大草原
そこは広い、とても広い草原だった。
延々と続いている草原で、前後左右全部同じくらいに見える。太陽は頭の上にいて、動こうとはしていない。
うっすらと汗ばんでくるくらいだが、柔らかい風のおかげで、不快感はそこまで強くない。
ここまでどうしてきたのか全く覚えていない。
そもそもここはどこだ。
どうしてここにいるんだ。
ふと見ると、床に木の板が落ちているのに気づく。
拾い上げると文字が書かれていた。
「運命の分かれ道、戻るも行くもあらたな道も、今の選択が未来を決める」
誰が書いたか知らないが、不親切な人なのは間違いないだろう。
こんな説明で、どうしろというのだろう。
だが立ち止まったままではいけない。
木の板を上に投げて、飛んでいった方向、つまり今の位置から見て左側へと向かって、俺は歩き出した。