召喚されたけど、ひどすぎ!
気が付くと巨大な宝石が放つ眩しい光の中だった。
周りに数人の黒い修道服か神父服のような物をまとった物たち。そのうち一人は何かの機械を操作している。そして一段高くなった所に、一人だけ大きな椅子に座った若い女性。彼女だけは、派手なローブを纏っている。明らかに偉そう。
「おぉ! やりましたぞ! まさしく勇者召喚! われわれでも出来ましたぞ!」
黒い服の男の一人が叫んでいる。
なるほど!俺は異世界に召喚されたわけだ。なろうの愛読者である俺には、もはや日常である!
・・自分が体験するのは初めてなんだが・・
「ご覧ください! ミリア様!」
どうやら、椅子に座ったエラそうな女性に言っているようだ。
そのミリアと呼ばれた女性は、俺を見て思わず両手で顔を覆った。覆ったけど、指の隙間から、しっかりと俺を凝視している。
機械の操作をしていた修道服の女性が、慌ててマントを持って俺に駆け寄ってくる。
「こ、これを早く!」
何故かというと、
俺が素っ裸だからだ!
異世界召喚って、そういう物だっけ?何故か服のまま召喚されて「見慣れない服」とか言われるのじゃ。
ミリア「そ、そうね。若い男だし、。なかなか立派だわ。
でも顔はキヨハル様に劣るかしら。」
ミリアは、少しきつい感じもするがなかなかの美人さんだ。縦ロールがお嬢様らしさを強調しているぞ。マントを持って駆け寄ってきたのは、少し小柄な眼鏡の女性。顔を赤らめているのは、俺が裸だったから、だろうか。
叫んでいた男が俺に向かって「ようこそ、第二の勇者様!」
「あなた様は、今、わが帝国に召喚されたのです。」
うん。そうだと思った。
ギスコナン「私は、帝国魔法研究所の所長ギスコナン・シシャム。」
俺「あ! うん。 よろしく!」
ギスコナン「それでは、勇者様。あなた様の能力を確認させて頂きます。」
そして、横にいる、先ほどマントを持ってきた眼鏡っ娘に向かって「ロコナ、お願いします。」
なるほど。もちろん、それで俺のチート能力が確認されるわけだ! そして、俺TUEEEになる!
当然だな。
眼鏡っ娘が、水晶球のような物を俺に押しつける。彼女がロコナらしい。水晶球を覗き込んでいるが、、何が見えてるのだ?
ロコナ「洗礼名はヒロタンですね」
どうでも良いゲームで俺が使う名前だ。そういえば、わけの分からんゲームのβ版をやり始めて、、。
あれ?どうなったっけ?
その後の記憶が曖昧だ。
取り合えず、この世界は、あのゲームのなんとか、な、、ものなんだろう。良く分からんが、異世界転移のセオリーだ!
もう、何もかも分かった気がするぞ。
俺「あ~。俺の名前はそれで良いと思うぞ。」
ロコナ「レベルは7、、、。職業は剣士・・と、あと??」
ギスコナン「ん? レベル7? そんなはずは・・」
あのゲームなら始めたばかりだし、レベルは、まだ低いだろうな。
ギスコナン「ロコナ!貸しなさい!」
所長が自分で水晶球を俺に押し当てる。
ギスコナン「う~ん。」
ミリア「どういう事?」
ギスコナン「このレベルでは普通の人間と同じ程度……」
ゲームを始めたばかりだったから、レベルは低くて当然だろ?
ミリア「この勇者は使えないって事?」
ギスコナン「残念ながら勇者キヨハル殿のようには……。」
ミリア「なにを言ってるの!」
ミリア姫の顔が怒りにゆがんだ。一瞬で沸騰するタイプらしい。
ミリア「お前たちが、キヨハル様のような強い勇者を召喚できると言うから、無理を言って神殿の大瑠璃を借りて来たのよ!」
ギスコナン「申しわけありません。問題を確認して、再度、」
ミリア「はぁ? 私に、これ以上、恥をかかせないで!」
ギスコナン「ですから、失敗もありえると、予めご説明を・」
ミリア「黙りなさい! このハゲ!」
ギスコナン「なんですと!」
ミリア「いいから、すぐに大瑠璃を神殿に返して! 神殿で洗礼に使う物なのよ。」
良く分からんがレベルなら、これから上げていけば良いのでは?
