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 一度遠のいた意識が、戻ってきた。

 目を開けると、真っ白…ではなく、真反対の漆黒が、視界を埋め尽くす。

 すると、いきなり頭の中で女の人の声が響いた。


 『名前を設定してください。なお、同名の名前がすでに存在した場合、その名前は設定することができません』


 淡々と、説明と補足をしてくれる。


 (なるほど、名前は早い者勝ちというわけか。それなら、なんも捻っていないけど、これでいいか)


 タイピングスピードは、そこまで速いことは無いが、名前は早い者勝ちみたいなので、YUKIと打ち込んだ。

 打ち込んだあと最後に、つづりが間違っていないことを確認してから、決定ボタンを押す。

 すると、再び同じ女性の声が頭に響いた。


 『YUKIで登録をします。これでよろしいでしょうか? Yes/No』


 迷うことなく、Yesを押す。

 また、女性の声が響く。


 「YUKIで登録が完了しました」


 飾り気の無い、無機質な機械の声だと分かる声が頭の中に響き渡る。

 だが、彼の頭の中には女性の声のことなど無く、唯


 (よかったー。YUKIなんて、ありふれた名前だから、すぐに使われて、使えないと思っていたけど、どうやら俺が一番みたいや)


 と、考えていた。

 そこまで考えていたら、次に男性の声が頭の中へ入り込んでくる。


 『……人の子よ、人の子よ。汝は何を求める。汝は無力で、決して何もすることができない。今ここで決断せよ。この決断が、後にどう響くかは汝によるだろう』


 (んーー…この変えの感じ、大体60~65歳くらいの感じだな。まだまだ元気そうな声だ。ギリギリおっちゃんでも通用する感じの声だ。)

 

 まったく、関係のないことを考えていた。


 『スキルカードと、武器カードを選択して下さい。最大6枚まで選ぶことが可能です。なお、武器カードを選んだ場合、職業カードが選んだ武器カードに合わせて変更されます。※武器カードは、1枚しか選べません。武器カードを選んだ場合、選んだ武器カードの初期武器を配布します。重複はできません』


 再び、女性の声が響く。


 (武器カードは決まってるんだけど、他のスキルカードを何にするか決めていなかった。でも、ぶっちゃけ武器カードが銃なら、その他はどうでもいいんだけどな。

 ……お!ランダムのボタンがある。よし、スキルのほうはこれで決めよう)


 そう思うと、早速武器カードの欄へカーソルを動かし、目当ての銃の武器カードを六芒星ヘキサグラムの右下へセットする。そして、都合よくみつけたランダムのボタンを押し、待つ。


 ガラガラ……バン

 ガラガラ……バン

 ガラガラ……バン

 ガラガラ……バン

 ガラガラ……バン


 ランダムで残りの5つのあいているスペースにスキルカードが入る。

 いまどき、ルーレットかよと、思わないことはないが、製作者がこれで設定しているため、あーだこーだ言っても何にも解決にはつながらないので、スルーをしておく。


 上に鷹の目 左上に錬金術 左下に調薬 下に鍛冶 右下にダブルジョブのスキルカードが入った。

 そして、六芒星の真ん中に、ガンナーの文字が入っている。どうやら、俺のジョブは、ガンナーと呼ばれるもののようだ。


 それにしても、生産職向けのスキルが多くないだろうか?

 はっきり言って、ダブルジョブと、鷹の目、武器カードである銃以外、全てが生産職向けのスキルである。

 だが、ここまで生産職のスキルがあっても、俺は、生産職にはならない。なぜなら、俺は狩りに行きたいんだ。この銃を持って。生産職でもできるけど、おれは生産職にはならない。安全であってもならない。俺は、生産をしに来たのではなく、モンスターを狩るためにきたのだから。


 生産職にならないことを、心に改めて刻み込んだ。

 そこまで考えたら、再度頭の中に声が響く。


 『スキルの設定が終わりました。チュートリアルを行いますか? Yes/No 』


 ゲームを始める前に、みことに「兄貴も分かってると思うけど、チュートリアルなんかやらずに早く来てな。スタートダッシュが肝心なんだから」と、言われたので、チュートリアルをせずに行く。

 よって、Noを押した。

 すると、しつこいくらい頭に響いてくる声が聞こえる。


 『汝は、時に知恵を、時に勇気を搾り出すときが来るだろう。その苦難を乗り越えた先には、今まで誰も見たことのない世界が汝らの前に現れるだろう。……是非この世界を楽しんでいって下さい』


