表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/302

10 ファーレンドルフ家の家族構成

 ベッドに戻ると、天音さんが起きていた。

 「ごめん、起こした?」

 「起きていたよ、うまくいった?」

 「明日、結婚届と認知届を市役所に出してもらう」

 「おめでとうございます」

 「ありがとう」

 「で、認知届って?」

 「天音さんを自分の子だと認めるというものです」

 「それって、子の承諾はいらないの?」

 「未成年の場合はいらないけれど、嫌だった?」

 「いいえ、喜んで」

 「ありがとう」

 アリエルがやってくる。

 「結婚、おめでとう」

 「ありがとう、アリエル」

 「念のため聞いておきたいのですが、この人が結婚するのに、アリエルさんは悔しくないのですか」と天音さんが聞く。

 アリエルは不思議そうに「好きな者が幸せになるのが一番ですわ」と言った。

 「アリエルさん、好きよ」

 アリエルが赤くなる。しかし、この言葉って、恋愛の告白ととられそうだ。そういえば、精霊に性別がないということは、と思う。今度、しっかり言っておかなくては。

 「それはともかくとして、赤ん坊がいなくなるというのは騒動の種だね」と、話題を変える。

 「ブリュンヒルデが戻ってくるまで、お二人とも随分と慌てていましたからね」

 そりゃ、生まれた当日に赤ん坊が二人とも失踪するなんて、騒がないほうがおかしい。本当に申し訳ないことをしたと思って、顔が赤くなる。

 「うん、こちらのお父様、何とかハルト」

 「父上がブルクハルト、母上がアーデルハイト、長男がエーベルハルト、次男がベルンハルト、そして、三男が私、レオンハルトです」

 「あと、長女がフレデグントで、ブリュンヒルデは次女ね」と、アリエルが補足する。

 それは知らなかった。

 「うん、その人が、私を抱きかかえたまま離さなくてね。もう大変」

 天音さん、名前覚える気あるのかな。

 「で、大丈夫だったの」

 赤ちゃんの肌はデリケートだし、生まれたてなのにと思う。

 「泣きだしたら、お母様が助けてくれた」

 ああ、ハイジさん。

 「ブリュンヒルデの場合、精霊王の加護がありますので、多少のことでは傷つきません」

 「そうなんですか」と、天音さんが言う。

 頼むから、ここで試してみるのは、やめてほしい。

 「今、何時か知らないけれど、もう遅いのだろうね」

 「ここ暗すぎて、よく分からないわ」

 もっとも、アリエルとパルがかすかに光っているので、顔ぐらいは分かる。

 「窓とかもないようですし」と言うと、アリエルが「あそこに」と部屋の一角を指さした。

 なるほど、壁の上のほうに、太い格子のようなものが見える。その前に、何か半透明らしいものが貼ってあるのが、暗闇に慣れた目にかすかに見える。

 「ガラスじゃないようね」

 「ガラスは大都市の教会にでも行かないとありませんね」とアリエルが言う。

 あれ、ガラスって、古代ローマや、エジプトにもあったような。

 「でも、何か貼ってある」と、天音さんが聞く。

 「あれは、牛の膀胱です」と、アリエルが言い、天音さんが「そんなぁ」と情けない声を出す。

 アリエルは、天音さんの反応の意味が分からないようである。

 「で、何時ごろなのだろう」

 時計とか、この時代にあるのだろうか。

 「日付が変わったばかりですね」

 「ありがとう、助かります。ところで、ついでに教えてもらいたいのですが、今年は何年でしょうか」

 「神の子がこの世界を開いて五十一日目ですが、人間世界のそれは何年なのでしょうね」

 「五十一日ですか」

 「はい、その間に、人間世界では何百、何千年も経っているでしょうが、正確な所は彼等に聞いてもらったほうがいいでしょう」

 「そうします」

 「それより、一緒に転生した他の五人の情報ね」と、アリエルがさらに話を切り替える。

 思わず居住まいをただすが、赤ん坊なので、外見的には変化はない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