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もつれた糸の行方  作者: 夢呂
【4】偽物彼女
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─────昼休み、頼に購買まで飲み物を買いに付き合えと言われた。私もちょうど飲み物を買いに行こうとしていたところだったから、素直に並んで歩く。

「別荘?!」


頼が驚いて声をあげた。予想より反応が大きくてこっちも驚いた。

頼に夏休みどうするのか聞かれたので今朝の話をしただけなのに、なんでそんな驚く?



「そう。里桜が毎年そこでおばあちゃん孝行してるんだけど、今年は私も誘ってくれて」

「なんだそれ、俺も行きたい!」

「え、頼は部活でしょ?」

「・・・・・・チッ」


今、舌打ちしなかったか?


「あ!そうだ律花、来週の土曜空いてる?」

頼が気を取り直すように一息ついてからそう切り出してきた。


「え、なんで?」

「試合あるんだよね、バスケ部の」

「へぇ、頑張って!────って、え。まさかそれに来いと?」

「いや来るだろ普通は。」

「“普通”ってなによ」

頼が変なこと言うからつい、率直なツッコミを口に出してしまった。


(あ、やば。) 

またやってしまった、と反省してもすでに遅かった。拗ねたように頼が私から視線を外す。


「なんだよ・・・・興味ない?」


寂しそうに聞かれて、私は思わず口ごもる。 


「な、ないわけじゃないけど・・・」

「じゃあ来て」


「あ、空いてたらね・・・」

「空いてないとか、あんの?」

「失礼な、それどういう意味よ!」


私が口を尖らせてそう食らい付くと、頼は愉しそうに笑った。

(う・・・・不意討ち食らった)

頼の笑顔に胸がきゅうと苦しくなる。甘いのに、苦しい。



興味ないわけ、ないじゃんか。

ただ。

ただ・・・・これ以上好きになったらと思うと怖いんだよ。

私の気持ちばかりが大きくなって。


自分ばかり、欲張りになっていく。


だから。


頼に愛想尽かされたらと、いつか来るであろうその日を考えると────怖いんだ。



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