 最後だけ、声が変わった気がした。


 『全ての設定が終了しました。これよりAAEOの世界へお送りいたします』


 しつこいくらい聞いてきた無機質な声が、今はやけに綺麗に聞こえる。


 目の前の漆黒の色で多い尽くされていた視界に、一筋の光が差し込んだ。

 いきなりの光に目をしかめながら、歩き出す。


◆◇◆


 視界が緑で覆われた。

 まだ、光に目が慣れていないが、なんとなく周りに人の気配が急激に増え始めたと感じた。

 緑の香りがする。地面をしっかりと踏みしめている感触がする。やわらかい風が頬を撫でる。自分が先ほどまでいた部屋では決して感じることのできない感触が俺が、AAEOの世界に入ったことを本能的に知らせてくれる。

 目が慣れてきて、周りがはっきり見えてくるようになった。どうやら、周りの人たちも、同じようなタイミングで目が慣れてきたようだ。時と折「AAEOの世界キター」や、「現実みたいだ。俺、ここに住もうかな」「おれも、同じこと考えてた」とか、「早速モブ狩り行きませんか~」「ペアになってくれる人いませんか~」などの声が聞こえてくる。


 俺も、早いこと命に合流しないと。


 そう思い、早速あらかじめ打ち合わせしておいた場所へ向かう。



 待ち合わせ場所には、すでに命がいた。

 だが、その場所まで行くのにかなり大変だった。

 なぜか待ち合わせの場所には多くの人がごった返していて、その中心に命がいたのだ。誰か、俺を労ってくれてもいいと思うんだ。

 俺の姿を見つけた命は、こちらへ向かって手を振りながら、大声で呼んでいる。

 ぶっちゃけ、かなり恥ずかしい。周りの人がみんな俺を見ている気がする。

 そんな、理不尽な恥ずかしさを押し殺し、命の元へ向かう。


 「兄貴、遅いよ。スタートダッシュが肝心って言ったよね?」

 「すまん。何故か知らんが、ここら一帯が混雑していてな、ここに来るのに時間がかかったんだ。」

 「確かに…よくわかんないけど、確かにここら混んでるよね。何でだろう?」


 命が、指を唇に押し当てながら、首をかしげる。

 その仕草をを見た人の1割がたの人たちが、何故か倒れ始めた。

 そして、それを量産した本人が、「あの人たちどうしたの?」とたずねてきたので、俺は、「大丈夫だ。それでも、スタートダッシュが肝心なんだろ?早く行こうぜ」といっておいた。

 命は、俺の答えに少し疑問を持ったようだが、モブ狩りをしていたら、すぐに忘れるだろう。

 俺達は、この森を抜けてすぐにある、初心者の草原と呼ばれる場所に向かった。


 ちなみにだが、命が俺を呼んでいたとき、命が俺を呼んでいるのに気づいた不特定多数の人たちが、「チッ。男待ちかよ」とか、「兄貴?あぁ、羞恥プレイですね分かります」とか、「ワァオゥ。貴方は、ロリコンですね」とか色々言ってきた。ちなみに言っておくが、俺はロリコンじゃねえ!!あと、羞恥プレイだったのは、命じゃなくて、俺のほうだ!!!と、いってやりたい。まぁ、言わんが。



 NAME YUKI 


 JOB  ガンナーLv1


 スキル 銃   Lv1

     錬金術 Lv1

     調薬  Lv1

     鷹の目 Lv1

     鍛冶  Lv1

     ダブルジョブ

 

 武器  初心者の銃 ※壊れません


 防具  初心者のシャツ ※壊れません

     初心者のズボン ※壊れません

     初心者の靴 ※壊れません

     ホルスター


 持ち物 アイテムポーチ ※壊れません


 NAME LIFE


 JOB 剣士Lv1


 スキル 槍  Lv1

     盾  Lv1

     鎧  Lv1

     活檄 Lv1

     攻撃力上昇 【中】

     防御力上昇 【中】


 武器 初心者の槍 ※壊れません


 防具 初心者の盾 ※壊れません

    初心者のシャツ ※壊れません

    初心者のズボン ※壊れません

    初心者の靴 ※壊れません


 持ち物 アイテムポーチ ※壊れません



 ちなみにだが、最初のスキルを選ぶときに、ステータス上昇系のスキルカードはない。あそこで手に入れるためには、ランダムでしか手に入らないそうだ。しかも上昇値が【中】とは…命ぉ……おめぇ、運がいいな。

 後で聞いた話、俺が手に入れたダブルジョブのカードも、ランダムでしか手に入らないみたいだった。俺って実は運がいいのか…?

 このことを、命に話したら、「僕も欲しかったよ~」と、きっと意識はしていなかったと思うんだが、手を合わせながら、見上げてきやがった。チッ、一瞬だけかわいいと思ってしまったじゃんかよ。何たる不覚……



最後までお読みいただきありがとうございます。


連続投稿はこれで終了です(早ッ

次からは、まったりと投稿していきます。

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