俺「待ってくれ。レベルなら、まだゲームを始めたばかりなので……」
ミリア姫が、汚い物を見るような視線で俺を見て。
ミリア「何、分けの分からない事を言ってるの!?」
俺「いや、だから、これから……」
ミリア「あんたみたいなゴミがキヨハル様と同じ勇者だなんて、冗談じゃないわ。
目障りよ!消えなさい!」
俺「なん?!?!」
ミリア姫はさっさと立ち去ってしまった。俺の召喚に使ったらしい大きな宝石も、早々に運び出されようとしている。
後に残されたのはギスコナン所長と、俺と、ロコナと呼ばれた女性だけ。
俺「いきなり、むちゃくちゃ言われたが。どうなってんだ?」
ギスコナン「・・くそっ!くそっ!あのバカ姫が!皇帝代理のくせに!
陛下がご病気で無ければ・・。」
ロコナ「たいへんな事になりましたね。」
眼鏡っ子のロコナがにっこり笑って。
ロコナ「そんな、お二人のために、試したい事があるのですが・・。」
ギスコナン「何だね? おまえの研究には、いつも感心しておるが、。いったい何を?」
ロコナ「この勇者さんを、ですね。今すぐ、勇者らしいレベルにするのです!」
ギスコナン「なんと!」
俺「おぉ!強くなれるのか?」
ロコナ「いや、それは無理なので、高いレベルに見せかけるだけですけど。」
俺「えっ。」
ロコナ「私の研究では水晶球は魔法回路の表層だけを表示しているのです。
ですので、偽装が可能なんですよ。
それを是非、試してみたいのです!勇者様なら、レベルが高くても、ある意味、当然ですし。」
ギスコナン「確かに、それは、すごいな。……。」
と少し考えていたが、。
ギスコナン「でも、そんな偽装は、簡単に、ばれるのではないか?」
ロコナ「戦ったら、一発で、ばれますね。」
戦ったらって、それは、ばれると言うより、。
俺「えっ!?それ、だめなヤツだろ! 弱いのに強いのと戦わされたら、どうなるんだよ!」
だが、ギスコナンが何か考えてるようだ。そして「少し待ってくれ!」
そして、ギスコナンは、どこかに消えて……、……、少しして戻ってきた。
ギスコナン「左大臣閣下に連絡したのだが、提案があるそうだ。」
ロコナ「え~!あの人、噂では悪い人って言われてますよ?
魔王国に通じているって言ってる人も。」
ギスコナン「めったな事を言うな。、、。まあ、なんだ。
こういう話しでは頼りになる。」
もしかして悪い相談では頼りになる、、、って意味?
この所長も悪人じゃないか?
ロコナ「そうなんですか?
私は、偽装の実験ができれば良いですけど・・。」
おまえも、ちょっと悪そうだぞ!
ギスコナン「偽装はすぐにやってくれ!」
ロコナ「やったぁ!良いのですね!!!」
俺「ちょっと待て。俺はまだ……」
ギスコナン「君はあれだ。ミリア姫に復讐したいのだろ?」
俺「まあ、そう、、」
ギスコナン「復讐したいはずだ! タイトルもそんな感じだ!」
俺「何を言ってるか分からんが、、。そう言われると、そうかもしれない。」
ギスコナン「ゴミとかクズとかハゲとか言われて、黙っていて良いのかね?」
俺「確かに、そうだな。、、でも、ハゲはおれじゃないぞ。」
ギスコナン「だったら、おまえは改造を受けるのだ! それがおまえの使命だ!」
ちょっと待て『改造』だったのか? 大丈夫なのか?
ロコナに案内されて、ロコナ専用の研究室と言う部屋に入った。白い台があって、俺は、その上にベルトで縛られる。なぜ、縛る?
両手に工具っぽい物を持ったロコナの眼鏡が怪しく光って。
ロコナ「大丈夫よ。痛くしないから。」
俺「えっ。 ちょ、。やっぱり、止め!」
だが、既に拒否権は無いらしい。
なにやら光る器具を当てられ、、、ピカピカ、ギャーン、、
で、俺は改造されてしまった。 やたらと派手だったが、ほんとにレベルの偽装だけなのか?
