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もつれた糸の行方  作者: 夢呂
【1】律花と頼
18/140

18

日曜の午後。

里桜に暇だから遊ぼうと言われて、お互いの家からちょうど同じ距離にあるショッピングモールで待ち合わせた。

私たちのいつもの場所と言えば、フードコート。

ここなら水だけで心置きなくお喋りできる。



「―――今さらそんな過去(むかし)の話されても、って感じだよね」

「ふふっ」


座るとすぐに昨日の一連の出来事を里桜に話すと、なぜか笑われた。


「・・・何よ」

「ん?べっつにぃ?」


笑われたことにムッとしていると、里桜が笑いを噛み締めて答える。



「さっきから、赤下の話ばっかりだなぁと思って」


(は!?)


「ちょっと聞いてた?!私は愚痴ってただけなんだけど」

私の言葉に、里桜が呆れ顔になる。


「もー。いつまで意地張ってるの?律花ちゃんは」

「はぁ?」


「赤下のこと、もう許してあげたら?」


…別に、意地なんて張ってない。

私はただ、また傷つくのが怖いだけで。



「…私と一緒に居たくないって言ったのは頼の方だし」

口を尖らせてそう呟くと、里桜が可愛らしく頬杖をついて上目遣いにこちらを見つめる。


「“居たくない”なんて言ってなかったと思うけどなぁ…」

あの時を思い出すような仕草で、首をかしげる。


「・・・・」


「男子にからかわれてた“律花ちゃん”を助けたかったからあんなこと言っちゃっただけだと、私は思うけど」


「・・・・」

(そう、かもしれない…)


―――だけど…もし、違ったら…?




(――――分かんないから…不安なんだよ)



『好きだったよ…――――幼稚園のとき』


頼はそう言った。

(だけどそれは…――――幼稚園の時だけ?)


――――小学校の時は?


手を繋いで小学校まで登校していた時は?

お互いのクラスが終わるのを待って、帰っていたときは?


(隣を歩いていた六年間、本当は嫌々だったんじゃないかって…)




「あー明日からまた、赤下がいるんだろうなぁ律花の家の前」

一人暗くなっている私を無視して、愉しそうに口元を緩めている里桜(りお)


そうだった。

頼んでもないのに待ち伏せするって頼が言った。

『嫌がらせする』って。


「なんの意味があって、“嫌がらせ”なんか…」

「嫌がらせ?律花、ひどっ」

考え込む私に、里桜がまた呆れる。


「いやいやいや…。なんで?酷いのは私じゃないでしょ?」


―――里桜って何気に私の扱い酷くない?



「ねぇ里桜、明日は絶対(● ●)待っててよ?」

とりあえず明日はしっかり約束してもらおうと念をおす私に、里桜が可愛く微笑んでしれっと答えた。


「うん。でも遅かったら置いてくね?」


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