バイト始めました(おまけ日常編)
「え、田端くんのバイト先って」
「“今日から入る青島さん”って・・・・え、青島さん?」
二学期も始まった9月、今日からのバイト先───ファミレスの制服に着替えたところで、店長に『今日仕事を教えるバイトの子を紹介するから』と連れられて、田端くんと顔を合わせた瞬間だった。
バイト先で面接を受けたとき店長に『他にも高校生いるよ』とは聞いていたけど。
それがまさか田端くんだったなんて、偶然にも程がある。
私も、田端くんもまともに会話するのは久しぶりで。
同じクラスなのに夏休み前に一回話した以来、全然話すこともなかったからどうしてもぎこちなくなってしまう。
何より一度、告白してくれて。
思わせ振りな態度をしたあげく、ごめんなさいをした友達だったから余計に。
「赤下くん、よく許したねバイト」
私たちはキッチンなので、まずは皿洗いから。
大きな食洗機に仮洗いしたお皿を並べて入れながら、田端くんが言った。
「あ・・・そのことなんだけどね」
うーん、キッチンなら誰にもバレないと思っていたからかなり言いづらい。
「頼は、知らないんだ」
「えっ」
私の言葉に、田端くんは心底驚いた。
「それ大丈夫?」
「うーん、多分・・・?」
苦笑いでそう答える私につられてか、少し困惑した表情で田端くんが笑う。
「田端くんもアイツには言わないでくれる?実は来月、頼の誕生日で」
「言わない言わない、ていうより言えないよ」
「デスヨネ・・・」
偶然だったとはいえ、なんだか申し訳ない・・・。