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もつれた糸の行方  作者: 夢呂
【5】兄妹
102/140

99、プール

「スライダーやろうよ律花!」

「ま、待って里桜」


こ、これで人前に出るのはちょっと・・・・。


更衣室でレンタル水着に着替えたけど、私はプールに向かうのを躊躇っていた。


目の前の鏡に写っている私は、白地に花柄のホルダーネックの水着でセパレートタイプ。フリルがついていておしゃれだし、両サイドの腰にはかわいい紐がリボンになっている。

隣で髪を束ねる里桜は、私と色違いの紺地の花柄。


それなのに、なんか違いすぎる!


目の前の鏡に写った体型に、涙目になる。

(里桜みたいに胸もないし、くびれもないし。やっぱりワンピースタイプの水着にすればよかった・・・・)


双子コーデにしようよと里桜に輝く笑顔で言われたかと思えば、いつの間にかこの水着に決まっていた。


(断りきれなかった自分が憎い!!)


「ちょっと律花ちゃん、なんで身体にタオル巻いてるの?」

長い髪をポニーテールにした里桜が、私を見て笑う。


「や、いたたまれなくて、」

「えー照れなくても大丈夫、似合ってるよ!」

「いやいや、似合ってな────。」

似合ってないから、と言い終わる前に写メを撮るシャッター音が聞こえた。


「今・・・・撮った?」

「ん?ほら、赤下に見せてあげようかなって」

かわいい笑顔でそう言うと、里桜はコインロッカーにスマホをしまい、素早く鍵をかけた。


「里桜ぉ!消してーっ」

(そんなの見られたら恥ずかしすぎてもう頼と会えないって!!)


「待ってよ里桜!」

「お待たせしましたー」

どんどん先を行ってしまう里桜がようやく立ち止まった先に、お兄ちゃんと金澤さんがいた。


「うっ・・・・」

(里桜のやつ、私を連れていくために・・・・嵌められた。)


「おっ、二人とも可愛いねぇ」

金澤さんが目を細めてそんな事言うから余計に恥ずかしくていたたまれない。

(かわいいのは里桜だけなのに、金澤さんの優しさが痛い・・・・)


見られるのが恥ずかしくて顔を上げられないでいると、兄の声がした。

「里桜ちゃん、ちょっといいかな?」

「え、あ・・・・はい」


ちょっとお兄ちゃん!

いくら里桜が可愛いからって、妹の友達を連れ去るなよ!


そう文句の一つでも言ってやろうとしたけど、里桜の笑顔が────今まで見たことないほどはにかんでいて、嬉しそうで。


・・・・・言えなかった。


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