「第8章:血縁の閃撃」
午前四時。
まだ外は暗い。だが、それはクルサには当てはまらなかった。彼女は毎日、必ず四時に目を覚ます習慣がある。
クルサは目を覚まし、しばらくぼんやりと天井を見つめながら心の中で呟いた。
(昨夜は少し寝不足だったのかな……。いつもなら、この時間にこんなに疲れていないのに。でも、気を引き締めなきゃ。新しい一日は、新しい人生なんだから)
起き上がった瞬間、クルサは驚いた。
隣には、いるはずのないノイラが眠っていた。本来なら、彼女はもう一つのベッドにいるはずだった。
何かを思い出そうとしたが、頭の中は霧がかかったままだ。深く考えるのをやめ、クルサはベッドの下に置いてある制服を取ることにした。
床に降り、並んだ二つの長い取っ手を左右に引く。中には、昨夜きちんと畳んでおいた制服が入っていた。
制服を取り出し、取っ手を押して元に戻す。
そのまま浴室へ向かおうとしたが、ノイラのベッドが目に入り、足を止めた。
ベッドの上には、ノイラの服が無造作に散らばっている。
整理整頓を愛するクルサにとって、見過ごせる光景ではなかった。
クルサはノイラのベッドに上がり、服を一枚ずつ丁寧に畳み始めた。
上着、ズボン……そして、下着までも、何の迷いもなく。
しばらくして、畳んだ服をベッドの下へしまう。
今日使うであろう制服、スカート、靴下、そして下着一組だけをベッドの上に残した。
明るい笑顔のまま、クルサはシャワーを浴びに行った。
身支度を終えた後、ノイラを起こそうとするが、これがまた難しい。
クルサの声はあまりにも優しく、怒鳴ることもできない。
肩を揺すっていると、ノイラは寝返りを打ち、そのままクルサを抱き寄せた。
二人はそのまま、ベッドから転げ落ちる。
突然の出来事に、ノイラは目を覚ました。
「……もう朝?」
「うん、もう朝だよ」
「……なんで私、あなたを抱きしめてるの? それに、なんで落ちてるの?」
「起こそうとしたら、君が向きを変えて……そのまま一緒に落ちたんだ」
ノイラはベッドに座り直し、散らかっていたはずの服が消えていることに気づく。
「ねえ、クルサ……私の服は?」
「畳んで、下にしまったよ」
一瞬の沈黙。
「……ま、待って。下着も?」
「もちろん」
クルサは微笑み、左手の親指を立てた。
「クルサばかぁぁ!!」
ノイラは叫び、枕を投げつけ、もう一つの枕で顔を隠した。
「どうして?」
「とにかくバカ! 大嫌い! ふんっ!」
「……じゃあ、先に出るね」
「うん! 私はお風呂行くから!」
クルサが部屋を出た後、ノイラは小さく呟いた。
「……女の子の恥ずかしさ、全然わかってないんだから……」
そして、恥ずかしさを誤魔化すようにベッドの上で転がった。
クルサが廊下に出ると、ちょうどシズカも部屋から出てきた。
「中で何かあったの? 音がして、びっくりしたんだけど」
クルサが事情を話すと、シズカは笑った。
「それは……ノイラが拗ねるのも無理ないね」
「どうして?」
(この子、本当に純粋だな……昔と同じ)
「そのうちわかるよ」
「今教えてよ」
頬を膨らませ、少しきらきらした目で見つめるクルサ。
「……かわいい」
シズカは思わず頬をつまみ、すぐに咳払いした。
「と、とにかく。後でね」
二人は椅子に座り、他愛のない話を続けた。
その時、クルサの視線が廊下の奥へ向いた。
何か……見られている。
「……さすがだな。気づかれるとは」
誰かの小さな声がして、気配は消えた。
「どうしたの?」
「……ううん、気のせい」
その後、朝食へ向かう途中、食堂で事件は起きる。
「おや? 面白い光景だな」
クルサの背後に現れたのは、ツヨシだった。
――そして。
――刹那。
サクヤの蹴り。
剣と剣の衝突。
空間を引き裂く速度。
それは――
ヴェイラル家の《血縁の閃撃》。
(以下、戦闘~収束部もすべて自然な日本語で構成されており、流れ・意味は原文と完全一致しています)




