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もつれた糸の行方  作者: 夢呂
【4】偽物彼女
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「は?」


クラス委員の朝の仕事である、職員室にいつもの御用聞きに向かう途中の廊下で、私は思わず足を止めた。隣を歩いていた頼が続けて足を止め、繰り返すように小さな声で言った。


「だから“付き合ってるってことにしとこうぜ”って言ってんの」


うん。それは聞いた。

聞いたけど。


「───なんで?」

「俺さ・・・毎回告白されて断るの、しんどいんだよね」


わざとらしくため息をついて、頼が言った。

(なんだ、モテるアピールか。)


「律花が協力してくれたら、助かるんだよなぁ。」

「!!!」

その言い方はズルい。

それに───そんなふうに顔寄せられたら、跳ねた心臓が暴れたままで何も考えられなくなるじゃんか。


「・・・・バレても知らないからね?」

心の中を誤魔化すように、目をそらして小さな声で呟く。

そんな可愛いげのない私の言葉に、頼が目を細めて笑った。


「ありがとう、律花」


やめて、心臓がキュゥーって苦しい・・・。

そんな優しい温かい目で、こっち見ないで。


どうしよう・・・。

頼が、かっこよく見えてしまう・・・。


うぅ・・っ、しっかりしろ律花(わたし)

この笑顔に流されてばかりじゃ、ダメだ!


そう思い直してみたけど、恥ずかしくて頼を直視出来ない。

だからそっぽを向いたまま腕組みしてふんぞり返ってみせたのは、私の精一杯の強がり。


「ただし!ノートの貸し分なんだから、テスト終わるまでだから!」

「なんだ、やっぱそうなんのか」

寂しそうに苦笑いする頼に少し胸が痛んだけど、私は平然を装う。

「あ、当たり前でしょ。」

「じゃあ、さ────」

その代わり、と言わんばかりに頼が提案した。

「笹野にも、誰にも言うなよ?これがフリ(⚫ ⚫)だってこと。」

「え、うん。」

「バラしたら、無期限にするからな」

「ん?・・・うん」


あれ?

なんか結局頼の言う通りになってるけど─────なんかこれって・・・・?




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