表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/302

11 五体の行方

 「人間が一人、獣人が二人、ドワーフが一人、もう一人がオルクです」

 「オルクって!」

 思わず大声を出してしまうが、アリエルは頷いているだけである。考えてみれば、念話なのだから、大声でも他人には聞こえない。

 「あのう、その、ドワー何とかとか、オルクって何ですか」と、天音さんが聞く。

 「人族の生き物です」と、アリエルが答える。

 「つまり、人間の一種ということでしょうか」

 「人間の一種ですね。獣人と一緒で、ゼーレを持っています」

 「ゼーレって」

 「魂です」と、簡潔に答える。

 「どう違うのでしょうか」

 アリエルの説明によれば、魂が転生する際、寄り付いた魄によって形態が変化するのだそうだ。そして、アリエル等の精霊が管理するのは、真人、つまり、人間、エルフと呼ばれる天人、ドワーフと呼ばれる地人、オルクと呼ばれる鬼人、それに各種獣人等であり、これらを人族と呼んでいる。もう一つ、悪魔と呼ばれることも多い魔人は、魔王の管轄下にあったそうだが、ドラゴンによって滅ぼされた。

 これに対し、そのドラゴンや、精霊王、魔王等は神の子によって直接作られた存在であり、アリエル等の大精霊は、精霊王によって作られた精霊の中で、まとめ役として特別に作られたものだそうだ(この特別にという部分を、アリエルは強調していた)。

 したがって、魔王が勇者の魄に飛び込む必要性はなかったわけだが、神の子の結界により反射されたブレスを受けて肉体を喪失し、仮初(かりそ)めのものとして勇者の肉体を選んだそうだ。多分、面白がってやっているだけだわと、アリエルが憤然としていたが、自分もそう思う。

 これに対し、人族以外のものは魂を持たず、魔素が様々な生き物に反応しているのだそうで、心臓が魔素によって魔石とか、魔塊とか呼ばれるものに変わっているそうである。また、生物だけでなく、地上にある魄に反応する場合もあり、ゴブリンやオーガ等のように人に似た形になるが、人族とは呼ばないそうだ。一方、死体がゾンビ化する場合や、地上を彷徨っている魂が魔素の影響で魔物になる場合もある。また、デュラハンのように物につく場合もある。

 つまり、人族のゼーレが転生する場合、人間、エルフ、ドワーフ、獣人等のどれになるかは、単なる確率の問題というわけかと聞いてみると、人間のゼーレは、人間の魄に嵌まりやすいので、確率だけではないそうだ。ということは、オルクを倒した時には、成仏を祈るべきなのか。

 「オルクや、ドワーフになるゼーレって、何か、悪いことをしたということでしょうか」と、天音さんがさらに聞く。

 「そんなことはないですよ」と、アリエルが不思議そうに言う。

 どうやら、天国か地獄かという選別はあるものの、因果応報という考えはなさそうである。転生自体が仏教的なので、多少はそちらに近いと思っていたがと考えていると、天音さんがさらに質問を重ねる。

 「そのドワーフというものへの転生もよくあるのですか」

 「ドワーフの数が人間より少ないし、ずっと長生きなので、あまり多くはありませんが」

 これも、確率の問題というわけか。ということは、エルフへの転生というのもあるわけか。

 「獣でも、猫の場合、獣人になるかもということですが、他の何かになるということは」と、自分も聞いてみる。

 「ニュクスでしたか、あの猫は別世界の存在で、こちらと違う理の存在ですので、ゼーレを持っている可能性があります」

 「確かに、自分達の宗教では、全てのものに魂があります」

 「全てと言うと」

 「文字通り、全てです。山川草木悉皆成仏と言って、山や川や植物にも魂というか、仏性を認めています」

 「それは管理が大変ですね」と、アリエルが感想を述べる。

 そう来たかと思う。仏性って何と聞かれると思ったが、多分、ゼーレと翻訳されたので、自分のやっていることとつなげたのだろう。しかし、全ての仏性が転生しなくてよかった。植物や昆虫類、細菌とかは転生していないのだろう。もし、そうなら、七体だけということは考えにくい。

 「ただ、別世界の魂がこの世界に転生するなどということは、私は聞いたことがないので、どうなるかは分かりません」

 「ということは、ニュクスが人間に転生している可能性もあるということですか」

 「ないとは言わないですが、猫なら、猫の獣人ではないでしょうか」

 「そうならば、獣人の一人はニュクスだと思うが、もう一人いるということは何か動物が入り込んでいたのかな」

 「お父さん、人間が獣人になる可能性もあるよ」

 「そうか、鋭いね」

 天音さんが嬉しそうになり、「そういえば、その獣人って猫なのですか」と、もう一つ、鋭いことを言う。

 「ええ、両方とも猫獣人ですね。一人がミドルブルク、もう一人がブライテンですね」

 「ブライテンというのは」

 「ミドルブルクの北東三マイレ程のところにある村ですね」

 「もう一人の人間は」

 「これもミドルブルクですね」

 「ドワーフは」

 「ここから東方に五マイレほど離れたローダム鉱山に」

 「問題のオルクは」

 「この下の森の中です」


 今日中に、この話を含めて三話アップする予定です。

 明日以降も五月雨式にアップします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