ロコナ「レベル70! 前の勇者より上にしたわ!」
その後、少し小さい声で「偽装、だけど・・」
そして、ほどなく、所長に呼ばれた左大臣と言うヤツがやってきた。高そうなローブを纏った壮年の男。見るからに怪しげな感じ。ロコナの言ってた通り悪い人っぽい。
研究所の応接室のような部屋で。
ギスコナン「左大臣閣下、わざわざ、お越しいただき……」
ギスコナンの挨拶を遮って、
左大臣「きみが、その新しい勇者かね」
いきなり俺に話しかけてきた。もう、すげー悪そうな笑みを浮かべている。
俺「はい。」
左大臣「うむ。わしに協力してくれるのであれば、おまえの良いようにしてやるぞ。」
俺「協力……ですか?」
左大臣「今、貴族院議員に空きがあってな。おまえが、その席に座るように仕向けよう。
勇者ならば、なんとかなる。
その代わり議会では、絶対に私の指示通りに投票し、指示通りに話すのだ。」
傀儡の議員か。兵士じゃないから、戦わないのかな?
左大臣「裏切ったら、おまえのレベルの偽装をバらす。」
俺「あの~。協力って事ですが、拒否したら……。」
左大臣とギスコナンが微妙なアイコンタクトをした後、。
ギスコナン「もし拒否するなら、憲兵隊に突き出して、きみのレベルの偽装をばらすと言う事だよ。
帝国の裁判所は公明正大に、きみが皇帝への反逆心から偽装したと立証してくれるであろう!
そうすれば、最悪、死刑!」
俺「おい! さっき、あんたが偽装をやれって言ったのだぞ!」
ギスコナン「私が何か言ったかな? 」
俺「とぼけるなよ! だいたい、偽装したのはあんたたちなのだから、共犯だろう!」
ギスコナン「私やロコナについては、もみ消せるから大丈夫だ!」
ぜんぜん公明正大じゃねぇ!!
俺「つまり、今となっては、俺は左大臣さんの言う通りにするしかない……っと。」
ギスコナン「その通りだ! そして、わが研究所の名誉は回復する!すばらしい!」
俺は危ない方向に流されてないか?
もしかして、この世界には、悪いヤツしかいないのか?!
左大臣「では、明日の御前会議で。」
御前会議は翌日の昼過ぎにはじまった。城の広間には10人ほどの人間がいる。俺はギスコナンが用意した勇者っぽい服装で、ギスコナンと共に参加した。
挨拶だの定例報告だのの後、司会をしている議長と言われる男が、。
議長「次は、昨日、召喚された勇者殿の件です。」
そして、俺たちに向かって「帝国魔法研究所 ギスコナン所長、こちらに!」
ギスコナン「昨日、陛下の命により召喚した勇者なのですが。
勇者殿のレベルについて、昨日は確認が不十分でありました。
誠に申しわけありません。
再度、確認した所、レベル70であり、キヨハル殿を超える勇者と判明いたしました。
ここに、その勇者殿を、お連れしております。」
俺「勇者ヒロタンです。帝国のために働く機会を頂ければ光栄です。」
言われた通りのセリフ。
ミリア「御前会議の予定を見て驚いたのだけど、。
おかしな話よね。帝国の魔法研究所ともあろうものが、そんな間違いを犯すかしら?」
ははは。怪しまれてるぞ。大丈夫なのか?
ミリア「それでね。確認のために魔法兵を呼んであるわ。」
少し大きな声で「魔法兵エストリアは何処?!」
奥に控えていたらしい黒い制服の女性が「こちらに!」
ミリア姫も若いけど、この魔法兵も若いな。20才ぐらいの女性だ。
ミリア「確認してくれる!」
ミリアに言われて魔法兵が水晶球を俺にあてる。少しドキドキ。
ロコナの改造は上手く行ってるのか?
魔法兵エストリア「確かにレベル70。
・・・、ですが、妙です」
げっ! バレタのか?!
魔法兵エストリア「職業が剣士でかつ聖者となっております。このような職業は初めてみました。」
何それ?
ミリア「ふ~ん。勇者だから、かしら。」
そして俺に向かって「ヒロタン・・だっけ? どうして、そんな職業なの?」
俺「さぁ。ゲームの設定なら剣士にしたはずですけど。バグじゃないですか?」
ミリア「良く分からない事を言うのね。」
議長「陛下! その勇者殿の件で」
ミリア「どうしたの、議長?」
議長「実は、勇者ヒロタン殿宛に魔王国より通信が入っております。帝国重要通信につき御前会議預かりとして、ここに。」
議長が巻物のような紙を取り出した。
ミリア「魔王国にヒロタンの知り合いでもいるの?」
俺「さあ。いないと思いますけど。」
ミリア「ふ~ん。情報が早すぎるし、もしかして、うちにスパイでもいるのかしら。……
まあ、いいわ。読んでくれる?」
議長「ヒロタン殿は、よろしいですかな?」
俺「かまわないよ。」
議長「では」
議長は紙を広げて、。
議長「『勇者ヒロタン殿には、魔王国で四天王に次ぐ地位を用意しております。是非、来られたし。 魔王ミシャより』」
俺「へ?」
ミリア「何それ!? 魔王国は、こんなのが欲しいの?」
こんなの? こんなのって言った?
