風呂イベント不発
風呂の準備をしながら、今日の事を考える。
いつの間にか、後輩を拉致していた件。いや、これからどうしよう。
今は恵もノリノリだが、いつか不満を抱くだろう。もちろん、和解が出来たら解放するつもりだが、はたして出来るのだろうか。
…もう考えんのやめて、行き当たりバッタリで行こうかな
今後の方針が現実逃避に変わった頃、風呂の準備が整う。そういえば、恵の着替えどうしよう。
…上下は俺のジャージでいいとして、下着…。
よし。とりま地下行って恵に聞こう。
地下に着くと、恵はベットでくつろぎながら漫画を読んでいた。
後輩の順応性が高すぎな件について
「恵ー。お前着替えどうする?」
「あ、下着ならありますよ」
「お、そうか。了解ー」
よかった、下着はあるらしい。準備いいな
………。
いやいや!
「なんであるんだよ!?」
「この部屋っていっぱいものありますよね。女性用下着もありましたよ?」
「なんであるんだよ!!」
本当に、あいつらは何置いてってんだ!
何の用途があって下着買うんだよ!
「まあまあ。助かったんですから良いじゃないですか」
「…はぁ。そうだな。恵、風呂出来たから、入って来て良いぞ」
「はーい。お先に失礼しまーす」
そう言いながら、恵は駆け足で階段を上っていく。ちまちまと歩いていて、ちょっと可愛かったのでしばらく眺めていた。
…って眺めてちゃいかん!逃げたらどうすんだ!
俺も急いで後を追う。
恵は階段を上がり切った所で止まっていた
「優先輩、お風呂どこですか?」
ああ、風呂の場所が分からなかったのか
「そこ進んで曲がったとこだ」
「了解でーす」
そのまま、恵は風呂場へと入っていった。この間どうしようか。
…そうだ、恵のせいで出来ていなかった掃除でもするか。
―――――
十分ぐらい掃除をしていて、恵に服を渡していない事に気が付いた。
今届けにいけば、ちょうど風呂から上がっている可能性もあるので、とりあえずノックする。
「恵ー。着替え届けに来たんだけど。入って良いか?」
「はーい。大丈夫ですよ」
確認が取れたので、扉を開け、着替えを洗濯機の上に置いておく。シャワーの音は無く、静かだ。
「…優先輩、ちょっといいですか?」
「…なんだ?」
恵の声色は、少し真面目なものだった。
俺の声も自然と真剣になる。
「私…」
「……」
緊張が高まる。頬に汗が滑り落ちる。
「このシャンプー嫌いです」
「え?」
俺は、漫画みたいにズコーッてなった。
こんな真面目な声色させといて、シャンプーが気に入らないだと?一発殴ってやろうか。
すると、静かな空間の中に、恵がクスクス笑っている声が聞こえた。
こいつ、まさか…
「恵、わざとだな?」
「え?何のことですか?そういう優先輩こそ、何を考えてたんです?」
「お前…絶対許さん…」
クソが…。いつかやり返す。
そんな決意をしながら、風呂場を出た。
それからしばらくすると、恵がジャージ姿で現れる。ジャージは、恵より結構サイズがでかく、ぶかぶかだ。
…可愛いな
「優先輩、お風呂上がりましたよ」
「よし、なら地下部屋行くぞ」
「はーい」
こいつ、家に連れ込まれているのに余裕ありすぎだろ。仮にも俺、男なんだぞ?
まあ、許してもらうために、そんな事は決してしないがな。
恵を連れて、地下室へ向かう。
地下室の扉を開けると、涼しい風が吹いて来た。
「あれ、なんか涼しい…?」
「ふふふ。実はな、この部屋にはエアコンが付いているんだ」
「え!!ほんとですか!?」
さっき、恵が風呂に入っている間にエアコンをつけておいたのだ。若干蒸し暑かったこの部屋も、相当住みやすくなっている。
「ご飯は勝手に出てきて、娯楽は揃っている。私、ここに住みたい…」
恵が何か呟いていたが、無視することにした。
「じゃあ、俺も風呂入ってくるわ。もう寝ててもいいぞ」
「おやすみです。優先輩」
「おう、おやすみ」
さて、今日はめちゃくちゃ疲れた。早く風呂入って寝てしまおう。
地下への扉にしっかり鍵をかけ、風呂に向かった。
――――――――――――――――――――――
優先輩が階段を上がっていく音が聞こえました。
今日はもうこの部屋には来ないのでしょう。
それにしても…
「ほんとガバガバですね、優先輩は。私の持ち物とか確認しないんですから」
私の持っていたバックは、ここに来てからノータッチで、認識されているかも怪しいです。
中を覗けば、しっかりと持ってきていた物が全部入っています。
持ち物の中にはもちろん、スマホも含まれており、簡単に助けを呼べてしまいます。
「私じゃなかったら、あっという間に逮捕ですよ」
そんな事を呟きながら、FINE――FINEです。線じゃなくて元気です――を開きます。
二年ほど前に交換した友達を選び、文章を打っていきます。
うーん、明後日ぐらいでしょうか。楽しみですね