忠告
「姫様」
「なぁに、ドリー?」
苦笑している侍女のドリーを鏡越しに見つめ返す。
「なぜ、そんなに不機嫌そうなお顔なのです? 今日はせっかくの誕生日パーティーですのに」
今日は、私の誕生日だ。
そして、私は第二王女。当然のことながら、パーティーが開かれる。そう、ここまではいい。
「リズル様もいらっしゃいますよ」
それ(リズル)が、原因よ!!!!
リズルは、この国の筆頭公爵家の令息だ。何が言いたいかというと、パーティーで無視ができない。
それに加えて私は今まで初恋で最愛だったリズルにべったり、だったので、急に距離を置き出したら、周囲も不審に思うだろう。
だから、リズルと適度な距離を保つには、理由を探さねばらないわね。
「あの、ね……そのことなんだけれど」
「? はい」
私が話を切り出すと、ドリーは目を瞬かせた。
「私……なんというか、リズルのことは諦めることにしたのよ」
「えっ!?!?!?!?」
ドリーの顔には、散々べたべたしておいて、何を言ってるんだ、と書いてあった。
「ほら、私とリズルじゃ釣り合わないかなって……」
「なにをおっしゃいます! 確かにリズル様は、才色兼備な方ですが……ですが、姫様だって、少々……かなりお転婆なところはありますが、負けてませんよ!」
「ありがとう、ドリー。でも、もういいの」
私は、しおらしく首を振った。
「それにね、リズルには、どうやら好きな人がいるみたいなの」
まぁ、まだ現れてないヒロイン様のことですけどね!!!!
「その子とリズルは、私なんかより、強い絆で結ばれてるのよ……」
ここでわっ、と顔を両手で覆うのもポイントだ!
って、嘘泣きするつもりが、ほんとに涙が出てきてしまった。だって、リズルを好きな気持ちは本物だもの。
リズルが他の子を選ぶだなんて、泣けてしまう。
でも、命だいじに!だものね。
「ナタリア姫様……」
「ええ、だから、私……新しい恋を探そうと思うの」
「…………え?」
ぐすぐすと鼻を鳴らしながら私がそういうと、アリーは急に真顔になった。
「姫様、私どもと姫様の安全のためにそれはやめた方がよろしいかと」
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