少しふとった壮年の男が進み出て
男「陛下。見た目でのご判断は禁物です。レベル70であれば、魔王国の言う地位は当然とも言えます。」
見た目がなんだって?
ミリア「うるさいわねぇ。分かってるわよ。」
男「我が国でも相応の地位を用意すべきかと。」
ミリア「ん? 右大臣はどうしろと言うの?」
この男は右大臣らしい。
右大臣「実は、今日、急病のため欠席しております左大臣閣下より、その件で提案を承っております。」
そういえば、昨日の左大臣さんがいないようだが・・。
右大臣が紙片を取り出して読み上げ始めた。
右大臣「『今、帝国貴族に1席の空きがあります。これこそ、天の示すところ。こたびの勇者殿を帝国の貴族に加える事こそが、帝国繁栄への道』」
それを聞いた議長が、突然、大きな声で。
議長「な、なにを言う!あの議席はピンカージャ氏が!」
ミリア「そういえば、昨夜、ピンカージャという人から貴族の件は辞退すると言う書簡が届いてたわ。」
議長「ぐっ。そ、そんな。
陰謀だ!」
うん。そうだね。たぶん左大臣あたりの陰謀だよ。
ミリア「まあ、確かに変よね。裁判でマリネランの貴族権利が剥奪された翌日にあの人が貴族の資格を満たすとかなって。新たな候補が出てくる前日に辞退?
ピンカージャって何物なの?調べた方が良いかしら?」
議長「あ、。い、いえ。それには及びません。・・・、既に辞退されているのですし。」
なんだか焦ってるような。
右大臣「勇者殿を貴族にする事、私めも賛成いたします。
陛下にお認め頂けるのであれば、ぜひ貴族に。」
ミリア「良いけど・・
ヒロタン、本人はどうなの? キヨハル様は貴族なんて面倒とか言ってたけど。」
どうして、キヨハルは『様』付けで俺は呼び捨てなんだ??
気にしてもしょうがないけど、。
俺「たいへん光栄な事と考えております。」
台本通り。
ミリア「ならいいわ。私もとりあえず賛成よ。」
議長「陛下、念のため申し上げますが。帝国法により、新規の貴族の登用には議会での投票が必要です。」
ミリア「分かってるわよ。議会での投票までは候補、、という事ね。他に候補はいないみたいだけど。」
議長「うぐっ」
うまく行ってるのかな?
左大臣の陰謀が……。
ギスコナン「おそれながら、陛下。勇者殿は、この国に住む場所が無く、今、うちの研究所でお預かりしておりますが、いささか手狭。」
そうなんだよ。会議室みたいな所に泊まらされた。
ギスコナン「確かにまだ候補なのでしょうが、、。よろしければ、先に貴族用邸宅を利用する、ご許可を頂けないでしょうか?」
或いは追い出したいだけ?
ミリア「私はかまわないけど、。議長は良いのかしら?」
議長「邸宅など、。どうぞ、お使いください。投票……まで、は。」
ミリア「じゃぁ、そんな所かしら。」
と、ふと俺に視線を向けて、。
ミリア「ヒロタン自身の望みは無いの?」
俺「・・・特に。」
議長「そ、そういえば、前の勇者殿は、いらしてすぐの頃、女奴隷を欲しがっていましたぞ。ハーレムがどうとか言って。
ヒロタン殿も如何かな?」
なんか、議長の顔には、いやらしい笑いがあるけど、。
女奴隷なんて定番だよなぁ。それで定番なだけに、言われると欲しい気もする。
どうも転生してからのストーリィが狂ってるけど、そのぐらいは定番イベントあっても良い、、気がしないでもない。
俺「い、いや。そういうのは、、、。良いかもしれないです。」
うわっ。なんだか周囲の冷たい視線が刺さるぞ。俺は別に性奴隷とか言って無いからね?
