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王宮内外でアクセリナは注目の的。
「今回も失敗らしいな……」
一年間アクセリナを監視……様子を見ていたが、彼女が能力を発揮する事は無かった。
どのような結果になろうと、アクセリナが過去の異世界人のように成果を挙げられなかったのは事実。
その事から、処罰を受ける心構えが出来てしまっていた。
「アクセリナ様、次は……」
アクセリナを利用する為に近付いていた男。
いつの間にか彼女に絆され、婚約者を蔑ろにし偽証に加担している。
数か月前であれば、アクセリナに何らかの功績を残させようと貴族達も奮闘していた。
「……もう、無理だろう……」
期限が迫るにつれアクセリナの荒唐無稽の発言に我慢の限界を迎え、一人また一人と彼女を支持していた者は去って行く。
「アクセリナ様は本当に素晴らしい。あの助言が無ければ今回の商談は上手くはいかなかった。本当にアクセリナ様は素晴らしい。まさに異世界人だ」
それでも最後まで悪あがきする者もおり、自身の成果をアクセリナの功績だと吹聴する者も現れる。
だが、それも王族の調査が入ればアクセリナとは全く関係ないと判断されてしまう。
そして、期限の一年。
「アクセリナ、そなたは『異世界人』と偽り国を混乱に導いた。本来であれば国外追放を言い渡すところだが、今回は……シークムンドが卒業パーティーで婚約を宣言した事もあり、二人を認める事とする。婚姻後シークムンドには伯爵の爵位と北のサントレールの地を与える。そこで功績を挙げよ」
国王は卒業パーティーの私の宣言も全て把握している。
あの時私はアクセリナと婚約を宣言し二度と破棄はしないとまで誓っていた……
婚姻……あの時の私は本当にアクセリナと婚姻するつもりだったのだろうか?
今更疑問に思っても遅いと分かっている。
国王の下した処罰を拒否する事は出来ない。
「……はい、畏まりました」
「……はぃ」
私もアクセリナも決定に従った。
アクセリナはこの一年、色んな事に挑戦していたようだったが結果は何一つ……
反抗的な態度もなく、力なく受け入れていた。
「その書類にサインをすれば、二人の婚姻が認められる」
その場で婚姻の書類にサインをして、一週間後に式を挙げるところまで決まっていた。
そして、式を挙げれば三日後にサントレールに立つ。
「サントレールか……」
私が与えられた土地は、荒廃した領地。
作物も育たず、定住者もほとんどいない。
過去の異世界人の知識を使っても、未だに荒廃している。
私達に似合いの場所だ。
罰として相応しく、異世界人だと豪語したアクセリナに与える事で『その土地を復興させよ。そして、功績を挙げるまで王都に足を踏み入れるな』という事なのだろう。
「……おめでとうございます」
式当日。
決まり文句を頂く。
卒業パーティーに全く関係のない者は、淀みなく祝福の言葉を述べる。
だがあの卒業パーティーに参加していた者達は、躊躇いがちに複雑な表情で祝いの言葉を口にする。
「この度はご結婚、おめでとうございます……シークムンド王子……サントレールでも……宜しくお願い致します」
そのように挨拶する者が多数いた。
聞いたところによると、アクセリナと親し気にしていた者やアブラムソン公爵令嬢に対し失礼な態度を取っていた者もサントレール行きが決定したらしい。
当主の命令だったり、アブラムソン公爵の助言だったり、国王の言葉を汲み取って判断した結果だ。
学園の頃と何も変わらない光景。
シークムンドとアクセリナのご機嫌を取っていた取り巻き達は、場所が変わっても関係は変わらなかった。
【完】




