝都には寄らずに直接、保養地行きだ。」
サミアス「もしかして、御者はヒロタンさん・・ですか?」
俺「もちろんだ!」
サミアス「ゆっくり、、ゆっくり行ってくださいね。」
エミャル「危ないの?」
サミアス「危ないって言うか、下手って言うか・・。」
俺「・・大丈夫だぞ。、、たぶん。
エミャルと、サミアスは参加な。」
俺「じゃあ、ルナリスの方で予約をお願い!」
ルナリス「それなんですが、空いてるのは皇室ご用達の施設だけみたいなんです。
大丈夫でしょうか?」
俺「高そうだけど、。一応、今の俺は領主様だから、大丈夫だ!」
ルナリス「いや、でも、。」
俺「大丈夫だ! 料理も一番、豪華なのを注文しておけ!」
数日後の予定で予約をお願いした。すげー楽しみである!!