ミリア「議長。キヨハル様がそんな事を言ってたの?」
議長「はい。議事録にもあるはずです。なんでしたら御父上にご確認ください。」
ミリア「奴隷なんて危険な物を……、。キヨハル様が、何故!?」
そして俺に向かって、「ヒロタンもそれを望むわけ?」
俺「無理なら良いのですが。」
ミリア「無理という事は無いわ。じゃぁ奴隷を追加ね。」
う~ん。どうも、嫌な雰囲気があるが。ちょっとワクワクだぞ!
ミリア「それで・・」
ミリア姫は、ちょっと笑みを浮かべて、。
ミリア「この勇者について、私からも提案があるのだけど。」
ん?まだ、なんかくれるのか?
議長「陛下から?」
ミリア「いろいろたいへんだと思うのよね。知らない土地で、おまけに貴族にもなるみたいだし、。
それに、あと、彼を監視する必要もあると思うの。魔王国に取られないためにね。
だから優秀な貴族の子弟を勇者さんの世話役で付けるというのは、どうかしら。」
良く分からんが、ミリアは、そこに持って行きたかった?
右大臣「さすが陛下です」
議長「賛成です」
ミリア「それで、その人選なんだけど。たまたま、ここに来てる魔法兵さんって貴族出身よね。」
魔法兵エストリア「え?私?」
ミリア「そう、エストリア。あなたの事よ」
知り合い?
魔法兵エストリア「何を、何をおっしゃてるのでしょう。私は勇者殿のレベルの確認のため、呼ばれただけで、ですよね? 」
ミリア「でも、ぴったりだと思うのよ。貴族の娘でしたよね。」
魔法兵エストリア「私は家を出ておりますので、今は・・」
ミリア「育ちの問題よ。おまけに優秀だし。ピッタリだわ。ねぇ。元生徒会長さん。」
魔法兵エストリア「・・・。ですが、私は魔法兵としての職務を・・」
ミリア「魔法兵は辞めていいわ。」
魔法兵エストリア「くっ。 そ、それでは・・」
ミリア「今の私は皇帝よ!皇帝の命令が聞けないとでも言うの?」
魔法兵エストリア「正確には皇帝代理・・」
ミリア「代理でも皇帝よ! その私が命令しているのよ!」
右大臣「お待ちください。そのような事をされると、彼女の御父上の・」
魔法兵エストリア「まって!ここで父は出さないでくれます?!
わ、分かったわ!やるわよ!やれば良いのでしょ!」
ミリア「決まりね。」
何、この展開。
魔法兵エストリアが仇敵を見るような眼で俺を見てる。殺意すらありそうだ。
でも、それ皇帝への八つ当たりじゃないのか!?
ミリア「これで、勇者の件は終わりで良いかしら。」
議長「は、はい。次の議題は、今節の定例貴族議会の日程ですが。」
ミリア「例年通りでしょ?」
議長「はい。3日後からになります。」
ミリア「例年通りと言う事で、誰か、異存があるかしら?
無いわね! はい。終わり。」
議長「・・・」
ちょっと、議長が呆然としてますが……。それでも気を取り直して、。
議長「で、では、今日は、ここまでになります。
陛下、ならびに、皆様。ありがとうございました。」
終わったようだ。
ギスコナンが俺の側に来て
ギスコナン「災難ですな。」
俺「え? 何が災難?」
魔法兵エストリアが近寄ってきた。相変わらずの怖い視線。
ギスコナン「では、後は彼女が。」
魔法兵エストリアが近寄ってくるとギスコナンは逃げるように去っていった。
エストリア「ほんっとに、最悪だわ。」
俺「・・」
エストリア「あんた、どうみても怪しい勇者よね。さっきの会議はあきらかに変よ!
あの流れで不信に思わないのだから、ミリアは、ほんとにバカね。」
俺「そ、そうか?」
その通りだろうな。エストリア以外にも胡散臭そうに俺を見てるヤツが何人かいたよ。
仮にも皇帝が良いと言ってるから、しょうがないって感じで。
エストリア「あんたの世話役なんて冗談じゃないわ!
ペテンを暴いて、あんたを処刑場に送って終わりにするわよ!」
なんだか、終わった気がする。
すみません、10/7に誤字とか文体とか治しました。エスタリアとエストリアがごっちゃになっていたのを修正しました。(10/13)
ご指摘頂いた誤字を修正しています。ご指摘ありがとうございます(2021/05/31)
続きをどうしようかと思いながら久しぶりに読んでみたのですが、。いろいろと酷い気がして、修正しています(2022/03/24)