表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もつれた糸の行方  作者: 夢呂
【7】その行方
131/140

124

試合は、うちの高校のバスケ部の圧勝だった。


「赤下のヤツ、律花ちゃんが見てるからって張り切り過ぎでしょー?ねぇ?」

里桜はニヤニヤしながら、私を見る。

「来てよかったね、律花。」

「・・・・そう、だね。」


もしかしたらもう見ることも出来ないのかもしれないから。

そう思ったら、切なさだけが募った。


(居なくなったら、どうしよう・・・・)


頼が隣に居なくなったらなんて、考えたこともなかった。

だって頼はいつも、私の傍に居てくれたから。


(当たり前の毎日が、当たり前じゃなかったことに今さら気づくなんて・・・・)



「律花ちゃん?大丈夫?」

「あ、うん・・・」

私の気持ちに勘づいたのか、里桜が心配そうに声をかけてくれた時、不意に後ろから腕を掴まれた。


「どうかしたのか?」

「よ、頼・・・・」


なんでここに?


「もぉ!赤下のせいで律花ちゃんが不安がってるでしょー?何とかしなさいよね!」

「里桜っ!」


里桜の言葉を遮ろうとしたけど、遅かった。

頼の眉間に皺が寄る。


(イヤだ!今は・・・・っ)


「は?」

「違う!頼には全然関係ない話だから!」


頼には気付かれたくなくて、私は咄嗟にそう口走っていた。


───怖かったんだ、頼の口から聞くのが。


(“引っ越す”とか“転校する”とか───そんな言葉を今、聞いてしまったらきっと泣いてしまうから)


だけど私のその咄嗟の一言は、頼をさらに不機嫌にさせてしまった。



「俺に“全然関係ない話”って、何?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