感謝のSS2 財宝カボチャのポタージュスープ
評価ありがとう記念と1日に200PV行っちゃったよ記念の合わせ技です!
前回のSSの続きになります!
「さて、マックさんにロールキャベツはやられたことだし、明日の仕込みをするか!」
〔マスター、やっぱり根に持ってますよね……?〕
当たり前だ。当たり前田の前三郎だ。
マックは許されない大罪を犯したのだ。
ククク……奴のロールキャベツには今後七味唐辛子をたっぷりと混ぜてくれてやる!
精々最後の時を待っておるがよいわ!
「おっと、仕込み仕込み…… 」
今日作るのはカボチャのポタージュスープ。
それも契約農家から届いた極上のカボチャ、財宝カボチャを使ったポタージュスープだ。
〔はわわ、聞いただけでよだれが垂れそうですっ!〕
ハハハ、そうだろうそうだろう。
財宝カボチャは、その美味しさに盗みを働く者が現れるほど美味しいことから名付けられた、まさにキング・オブ・パンプキン!
そんな恐れ多い代物を使ったポタージュスープだ。美味しくないわけがない。
さあ、料理を始めよう。
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まずは財宝カボチャからだ。
財宝カボチャを切って、ワタと種を取り除く。
皮を取り除いたら、ロールキャベツの残りのコンソメスープでじっくり煮る。
これで下準備が完了だ。
〔マスター、なんで一度コンソメで煮るんですか?〕
良い質問だ。
勘のいいAIは嫌いじゃないよ?
そもそもポタージュスープとは、すりおろした野菜と牛乳を混ぜて作ったスープのことだ。
地球なら電子レンジで温めれば一発なのだが、この世界にそんな便利グッズは存在しない。
だから我々は、煮崩したカボチャをちまちま潰していくしかないのだよ!
〔なるほど……あれ?でもそれってコンソメスープじゃなくても良くないですか?〕
それは余らせるのが勿体無かったからなんだよね……
それとは別に、もう一つ狙いがあるのだよ。
〔狙い?〕
ポタージュスープは、すりおろした野菜と牛乳という材料の簡単さ故に、変に出汁などを加えると味が崩壊する。
ところが、そのすりおろす前のカボチャにコンソメの旨味を染み込ませると___
〔より美味しくなる、ってことですね!〕
……まぁ、そうなるな。
そうこうしているうちにカボチャが煮えたので、次に進むぞ?
よく煮えたカボチャを麺棒でよく潰す。
本当はミキサーがあればいいが、便利グッズはここにないので割愛する。
そして潰したカボチャを鍋に入れ、牛乳と生クリームを3回ほどに分けて入れる。
生クリームを入れるとコクが出るが、金銭的な問題もあるので今回は少なめに……
最後にパセリをパラパラとふりかければ……
「よし、財宝カボチャのポタージュスープの完成だ!」
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深夜。
「黄の蜜熊亭」に泥棒が忍び込んでいた。
「ヒヒヒ、あれだけ繁盛しているのなら、金も相当溜まっている筈だ!」
この男は巷で有名な賞金首で、神出鬼没な隠密スキルを持つことで有名な盗賊だった。
その割にコソ泥っぽいことしかしないのだが、そのことを本人はあまり気にしていない。
「ヒヒヒ、それじゃ早速金を___ 」
その時、男の嗅覚に優しい匂いが漂った。
「なんだぁ、この匂いは?」
男はしばらく建物を彷徨うと、匂いの在処にたどり着いた。
「ここは……厨房か?」
その匂いの発生源を見つけだし、男は驚愕する。
「なっ!?財宝カボチャのスープだと!?」
人生で一度出会えるかわからない、財宝カボチャのスープがそこにはあった。
男ははやる気持ちを抑えながら、キョロキョロと周囲を見渡して___
「……少しだけなら、いいよな?」
誘惑に負けた。
その夜、「黄の蜜熊亭」には一心不乱にスープを啜り続ける音が響いたという。
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早朝。
「誰だお前、厨房でなにしてる!?」
「ウマウマウマウマ…… 」
「聞いてんのか!?てかよく見たら賞金首じゃねえか!?」
その後、起きてきたおやっさんが男を捕まえ、ちゃっかり報酬をせしめたのは、言うまでもない。
次回のSSはブックマークが10件を超えたら出そうと思います!