感謝のSS3 エンペラートラウトのカルパッチョ
ブクマが10件&一日アクセスが300PVを超えてしまったので、感謝のSSを投稿します!
「前回に引き続き、また料理をします!」
〔前回のポタージュスープはいつの間にか無くなってましたからね…… 〕
そう、前回作った財宝カボチャのポタージュスープは、俺が起きた時にはすでに無くなっていたのだ。
誰が飲んだのか、鍋がどこにいったのかは知らないが……
「……許せないッ!!」
〔いやそんな末代までの呪いみたいに言わなくても…!?〕
全く、アイは甘い。財宝カボチャのポタージュスープより甘い!
これはガチなタイプの末代までの呪いなのだよッ……!
〔じゃぁガチじゃない末代までの呪いもあるんですか?〕
……次の料理を作ろうか。
今回はおやっさんが取ってきたヤバいものを、ヤバいうちに調理したいと思う。
〔わぁ、すごく立派なエンペラートラウトですね!」
そう、それはエンペラートラウト。サーモン、鮭とも呼ばれる魚のF級魔物だ。
実はこいつ、そんなに強くない魔物だ。
運が良ければ子供でも倒せる程度の強さしかない。
それがF級に定められているのには理由がある。
美味しすぎるのだ。
それこそ国を賭けて戦争を起こしかねないほどに。
故にエンペラートラウトの生息数は激減し、冒険者ギルドはこれを受けてエンペラートラウトを指定保護魔物として保護した。
……のだが、時折指定保護区からはぐれ出たエンペラートラウトが出没することもある。
おそらくおやっさんの取ってきたものも、その類のものだろう。
全く、なんてけしからん!
これはもう食べて証拠隠滅するしかない!
「というわけで、今日のメニューはエンペラートラウトのカルパッチョです!」
〔絶対美味しいじゃないですかそれ!〕
さぁ、始めよう……
まず俺が向かったのは、裏庭だった。
〔えっ?料理しないんですか?〕
まぁ待ちたまえ。ハゲるぞ?
そして俺が向かった先は___
〔ここは……家庭菜園ですか?〕
俺が作った家庭菜園だった。
菜園にはナス、トマト、じゃがいもといったポピュラーなものから、レタス、ほうれん草、キャベツといった専門的な野菜など、様々な野菜が植えられていた。
その中から俺は、きゅうりと赤玉ねぎ、そして育ちきっていないレタスを採取した。
〔マスター、そのレタスは育ちきってないですよ!?〕
落ち着きなさい。ハゲるぞ?
アイよ、君はベビーリーフを知っているか?
実はベビーリーフは、育ちきっていない、若く柔らかいレタスやほうれん草のことを指す。
今回のカルパッチョは、エンペラートラウトを使ったまさにキング・オブ・カルパッチョ!
一切の妥協も許されないのだよ。
〔へぇ〜!ベビーリーフって元々レタスなんですね!〕
元々っていうかもろレタスな。
さて、まずはサラダからだ。
赤玉ねぎときゅうりを薄切りにして、ちぎったベビーリーフと混ぜる。
以上。
〔はやっ!?まぁサラダってそんなものですけど…… 〕
そんなものって……
まぁいい。次はエンペラートラウトだ。
あらかじめ薄切りにして、オリーブオイルに漬けておいたエンペラートラウトをサラダに飾り付け、レモン果汁を一絞り。
最後に乾燥バジルとパセリ、優しい口当たりのアンザス岩塩を振りかければ……
「よし、エンペラートラウトのカルパッチョの完成だ!」
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「では早速___ 」
コンコンコン!
「……いただきま___ 」
ココココココン!!
「……いた___ 」
ココッコッコッココココン!!
ガチャ
「さすがにうるさいぞどちら様でしょうか!?」
〔マスター……相手が貴族だったらどうするんですか。〕
その時はその時だ。
「うおぉ!?すまない、何か不手際をしてしまったようだね。」
「そうっすねーがっつりみっちりはっきりとしちゃってますねー。」
〔だから貴族だったらどうするんですか!?〕
扉の向こうに立っていたのは、仕立てのいい紳士服に身を包んだ商人のようだった。
「ははは、これは失敬。私は、サニア商会の会頭をしております、アキナイと申す者なのですが…… 」
「はぁ…そのアキナイさんがどうしてこんなところに?」
うちには大した商品はない筈だが……
「お願いします!お宅の葉物野菜の契約農家さんをお教えして頂けませんか!?」
土下座ァ!!
「えぇ!?」
どうしよう。
今のところ食堂の葉物野菜は全部家庭菜園で賄えてため、契約農家などいないのだが……
「実は、「黄の蜜熊亭」さんの葉物野菜はとてもおいしいと評判なのですが、なにぶん生産元が分からず……!ダメ元で押しかけてしまったのです!」
その生産元、俺じゃん!?
「あの……たぶんそれ、俺です。」
「いやいや、それはないでしょう。」
即答だな、おい!?
「でもうちには葉物野菜の契約農家はいませんし、俺の菜園で全部賄ってます!」
「嘘でしょう……?だったらその菜園の野菜を使った料理を食べさせてください!」
「いいですよ!なんなら今すぐに……あ。」
まずい。非常にまずい。
この流れはカルパッチョが食べられなくなるパターンだ。
俺の経験と勘がそう告げている。
「なんですか、ちょうどいいカルパッチョがあるじゃないですか!」
「待て、それはダメだ!」
この人いつ入ってきた?てかそんなことはどうでもいい!
カルパッチョが食べられるのを阻止しなければ!
「いただきまーす!」
「やめろ、おっさぁぁぁぁん!!」
ぱくり。とアキナイはカルパッチョを一口食べ___
「もぐもぐもぐも…… 」
「うわぁぁぁぁぁっ!?!?!?」
一心不乱にカルパッチョを掻き込みはじめた。
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「ご馳走様でした。おや、どうしましたか?」
「ハゲろハゲろハゲろハゲろハゲろハゲろハゲろハゲろ」
「ひぃっ!?な、なんかすみませんでした!?」
その後、俺がアキナイに呪詛を送り続けた。
そしてなんの因果か、アキナイは一ヶ月後に全ての毛根が死に絶えていたそうだ。
第七話はグレゴリウスの過去話の予定です。
胸糞展開になってしまったので、もしもの時は読み飛ばすことを推奨します!
できたら読んで欲しいけどね…!
次回は総合ポイントが70ポイントを超えたらSSを出します!
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作者がものすごく張り切ります!