僕の居場所(1)
中学二年の夏休み。また訪れる新学期を前にして、僕は自分の居場所を探していた。
別に今の生活に不満があるわけではない。衣、食、住すべてにおいて何不自由なく流れる時間。にもかかわらず僕はさまよっていた。
僕は一体何がしたいのだろう。何を求めているのだろう。僕の中で「結論」というプレッシャーが何度も何度も押し寄せていた。でも、それに気付きながら正面から受け止める事無く、今日もただ家の中でボーッと好きな音楽を聴いている。
「なるようになればいい」
そんな風に自分を抑え込んでいた。部活に励む事などなく、勉強なんてなおさらやる気も出ない。先生の話もろくに耳に入れず、教科書に無意味な絵を描いて貴重な時間をプチプチと潰していたくらいだ。成績の不安など少しも気にならなかった。友達と馬鹿な話で盛り上がって、この中学生活をのんびり過ごせばそれでいいのではないのかとそう思っていた。
でも、やがては必ずやってくる高校受験、そして大学、就職。まだ先の話なのに、避けては通れない現実を、やり過ごす事が困難に思えてきた中学二年生の夏休み。
「何かが足りない」
はたから見れば普通の男子中学生。小学校の頃は我先にとばかり教室で大声張り上げていたはずだった僕は、いつの間にか大人しい地味なタイプになっていた。ちょっとしたイジメを受けた事も一因かもしれない。そこから表向き目立つことに臆病になった。その積み重ねはやがて自分をさらけ出す術を失っていたのだ。自然と家の中でも家族との言葉数は気付かないうちに少なくなっていた。
「どこかで発散したい」
だからといって誰かを傷つけるのではなく、人と共存できる自分にしか生み出せない居場所が欲しかった。その居場所で二つ目の自分を大いにさらけ出す事さえできたなら。この胸のくすぶりも少しは癒えるのかもしれない。本当は人一倍目立ちたがりである自分の性格を誰よりも一番知っていたからこそ。
「とにかく、この世で自分の名前を残したい」
ぼやけた未来にまだ見えぬ目標が植えつけられた夏休みの終わりだった。